新型コロナウイルス感染拡大にも関わらず、21年度の女子プロゴルフツアーは前年と同数の37試合を開催。賞金総額は、最高だった19年度の39億5227万円を約2億円上回り、史上最高額の41億4000万円となります(12月23日協会発表)。しかも20年の開幕戦となったアース・モンダミン・カップは、史上最高の賞金総額3億円。前年の2億4000万円から大幅アップです。総額が2億円を超す大会も4試合増。4日間大会もTOTOジャパンクラシックとリゾートトラスト・レディスが移行して計16試合にまで増えました。コロナ禍の中、なにもかもがウハウハ状態の女子ツアー。20ー21年度を統合して1シーズンとなりますが、21年に関しては「観客を入れる方向」(協会)で協議を進めると強気なところをみせています。
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女子プロゴルフ協会の小林浩美会長(57)は、2011年の就任から6期目の会長就任が内定しています。コロナ禍で20年は僅か14試合、しかもすべて無観客で開催した現状を踏まえ「めちゃくちゃうれしい」と同会長、笑顔を隠せませんでした。20年度、試合中止や延期に追い込まれたスポンサーの思惑がどう出るのか、懸念される面も多かったのですが、フタをあけてみると、なくなった試合は1試合もありませんでした。わずかにスタジオアリスに富士フィルムの冠がついたのと、デサント・東海クラシックが住友生命Vitality・東海クラシックと冠名が変わった2試合があったのみ。試合がなくなることはなく、20年と同じ37試合がそのまま組み込まれました。
撤退するスポンサーもほとんどなく、新年度の日程編成は逆に上々の発表にこぎつけた小林会長は「選手が頑張ってくれて、いい試合が数多く展開できるようになった。世界に肩を並べられる選手も増えてきたのが大きい 」と、日本の女子プロレベルの向上が、コロナにも負けない隆盛をもたらしていると話しています。
それだけではありません。21年は延期された東京五輪開催が予定され、男子五輪ゴルフが開催されるのが7月29日~8月1日(女子競技は8月4~7日)。国内女子ツアーは、3月4日開幕のダイキン・オーキッドから11月25日開幕の最終戦ツアー選手権リコー杯まで全く空き週がありません。唯一空いているのが、東京五輪の男子ゴルフの週。で、この男子五輪ゴルフ開催中の7月29~8月1日の間に女子ツアー1試合を入れる案が検討されているというのですから
驚きです。ここへ1試合入れると、女子ツアーは38試合となる可能性が残されています。さらに20年度はコロナ禍で試合数が減少。選手へのしわ寄せが生じているため、統合した21年度は、出場人数増枠を14大会に、予選カット引下げが15試合になると協会は発表しています。
ところで、20年度は全てが「無観客」でした。ギャラリーを入れると、コースや会場内の各種テント、あるいはクラブハウス等で″密〝になるのを防いだものです。しかし、ギャラリーのいないトーナメントがどれだけ無味乾燥で盛り上がらないかも分かっています。協会は、主催のスポンサーや開催自治体の思惑、コロナの感染状況等を踏まえながら、新年度は観客を入れ
るための施策、協議を進めたいとしています。新型コロナの感染拡大が収まらない現状では、なかなか難しい問題ではありますが、3億円大会出現にまでに膨れ上がった21年度の女子ゴルフ。どこまで内容を
グレードアップさせられるか大きな課題といえます。
(了)