4月の「KKT杯バンテリン」でツアー初優勝を果たしてから6試合で早や3勝。この1ヵ月で日本女子ゴルフの“主役”の座にのし上がってきた21歳・竹田麗央(りお)の勢いは凄い。前週「RKB×三井松島」で不覚の予選落ちを喫したと思ったら、翌週はものの見事に“王座”を奪還する復元力。底知れぬ実力を秘めた麗央のパワーはどこまで勝星を伸ばすのか。熊本出身。叔母は賞金女王2回の平瀬真由美。母・哲子さんも元プロゴルファー。ゴルフの素晴らしい血統を宿した新たな星が、女子ゴルフに突如出現、女子ゴルフ界を騒然とさせています。
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ブリヂストン・レディス最終日。男子ゴルフで馴染みの深い千葉・袖ヶ浦CC袖ヶ浦コース(パー72)。1打差の2位で出た竹田は、6バーディー、2ボギーの「68」で回り、通算14アンダー(大会新記録)で逆転優勝でした。首位で出た河本結、追ってきた2年連続年間女王の山下美夢有ら強豪を抑えての逆転劇は、スタート1番で10㍍のチップインバーディーでフタをあけ、3連続バーディーのあと5、6番でまた連続バーディーのロケットスタート。これでで一気に首位の座を固めて度肝を抜きました。バックナインに入ってやや足踏みしましたが、16番のパー5でとどめのバーディーを加え、2位に2打差をつけての圧勝でした。
4日間大会では初優勝。年間メルセデス・ランキング、賞金ランキングともに先週優勝の岩井千怜に1位を奪われていましたが、この勝利ですぐさま“王座”に返り咲きました。
優勝スピーチで竹田は「先週予選落ちしてすごく悔しくて、今週取り返そうと思ってスタートしたのです。このコースは初めてで、練習ラウンドから難しくてどうやってバーディーをとろうかと思っていたんですが、ドライバーとパットが好調だったので、自信をもって最後までプレーできました」と振りかえりました。
まだ21歳の若さ。ムダのない美しいスイングは、恵まれた血統がなせる技かもしれません。女子プロトップクラスの飛距離は、今大会でも4日間平均284.6ヤード。2位を15ヤード以上突き放す男子プロ並みのドライブを記録しました。アイアンの切れも素晴らしいものをみせています。アマ時代の21年には「日本女子オープン」7位でローアマに輝き、その21年秋にプロテスト一発合格。昨23年メルセデスランク22位でシード権をとったまだホヤホヤのルーキーですが、今季はこれまで12試合に出場、3回の優勝を含め8度トップ10。早くも他を圧するゴルフをみせつけています。昨季で現役引退した2度の賞金女王、イ・ボミ(韓国)を憧れの人と仰ぎ、アマのころにはロープ際を歩いて彼女のプレーを見守ったりもしたという。そのイ・ボミからこの春には「自分を信じて」とのうれしいメッセージをもらったとか。
ブリヂストン・レデイスVで今季早くも3勝。竹田麗央。3年以内には米ツアー挑戦を見据えている竹田ですが次週「リゾートトラスト」出場後には世界のメジャー「全米女子オープン」に単発トライする予定です。世界ランキングによる出場資格を得たものですが、初の米ツアー経験でどんな結果を出すでしょうか。見ものです。この21歳、本格世界進出までに国内ツアーで何勝を積み上げるのか。麗央を巡る話題は尽きません。
(了)