
3月、3本の肋骨疲労骨折と診断され約3ヵ月間の休養をとっていた蝉川泰果(24)が、劇的な“完全復帰”で驚かせました。国内メジャー今季第2戦「BMW日本ゴルフツアー選手権」(茨城・宍戸ヒルズCC西コース)最終日、トータル10アンダーで並んだ蝉川と堀川未来夢(みきむ)がプレーオフ。1ホール目にバーディーを奪った蝉川が制し、1年半ぶりの5勝目を挙げました。蝉川は2022年の「日本オープン」、23年の「日本シリーズJTカップ」に続き、メジャー3冠を達成。24歳148日での達成は、尾崎将司の27歳248日を塗り替え史上最年少。5月の「中日クラウンズ」で戦列復帰したばかりの蝉川は、このあとしばらく休んで「8月」に復帰するという。
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3ヵ月の休養から5月の「中日クラウンズ」で戦列復帰した蝉川は、その試合予選は辛うじて通過しましたが、最終的には9オーバーの60位タイでブービーでした。それから5試合目でよくぞ調子をとり戻したものです。今季は米下部ツアーの「コーンフェリー・ツアー」で戦っていましたが2月の第4戦目で激しい背中痛に見舞われ、棄権したあげく帰国。国内でCT、MRIなど複数の検査の結果、3本の肋骨疲労骨折と診断されたのです。
結局は今季の米ツアー挑戦は諦め、国内ツアーに専念すると決めていました。突然襲われた怪我との闘病には、参ったという蝉川ですが、助かったのは昨年11月に結婚していたタレントの久保葵さんの存在。もしひとりの生活だったら、心身へのダメージはもっと大きかったに違いありません。愛妻の懸命な看病も、今回の復活Vに力となったのでしょう。

今大会、最終日1打差3位からスタートした蝉川は2番パー5でチップインイーグルと幸先のいい出足。6番で伸ばし9番では4㍍を沈めて堀川未来夢、米澤蓮との首位に並びます。11番の初ボギーに続き、15番パー5では第1打を左ホールに曲げながら林越えのミラクルショットでパーセーブ。16番パー3を入れ、18番は5㍍の難しいバーディーパットをねじ込むパットの冴えでトップを捉える強さをみせつけました。18番は「右ラフより左のバンカーの方がいい」(蝉川)という通り左フェアウェイバンカーに入れた蝉川は、ピン2㍍につけるスーパーゲーム。「さすがに手が震えた」というバーディーパットを真ん中から決めて、カッコいいウィニングフィニッシュを演出しました。
3ヵ月前の“ブービーゴルフ”から一転した蝉川の豪快なプレー。国内では無類の飛ばし屋でなる頑強ゴルファーの復活は頼もしい限り。「次から少しやすんで、8月には復帰します」と大役を終えたヒーロ―は、グリーンサイドでひと目をはばからず愛妻・葵を強く抱きしめていました。
(了)