国内シニアゴルフツアーが開幕しました。舞台は標高700㍍の箱根カントリー倶楽部。遅い箱根の春息吹がようやく感じられる名門コース(パー71)で2日間36ホールでの競技。昨季のシニア賞金王の宮本勝昌はじめ、永久シードプレーヤーの片山晋呉、倉本昌弘、尾崎直道。シニアツアー20勝、賞金王4回の室田淳、レギュラー元賞金王の谷口徹、藤田寛之、シニア賞金王4回のプラヤド・マークセン(タイ)、日本オープン、日本シニアオープン2冠保持者の手嶋多一、米ツアー3勝の丸山茂樹ら多士済々のレジェンドがエントリー。大会はシニア2年目、22年の本大会でシニア初優勝した兼本貴司(53)が、昨年失ったシード権を今年予選会(1位)で取返し、本戦で2日間10アンダーで見事に逃げ切り復活優勝。優勝賞金1000万円を手にしました。シニア2年目、初優勝を目指した片山晋呉は通算7アンダーで追い上げましたが、3打及ばず2位タイに終わり、シニア10戦目での初Vはまたもお預けとなりました。
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今年のシニア開幕戦は、例年の「金秀シニア沖縄」が9月に行われる「日本女子プロ選手権」開催の準備で中止となったため「ノジマチャンピオンカップ箱根シニア」(箱根CC)が繰り上げ開幕戦となりました。外輪山に囲まれた自然豊かなコース。霞ヶ関、桜ヶ丘、保土ヶ谷など名門コースを手がけた赤星四郎氏の設計で高い戦略性が求められる舞台でした。昨年1月50歳を迎えてシニア入りした片山晋呉はレギュラーツアーでは通算31勝。賞金王5回の実績の持ち主。「全米プロ」「マスターズ」にもともに4位に食い込み海外でも活躍した多彩な男。シニア入りはしましたが、まだ51歳の“若さ”で、レギュラーとシニアを掛けもちして多忙なシーズンです。今季も一足先に開幕したレギュラーの「東建ホームメイト杯」では4日間アンダーで回り、最終日は「64」のハイスコアで17位タイに入る好調な滑り出しでした。一転してシニア開幕戦も、初日「67」と上々のスタートで、2打差の8位タイから出た最終日も前半3つのバーディー。8番のパー5(520ヤード)では2オンさせて首位を走る兼本を捉える勢い。が、後半に入った午後、箱根の厄介な風に惑わされ2つのボギーをたたいたのが惜しまれます。2日続けてベストスコアで突っ走った飛ばし屋・兼本貴司の逃げ足に追いつかず、「68」を出した片山は3打差の2位に泣きました。
「(67・68で)ゴルフは悪くないいんだよ。だけど勝てませんねぇ。みんなうまいですよ。後半、風が難しかったけど、風はみんな一緒だからね。そうでなくても優勝スコアには足りなかった。勝てないねぇ。シニアになって何をどう詰めていくかっていうのがないんだよ。特に悪いとこはない。たまにミスはするけど・・。しょうがない。何かが足りないね」と片山。シニアといっても勝つことの難しさを改めてかみしめる晋呉です。
昨年シニアデビューした片山は9試合に出場。7試合目の「福岡シニア」(10月)では宮本勝昌とのプレーオフに敗れています。これまでシニア10試合でトップ10は6回。シニアツアーはレギュラーツアーとセッティングが違い、グリーンのスピードも異なります。4日間の試合は少なく、殆どが3日あるいは2日間の短期競技なのもレギュラーとは勝手が違います。レギュラーからシニア入りする選手の多くがその違和感に戸惑います。片山も例外ではなさそうですが、昨年シニアを9試合を戦ってシニアの最前線にもかなり慣れてきたはずです。シニア、レギュラー掛けもちとはいっても、徐々にウエートはシニアの方にかかってくるでしょう。今季の片山は昨年とは違うはずです。
「(日程が)うまいこと重なってないから、今年もレギュラーに出ますよ。シニアでは賞金王しか目指してません。理想はね」と明るく語る晋呉です。今季シニアツアーは全12試合。そのほとんどの試合にはエントリーすると思われます。レギュラーでは、51歳の片山がもう簡単には勝てる舞台ではないでしょう。やはり目指すはシニアでの初勝利です。ままならぬ勝負の世界を乗り超えて“シニア1勝”を果たしたあとは、晋呉の“強さ”が蘇るでしょう。難産続きのシニアVはまた近づいたといっていいでしょう。
その片山晋呉はこのほどサイバーセキュリティ対策支援などITトータルソリューションを提供する「アクト」(本社東京・文京区)と「スポンサー契約」を結びました。
(了)