プロ3年目の蝉川泰果(せみかわ たいが・23)人気がうなぎ上りです。男子ゴルフツアーはさきの「東建ホームメイト」で開幕しましたが、シーズン・インに前後してスポンサーの“蝉川争奪戦”が活発。年明けに「アース製薬」が『所属契約』を締結したのに続き、4月8日には「住友生命保険」が『スポンサー契約』を結びました。蝉川はプロ3年目ですでにツアー4勝。昨季は2勝して賞金1億5500万円超を稼いで賞金ランク2位。特に300ヤード超の飛ばし屋で歴代最多の23イーグルを奪いました。そのアグレッシブ・ゴルフが人気の根源ですが、今季の目標はズバリ「賞金王」と公言している蝉川泰果が“冬の時代”だった国内男子ツアーを覚醒させるでしょうかー。
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ともに日本を代表するトップ企業が相次いで“蝉川獲得”に動きました。「アース」が“所属”として契約すると、「住友生命」は“スポンサー契約”で泰果(たいが)を身内に引き入れました。大金を投じての獲得は、それだけに宣伝価値を認めたことになります。一方の蝉川にしてみれば、力強いパートナーシップを得てプロゴルファーとして大きな“戦力”を味方にしたことになります。毎週のように各地を飛び回る遠征ツアーに「所属契約」は大きなバックアップをもらえます。またロゴを右袖につけたウエア等を着用して試合に臨む「スポンサー契約」も貴重なパートナーの参入です。住友生命の一員として各種イベントにかり出されたりもしますが、さまざまなサポートを受けられ、プロが思い切ったプレーを展開する上で大きな助けになるでしょう。
蝉川は、昨季国内ツアー25試合に出場し、23個のイーグルを達成しました。ツアー史上最高のイーグル率「4.087」を記録し、最終戦「日本シリーズJTカップ」を制したときは、4日間で3個のイーグルを奪いました。パー5のホールで2オン1パット。あるいはパー4で2打目を直接カップイン。さらにはパー3でのホールイン・ワンなど、飛ばし屋ならではのアグレッシブなイーグルゴルフは、見るものを魅了します。“イーグル男”蝉川のゴルフは、プレーをひと目見たいプロ、見せるプロファーとして第一人者といえるでしょう。
「自分らしいバイタリティーあふれるアグレッシブなゴルフで日本の男子ゴルフ界を盛り上げたい。自分がそういうプレーをすることで社会貢献につながるのは、やりがいを感じますね。今年は(イーグルも)30回くらいはとりたい。ホールイン・ワンはやろうと思ってもできないけど、1回くらいは実現させたいですね」(蝉川)。
「住友生命」との契約発表の席で、蝉川はイーグル数などに応じてポイントを積算し、シーズン終了後に子供たちを支援する団体に寄付する活動をしたい、と発表もしました。イーグルがとれるプロであることを自他ともに許しているのでしょう。
一方、年明けに発表された「アース製薬」とは今年1月1日から2年間の所属契約。ゴルフ界の発展を推し進めるアース製薬。そうした企業とのパートナーシップを結べるのはプロとして何よりも心強い。「プレーに専念できる環境を頂けるのは心から感謝です。アースが海外にビジネスを成長させているように、自分もゴルファーとして世界を舞台に活躍したので目標を共有して頑張れる」と、蝉川はコメントしています。
ウエアやバッグ等に各種ロゴが入ったり“広告塔”にもなりますが、それも人気プレーヤーの証明でもあるでしょう。
蝉川は昨年の国内賞金2位で欧州ツアー(DPワールド)の出場資格は得ましたが、欧州は日本選手の出場順位が低く、ウェイティングの試合が多いのが分かり、今季は国内を主にして、秋には米ツアーのQスクール(予選会)に挑戦したいという。今年の国内男子ツアーは若手の著しい台頭で激戦が予想されます。蝉川はじめ、欧州ツアー参戦1年目「インド」で勝った中島啓太(23)や国内ツアー5勝、賞金3位の金谷拓実(25)、「日本プロ」を制した平田憲聖(24)、「ABEMA」(下部ツアー)賞金王からレギュラー昇格の生源寺龍憲(25)ら、だれが飛び出してきても不思議ではありません。そんな中、契約発表の席で「今年の目標は?」と聞かれた蝉川は間髪を入れず「賞金王」と色紙にしたためました。蝉川は年明けから米ツアー4戦で今季の始動をしましたが、最高30位(ソニーオープン・ハワイ)。予選落ち1回。国内開幕戦の「東建」も予選落ちで、出足をくじかれました。「クラブを総替えしたのがうまくいかなかった」と、いまは従来のものに戻して次の国内第2戦「欧州・日本どっちが勝つか」(4月25開幕)からの再スタートにかけています。今季、強敵の多い中でどこまで飛ばしの本領を発揮できるか。“セミカワ”に注目です。
(了)