1歳違いでこの大違い! シャンシャンと木戸愛の明暗・・

最終日、最終組まで頑張った木戸愛。最終日の“落とし穴”にはまり24位に陥落して涙、涙(横浜CC西コース)=提供:日本ゴルフ協会
最終日、最終組まで頑張った木戸愛。最終日の“落とし穴”にはまり24位に陥落して涙、涙(横浜CC西コース)=提供:日本ゴルフ協会

 最終日、首位で出た木戸愛(めぐみ、22)は、8つスコアを落とす80たたいて24位と崩れ、悔し泣きしました。プロ入り5年目。今年7月、サマンサタバサレディースで念願のツアー初優勝。股下84センチのモデル級のルックスで一気に人気を集めた愛(めぐみ)が、日本女子オープン(横浜CC西コース)という日本最高峰のメジャーに王手をかけたのですから大騒ぎでした。1万395人の大観衆を集めた最終日。優勝したフォン・シャンシャン(中国)と最終組で脚光を一身に浴びた愛でしたが、前半の4番(パー5)で深いラフにつかまりトリプルボギーの「8」をたたいたのが苦戦の始まり。後半は2つのダブルボギーを重ねるなどで42。残念無念の急降下でした。1歳違いのシャンシャンとのゴルフのこの違い! たたきのめされた体験は、木戸愛をいっそう大きくするはずです。

    ☆★         ☆★

 木戸愛の敗戦のつぶやきですー。
「シャンシャンはどんな状況でも冷静だった。私はコースマネージメント、自分のコントロールができなかったのが悔しい。もっともっと練習して、もっともっと強くなりたいな、と思えたことが、いい経験」ー。

身長172センチの長身を生かしたドライバーは、260~70ヤードを飛ばす木戸愛。
身長172センチの長身を生かしたドライバーは、260~70ヤードを飛ばす木戸愛。

 今季海外メジャー優勝者が3人顔をそろえたのをはじめ、宮里藍、宮里美香、上田桃子も帰国して参戦するなど大舞台となったで今年の日本女子オープン。今季初勝利を挙げ、新しいスターとして脚光を浴びる木戸愛には、またとない試練の場でもありました。
 初日からアンダーパーの70を出して今年の全米女子プロ勝者、シャンシャンにピタリとつける2位発進。3日目には粘りのゴルフをみせて通算1オーバーでシャンシャンと並んで首位に立ちます。日本最高峰のメジャー、最終日にシャンシャンと最終組で女王を争うとは、愛には夢とも思える出来事でした。

股下84センチ、超ミニのスカート・・モデル級ルックスで人気急上昇の木戸愛だが・・。日本女子OPでは痛い目にあった。
股下84センチ、超ミニのスカート・・モデル級ルックスで人気急上昇の木戸愛だが・・。日本女子OPでは痛い目にあった。

 滑り出しは順調にパーを重ねますが、迎えた4番のパー5。第1打が左の深いラフへ。強引に打った第2打もまたラフ。第3打はもうムリなのに、また強引に打つと方向も狂って木に当たり林の中へ。大きなトラブルとなって、結局6オン2パットの「8」。横浜CC西コースは女子オープンに備えてフェアウェイを狭くし、ラフは80mm、セミラフ25mmの刈り高に設定されていました。加えて微妙なアップダウンのあるコースですから選手を苦しめました。結局はアンダーパーは一人もおらず、フォン・シャンシャンはイーブンパーでの優勝でした。

「もしやり直せるなら(第3打は)素直にフェアウェイへ出します」と、ホールアウト後は冷静になった愛。もうあとの祭りでした。

「きょうは背伸びせずにいこうと思っていたのに、少しボールが見えていたので、いけるかなと背伸びしてしまった」

 思い返せば反省ばかりですが、試合の中で判断力、冷静さが希薄になっていたのでしょう。今回はハウスキャディーを使っていて「私のやりたいようにやらしてもらっていた」といいます。帯同キャディーであれば、もっと違う目で冷静なアドバイスがあったかもしれないですが・・・。

 パー5のホールで「8」は厳し過ぎます。7番のバーディーでいったんは持ち直しましたが、後半のインに入ると、もうあせるばかりでバーディーがとれません。逆に15番(パー5)、17番(パー4)と立て続けにダブルボギーの洗礼を浴びて終戦です。

6月の全米女子プロに続き日本女子OPと日米両メジャーを制したフォン・シャンシャン (横浜CC西コース)=提供:日本ゴルフ協会
6月の全米女子プロに続き日本女子OPと日米両メジャーを制したフォン・シャンシャン (横浜CC西コース)=提供:日本ゴルフ協会

「どんな状況でも冷静に見えるシャンシャン選手は、そこから臨機応変になんでもできる世界のトップ選手」(木戸)といわれたシャンシャンは「緊張して重圧がかかるだけだから最後までリーダーズボードを見ない。(ホールアウトしたときは)勝ったとは知らなかった」と、独自の戦略を披露しました。今年6月、全米女子プロ優勝のときも同様に順位を知らないまま戦ったシャンシャン。今季は米ツアー15戦に出場し、日本は8戦目。23歳の若さですでに百戦練磨のごときゴルフを見せて日米両メジャー制覇です。。深いラフからでも体格を生かしてグリーンまで運ぶパワーをみせたかと思えば、打ちやすいフェアウェイへレイアップしていくしたたかで堅実なゴルフ。昨年8月に日本ツアーでプロ初優勝を遂げてからの着実な成長は、目を見張るばかり。シャンシャンとは一つしか違わない木戸愛です。日米をまたにかけて戦うシャンシャンの生き方には、愛も少なからず刺激をうけたことでしょう。

姉貴分の上田桃子に頭をなでられて慰められると、また号泣。人気の木戸にとって多くのものを教えられた日本女子オープンでした。