シニアプロ・初見充宣(はつみ・みのる=68歳)が、今夏女子プロの笹生優花(さそう・ゆうか=19歳)と出会い、練習ラウンドを共にしたあとシニアツアー(スーパーシニア)で今季3勝を挙げる快挙に、驚きを隠せません!今季女子ツアーにデビューした笹生は初戦のアース・モンダミン・カップ(6月)で初日6バーディー、ノーボギーの66でトップタイに立ち、非凡な才能が注目されました(この大会5位)。第2戦のNEC軽井沢72を控えて同じ長野県の立科GCを訪ね、コース所属の初見充宣プロと練習ラウンドを重ねてから軽井沢入り。NEC軽井沢72では圧巻のプレーで通算16アンダー。悲願の初優勝すると続くニトリ・レディス(北海道・小樽CC)でも小祝さくらとのデッドヒートの末に通算13アンダーでツアー2連勝。一躍女子ツアーの超新星にのし上がりました。その笹生プロと練習ラウンドした初見充宣プロもその後、秋の陣でシニアツアー(スーパーシニア)3勝の大変身?68歳と19歳の異色の″コラボ〝が話題を集めています!。
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″スーパーシニア〝と19歳のルーキー女子プロとの不思議なようなお話です。この夏、長野・北佐久郡にある立科GCの初見充宣プロのところに突然の連絡が入りました。相手は初見プロと親しいフィリッピン人のフランキー・ミノザプロです。「立科でサソウの練習ラウンドをさせてほしい」というもの。母親がフィリッピン人、日本人の父親の間に生まれ、両国の国籍を持つ笹生優花プロ。日本ツアーでも活躍した比国のミノザにも世話になっているのでしょう。軽井沢GCと同じ長野県にある立科GCは、碓氷峠を挟み車なら約1時間。新幹線では軽井沢の次の駅が立科に近い佐久平です。NEC軽井72を控えての練習ラウ
ンドにはもってこいの立地でした。
8月の上旬。立科GCにやってきた笹生は3日間、初見プロとの練習ラウンドなどをこなしました。飛ばし屋の笹生です。シニアの初見プロは「距離は僕のドライバーが止まったところに彼女のボールがキャリーしてましたね」と笑って話しました。落ちたところからランしますからさらに20~30ヤードは先に転がります。260ヤード前後の初見に対して笹生は280ヤード前後を常時飛ばしたことになります。
「飛ばすだけではなく、ゴルフがうまい子だなと思いましたね。パターが上手で、彼女のスイングを見ていると、バックスイングの捻転(ねんてん)がよく入って、ダウンスイングの間での加速がスゴイ。バックスイングで、しっかりエネルギーをため込んでボールを打っている。いまアメリカの若い子や300ヤード飛ばす男子選手を見ても、バックスイングが小さくてフォローが大きい選手はあまりいない。昔とは違うんだよね。いかにバックスイングからボールを打つまでの時間を使って加速できるか、なんだよね。笹生選手のバックスイングを見て、僕も意識してやるようになりました」(初見充宣プロ)
68歳のベテランプロが、19歳の女子プロのスイングを見て、大きな刺激を受けたようです。二人の感動の出会いがあってから、軽井沢72に入った笹生優花は、この試合65、63といったビッグスコアを連発して3日間通算16アンダー。新世紀世代初の優勝を遂げました。「立科はとてもいいコースで、初見プロにもお世話になりました。いい練習ができました。また行きたいです」と笹生。その勢いをかって、次戦のニトリ・レディスも難コース、小樽CCを通算13アンダーで征服したのは周知の通り。笹生プロにとって立科GCと初見充宣プロは、忘れられない出会いになったといえるでしょう。
一方、初見充宣プロは笹生とラウンドしたあと、ISPS HANDAコロナに喝!スーパーシニアの部(群馬・赤城GC=8月21~23日)、日本プロゴールドシニア・スーパーシニアの部(兵庫・宝塚クラシックGC=10月21~22日)、金秀シニア・スーパーシニアの部(沖縄かねひで喜瀬CC=12月4~5日)と、3試合たて続けに優勝したのは驚きです。
「そう、笹生プロとまわって、スイングを意識するようになって3勝です。万歳3唱(3勝)です!。向こうは2勝。お互いい刺激を与え合えればいいですね」と、初見プロもご機嫌でシーズンを終えました。年齢差はあっても、お互いプロ同士。見るところもアマとは違って、得るところはいろいろあるのでしょう。
国内では今季賞金ランク1位で終えた笹生は、シーズンの最終戦、全米女子オープン(米テキサス州)に参戦。メジャーでは最多の19人が出場した日本勢の中でも渋野日向子に次ぐ上位で、堂々とした戦いぶりでした。
来季の活躍は、初見プロともどもまた注目です!
(了)