Daily Archives: 2023 年 7 月 24 日

「日本ではミスにならないものも、ミスになる。レベルもコースも大違い。自分に対する厳しさを変えないといけない」=平田憲聖(22)=プロ2年目・大阪学院大出

メジャー初体験した平田憲聖(22)。「75」「81」の14オーバーと惨敗だったが「貴重な経験で“世界”を知った」と、全英の2日間を振り返った。
中島啓太。通過圏内にいながら2日目最後の3ホールで4打落として予選クリアできなかった。

日本男子ゴルフに活気を入れている中島啓太(23)・蝉川泰果(22)の若手コンビも、海外メジャーの“壁の高さ”には涙、また涙でした。今季最後のメジャー「全英オープン」はイングランド北西部の名門「ロイヤル・リバプールGC」(7383ヤード、パー71=7.20~23)で行われました。9人が参戦した日本勢で決勝ラウンドまで4日間を戦ったのは、松山英樹と星野陸也の2人のみ。中でも中島啓太は、2日目の終盤まで耐えるゴルフで予選通過圏内だったのに、16番からわずか3ホールで4打を失い通算6オ-バーで3打足りない“奈落”に落とされました。メジャー初出場の蝉川泰果は「格が違う雰囲気。何もできなかった」と通算10オーバーの大敗。涙を飲んだ日本の若手軍団、この屈辱を糧(かて)に大きく伸びるのでしょうか?!“世界の壁”を実感した日本勢ですー。

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安森一貴。2日目最終ホールをボギーにして無念の予選カットされた(23.7全英OP、ロイヤル・リバプール)=

国内ツアーの賞金ランキング1位を快走する若手NO1、中島啓太も世界の荒波の中ではまだまだ、力不足でした。アマ時代は2年連続で世界ランク1位の座を譲らず、数々の海外遠征もこなしてきた男ですが、世界最古で最も権威のあるメジャートーナメントとなるとまた格違いなのでしょう。
「全英オープン」は英国・スコットランドの海沿いのリンクスに会場が限られ、人の手を加えない「あるがままの自然の状態」を残したコースで行われます。狭く絞られた起伏のある固いフェアウェイ。リンクス特有の強風。高い壁を巡らせたたこつぼ風の“ポットバンカー”。腰まである強靭なブッシュ。「ロイヤル・リバプールGC」は13回目の開催。前回の2014年はローリー・マキロイ(北アイルランド)、前々回の2006年はタイガー・ウッズ(米)が制しています。

メジャー初体験の蝉川泰果は松山英樹、谷原秀人のキャディーで経験豊富な進藤大典氏をキャディーに指名。注目のタッグを組んだが実らなかった。

蝉川はロイヤル・リバプールを知る男・東北福祉大の先輩、進藤大典氏を国内ツアーの「中日クラウンズ」以来となるキャディーに指名してタッグを組みました。松山英樹(2014年)、谷原秀人(06年)のバッグを担ぎロイヤル・リバプールを2度経験している進藤キャディーですが、今回初体験の蝉川に初日指示したマネージメントは、ティーショットを刻むことが多かったようです。が、その割には蝉川のフェアウェイキープ率(初日)は14ホール中3回のみ。出だしからティーショットを左のポットバンカーに入れてボギー発進。後半14番ではまたもリンクスの風に苦しめられて左のポットバンカー。それも垂直の壁にボールがへばりつき、またもラフの方に出すだけ。不運も重なった蝉川は「自分は刻み慣れてもいないし、抑える球もそううまくない。ドライバーをもっと使った方がチャンスが広がったのかな。いい雰囲気だったのに、何もできていなかった」とコメントして「77」の初日にがっくり。2日目は少しは攻めのゴルフに転じ「75」と2打スコアを上げましたが、通算3オ-バーのカットラインには遠く及ばず、通算10オーバーでコースを去りました。

中島は何とか予選通過圏内をキープして耐えながらきた終盤。16番、17番で落とし、最終18番(パー5)はグリーンサイドの“たこつぼ”から脱出に2打を要し、わずか3ホールで4つ落として予選クリアができませんでした。国内ツアーでは1勝を挙げ、5~6月には5週連続で最終日最終組で優勝争いをした中島。「耐えきれなかった。きょうだけでなく、きのうもミスしたところがあった。技術もある。予選ギリギリで追い込まれたときでも、しっかりいいショットが打てるような技術と精神力です。世界の大勢の人が見守ってくれているメジャーで頑張りたいのにー。絶対リベンジしたいです」と唇をかみ、悔しさがにじみ出ていました。

 

一方、予選会を兼ねた国内ツアー「~全英への道~ミズノオープン」で中島啓太をプレーオフで退けてツアー初優勝。「全英」出場を叶えたツアー2年目の平田憲聖(22)。夢にまで見た「全英」でトータル14オーバー、148位で惨敗でした。ティーショットをロストしダブルボギーをたたいた7番からリズムを崩して、涙でした「6番までガマンできたのに、リズムも流れもすべて悪くなった。ダボが続いて気持ちを切り替えられなかった。日本ではミスにならないものもミスになる。レベルもコースも大違いで、自分に対する厳しさを変えないといけない。すべてがいい経験になった」と“世界の舞台”をみつめたコメント。

最終18番をボギーにして1打及ばず予選落ちした安森一貴(25)も「ミズノオープン」3位タイで出場権を得た一人。「メジャーってやっぱり厳しい。苦しいです」と実感。昨季日本ツアー賞金王の比嘉一貴も通算6オーバーの落選を「収穫の多いウィーク」とコメントを残して週末をあとにしました。

 

日本勢で一人気を吐いた松山英樹はさすが。最終日も「70」とスコアを伸ばし13位に食い込んだ。

賞金総額:1650万ドル(約23億1000万円)。優勝賞金:過去最高300万ドル(約4億2000万円)。このビッグマネーを手にしたのは、36歳のレフティ、ブライアン・ハーマン(米)。2位に6打差をつける圧勝で6年ぶりのツアー3勝目。メジャー初Vでした。松山英樹は最終日「70」で通算3アンダー、13位ー。ビッグプライスにはそれなりの価値があるようです。

賞金3000万円と5連シードを獲得した。

(了)