″絶好調男″藤田寛之・谷口徹 全米予選ワン・ツー通過!

日本予選32人の中から全米OP出場を勝ちとった4人。右から横尾要、ポール・シーハン、谷口徹、藤田寛之。(左端はローアマとなった末永一聖=全米OP出場権はない)=武蔵CC豊岡コース (写真提供・JGA)
日本予選32人の中から全米OP出場を勝ちとった4人。右から横尾要、ポール・シーハン、谷口徹、藤田寛之。(左端はローアマとなった末永一聖=全米OP出場権はない)=武蔵CC豊岡コース (写真提供・JGA)

 今季絶好調の″アラフォー″藤田寛之(40)と谷口徹(42)がまたやりました。5月24日、日本で行われた全米オープンのセクショナルクオリファイング(最終予選=埼玉・武蔵CC豊岡コース。36ホール)で、藤田が通算15アンダーでトップ通過。5打差離されましたが通算10アンダーで谷口が2位通過しました。本戦への出場枠は4人でポール・シーハン(米)、横尾要が通算7アンダーの3位タイで、この4人が出場権をゲットしました。第110回全米オープンゴルフ選手権は、6月17日~20日、名門ぺブルビーチゴルフリンクス(カリフォルニア州)で開催されます。09年日本ツアー賞金ランキング1位の石川遼と2位の池田勇太の二人は、すでに本戦の出場資格を持っています。
 
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 まさに絶好調男です。国内ツアー第2戦のつるやオープン、プレーオフで谷口を破って1勝。中日クラウンズ2位、日本プロ3位と破竹の勢いの藤田寛之はすでに4,000万円超を稼いで目下賞金ランキング1位。かたや谷口徹は、つるやでプレーオフ負けのあと、日本プロ日清カップでは難コースのパサージュ琴海を征服して今季1勝。やはり4,000万円で賞金2位につけています。谷口は日本プロ優勝のインタビューで「次の目標は全米オープンの日本予選。今年はぺブルビーチだから、1度はあそこでやってみたい」と、チャレンジを明言していた関門を見事突破しました。
 

15アンダーでダントツトップ通過した″絶好調男″藤田寛之(武蔵CC豊岡)=写真提供:JGA
15アンダーでダントツトップ通過した″絶好調男″藤田寛之(武蔵CC豊岡)=写真提供:JGA

 5月24日(月)は、1日で36ホール・ストロークプレーの勝負という過酷な舞台でした。日本最終予選に登録できた有資格者は32人。そのうち本戦に進めるのは″4スポット″。つまり上位4人しかぺブルビーチに行けない狭き門でした。雨がぱらつき、気温15.7度。風はほとんどありませんでしたが、好コンデイションとはいえませんでした。そのなかで他を寄せ付けぬ圧倒的なプレーをみせたのは藤田です。「最初の18ホールでアンダーを出せれば、チャンスがあると思っていた。パターがよく入ってくれて7アンダーも出せたので、後半の18ホールはムリせずにプレーできた。めちゃくちゃ嬉しいですね。やっと全米オープンにいけるんですね」と、満面の笑み。後半の18ホールも3つのバーディーを奪い、ボギーは最終18番1ホールだけという完璧な15アンダーでした。
 
 今年は出る試合、出る試合必ず上位につけて優勝争いに絡んでいる藤田です。飛距離のハンディを返上しようと、今年は1.5インチ長くした46.25インチの長尺ドライバーを振り回しています。その甲斐あって飛距離も一段と伸び、得意とするショートゲームがさらに精度を高めているのです。
 「去年の日本オープン(同じ武蔵・豊岡、4位)のときに比べればラフも短いし、フェアウェイも広くて精神的にも楽にプレーできた」とベテランらしいコメント。過去06年、09年の日本予選にも顔をだしているだけでなく、米国で行われた地区予選にも2度トライしたことのある藤田だけに、全米オープンへの思い入れは人一倍です。5度目の挑戦での初出場を決めた藤田は「僕の中では世界一権威ある大会でやりがいがありますね。一つでも上の順位にいけるようにやってきます。楽しみもあるけど不安もありますよ。もう一度準備をしっかりしていかないと・・」と、世界最高峰の舞台への挑戦に、目を輝かせました。大会直前の6月16日には41歳になります。
 

10アンダーで2位となり、自身7度目の全米OP出場権を得た谷口徹(武蔵CC豊岡)=写真提供:JGA
10アンダーで2位となり、自身7度目の全米OP出場権を得た谷口徹(武蔵CC豊岡)=写真提供:JGA

 「今年はぺブルビーチだから」と気合が入るのは谷口も負けていません。3度目のセクショナルクオリファイングを通過した実力はさすがというところです。藤田とは普段から仲がよく、ともにヤマハと用具契約を結んでいる二人です。その藤田に、つるやでプレーオフ負けしたことがよほど悔しいようです。この日も10アンダーは立派ですが「藤田に負けたのが悔しい」と、いつも本音の出る谷口らしく冗談に紛らわしてまず一言。藤田にならって、0.5インチ長い45インチのドライバーを導入。好結果を生んでいます。
この日は「朝、パターを修正してスタートしたのがばっちりだった」と。パターの名人が、さらに磨きをかけたのだから強いはずです。
「全米オープンに出ないと、人生の張り合いがなくなってしまう。今度こそリベンジします。低い目標なんか見ていない」と、自信にあふれています。谷口は全米オープンには過去6回(日本予選は06年、07年の2回)出場していますが、すべて予選落ちでした。今年は亜紀夫人(33)が9月に第2子の出産予定もあります。″今年こそ″の意気込みをあらわにしている理由もあるのです。02年、07年と2度の日本ツアー賞金王。昨年は開幕前の交通事故などがあって未勝利でしたが、今年は″復活″のシーズンを宣言しています。乞うご期待です。
 
 横尾要は5回目の全米オープン出場です。日本予選では昨年に続いて3度目の通過で「なんか縁があるんですかね」と
″予選男″の異名をとりそう。雨が強くなった最後の4ホールを「すべてパーセーブできたのがよかったです」と胸をなでおろしていました。昨年の全米オープン(ニューヨーク・べスページ・ステートパーク・ブラックコース)本戦でも予選落ちでしたが「今年のぺブルビーチの方がチャンスがあると思う」と、期待をこめていました。
 横尾と同じ7アンダーで出場権を得たもう一人のシーハン。「同組でプレーした藤田さんのおかげ。彼のファンタスティックなプレーに引っ張られて自分もいいプレーができた。全米オープンに出られるチャンスを得られて興奮している」と、母国アメリカでのメジャー出場に喜びを爆発させていました。
 
 この4人に、石川遼、池田勇太が加わる今年の全米オープン。果たして誰が日本勢の先頭に立つのでしょうか?
 

 ◆セクショナルクオリファイング(最終予選)=5月24日。埼玉・武蔵CC豊岡コース
 <成績>
 1位 藤田寛之  -15(65、64)
 2位 谷口徹   -10(69、65)
 3位 ポール・シーハン -7(68、69)
    横尾要   -7(69、68)
 
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 以下主な予選落ち
 5位 矢野東   -5(70、69)
    丸山茂樹  -5(70、69)
 10位 山下和宏  -3(73、68)
    鈴木亨   -3(73、68)
 12位 久保谷健一 -2(70、72)
    平塚哲二  -2(73、69)
 22位 小田龍一  +3(73、74)
 棄権 今野康晴
 棄権 小田孔明
 棄権 近藤共弘
 棄権 冨田雅哉
 棄権 丸山大輔