「勝因は自分の実力がすごいなと思った」″プロ日本一″になった42歳・谷口徹の逆襲!

大激戦を制して「日本プロ」の優勝カップを受け取る谷口徹(長崎・パサージュ琴海)
大激戦を制して「日本プロ」の優勝カップを受け取る谷口徹(長崎・パサージュ琴海)

 今年のプロゴルファー日本一を決める国内メジャー第1戦「日本プロゴルフ選手権 日清カップ」のタイトルは、42歳の谷口徹の手に落ちました。大村湾沿いにレイアウトされたパサージュ琴海アイランドGCは、メジャー仕様にセットアップされて指折りの難コースでした。大小うねりのある難解なグリーン。それが固く締められて高速パットは選手を悩ませました。最終日、最終ホールまで優勝の行方が分からない緊迫した4日間でしたが、パットの名手・谷口の本領発揮でした。日本オープンを2度制している谷口ですが、昨年は開幕を前にしての交通事故で左肩を脱臼するなど不調が続き、過去2年間で1勝しかあげていません。見事なカムバックを果たした42歳。日本の男子ツアーは遼や勇太だけではない″アラフォー″の雄たけびで、がぜん面白くなってきました。
 
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日本プロは3年連続予選落ちした石川遼(長崎・パサージュ琴海1番ティー)
日本プロは3年連続予選落ちした石川遼(長崎・パサージュ琴海10番ティー)

 石川遼が2日間でコースからいなくなりました。大会としては予想外の出来事でショックが走りました。歯に衣(きぬ)着せない谷口がいいました。「主役がいなくなって僕もびっくりしたね。賞金王もちょっと自覚が足りないですね。ギャラリーが半減するんじゃないですか?」ー。2週間前には「58」を出して驚かせた遼が、ちょうど20ストローク違う「78」(2日目)を叩いて7オーバーで予選落ちしたのです。
 

大激戦のフィナーレとなったパサージュ琴海アイランドGCの18番グリーン。
大激戦のフィナーレとなったパサージュ琴海アイランドGCの18番グリーン。

 皮肉を込めた谷口の苦言も思い過ごしでした。遼のいない3日目も、最終日も、ギャラリー数はともに1万人を超え、4日間累計では35,132人と「日本プロ」史上、記録的な大入りを記録しました。4日間とも60台で回った谷口ですが、中でも3日目は1イーグル、3バーディー、ノーボギーの65を出して6位から一気にトップの平塚哲二に並びました。イーグルは87ヤードを残した第2打、SWのバックスピンで直接カップにほおり込んだものです。
 最終日はこの谷口、平塚の二人に40歳の藤田寛之が絡んだ最終組で見ごたえがありました。2、3番で連続ボギーにした谷口はいったん首位から落ちましたが、そこから5バーディー(1ボギー)を奪い返す2枚腰はお見事でした。最後は谷口が1打リードで迎えた18番。谷口がカップ右サイド5メートルにつけると平塚はカップ手前4メートル。ともにバーディーチャンスで、どちらが入れるか?の勝負でした。両方とも細かい起伏のある難解なライン。入れれば勝ちの谷口が外し、入れればプレーオフの平塚も狙いすましたバーディーパットはカップの右をすり抜けました。結局は両者ともバーディーはならず、1打リードの谷口、逃げ切りのフィナーレでした。
 

大会の裏方さんを務めてくれた大勢のボランティアと記念撮影する谷口徹(中央)=日本プロ日清カップで。
大会の裏方さんを務めてくれた大勢のボランティアと記念撮影する谷口徹(中央)=日本プロ日清カップで。

 「向こうは入りそうな感じだったけどな・・」と、最後のプレーオフパットを外した平塚の息切れに意外な顔をみせていましたが、粘り抜いた谷口のすごさが光ました。「今週は僕らしくないジャストタッチが多かった。いつもの強気のパットが鳴りを潜めていた」と、振り返っていましたが、いずれにしてもツアー界では常にベスト3には入るパットの名手なのです。
 
 精魂尽き果てたようなフィニッシュで、18番グリーンサイドでのTVインタビューでは、消え入るようなかすれ声。ギャラリースタンドからは「聞こえないぞ!」と、ヤジが飛ぶありさま。「もう疲れて、声も出ないくらいしんどいんです」と谷口。コースに入った日曜から風邪の下痢に悩まされて、2日間は「おじや」ばかり食べていて力が出なかったそうです。どうにか持ちこたえての4日間。フラフラになりながらも、メジャータイトルをつかんで離さなかったのです。
 

今季は0.5インチ長い45インチドライバーで若手に負けぬ飛距離を出している谷口徹(長崎・パサージュ琴海)
今季は0.5インチ長い45インチドライバーで若手に負けぬ飛距離を出している谷口徹(長崎・パサージュ琴海)

 谷口は今季から0.5インチ長い45インチのドライバーを振り回しています。仲のいい藤田寛之が1.5インチ長い46.25インチにして飛ばしているのをみて、思い立ったようです。同じヤマハの契約プロで、インプレスXV201を愛用しています。「遼たちの若手がどんどん飛ばしてくるから僕も黙ってはいられない。少々曲がってもアグレッシブにいく気持ちになった。いま、さらに0.5インチ長い45.5インチもテストしている」と谷口はいっています。今回の日本プロでの平均飛距離は291.13ヤード(21位)。昨季の年間平均が263.48ヤード(98位)ですから大幅な飛距離アップを果たしている谷口です。″老いて″ますます盛んなチャレンジ魂です。
 
 開幕の東建は31歳の小田孔明が開幕2連覇。つるやは40歳・藤田寛之が42歳・谷口徹をプレーオフで下してV。中日クラウンズでは石川遼の「58」大逆転でしたが、続く日本プロでは再び42歳の谷口徹が、つるやのリベンジを果たしました。30代、40代がまだまだ元気です。優勝インタビューで″勝因は?″と聞かれた谷口は「勝因は自分の実力がすごいなと思ったよ」と、冗談とも本気ともつかぬ即答でした。
 池田勇太、石川遼世代とはひと味違った大人のゴルフが食い込んできて、国内男子ツアーがますます多彩なものになろうとしています。まだ開幕4試合ですが・・。