日本女子ツアーも米ツアー並み。4日間大会が4試合増の9試合・・。小林浩美会長再選で来季は1試合増の36試合!

LPGA創立45周年記念パーティーで壇上に勢ぞろいした今季活躍した選手たち。(東京・帝国ホテル)
LPGA創立45周年記念パーティーで壇上に勢ぞろいした受賞者たち。左端は小林浩美会長。(東京・帝国ホテル)

 女子ゴルフツアーの人気は、世の不況もよそに上昇の一途です。発表された来季の日程では、35試合の今季よりさらに1試合増えて36試合。4日間大会が4試合増で計9試合。当然賞金総額もアップして1億7762万円の増。初めて30億円を突破するツアー史上最高の計31億3600万円となりました。男子ツアーが、国内1増3減の23試合。未発表の賞金も、今季の33億6000万円から減少することはほぼ間違いない見通しです。試合数はすでに男子を大きく上回っていましたが、賞金総額でも男子ツアーに追いつき、追い抜くのでは・・と注目が集まっています。精力的に動いた2年が終わった小林浩美会長(49)の再選も決まり、来年2月の総会を経て2期目(任期は2年)がスタートします。14日には各界から約800人を招待して東京・帝国ホテルで「LPGA45周年記念パーティー」を開くなど、人気絶頂を誇らしげに盛り上げる“女子プロウィーク”が繰り広げられました。

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会長就任2年、女子プロ人気を支えた小林浩美会長。来季からの再選も決まった(LPGA45周年記念パーティーで)
会長就任2年、女子プロ人気を支えた小林浩美会長。来季からの再選も決まった(LPGA45周年記念パーティーで)

 東京でも屈指の名門・帝国ホテルのボールルームに集まった今季活躍した女子プロたち。日頃のゴルフウエアを投げ捨てて、スーツ姿や中にはドレスを着こなして華やかに招待客の中に降りてきました。ドレスを身にまとった上原彩子にもまして、ひときわあでやかな着物姿で注目を浴びたのは、有村智恵でした。ともに来季からの米ツアー挑戦が決まっている二人。白地に花柄の振袖姿の有村は「着物を着たのは2年ぶりくらいかな。着物は大股で歩けないし、姿勢がよくなって背筋も伸びる。日本女性らしくなっていいですね」と、やはり年頃の女性らしい思いをチラリ。来季からの米ツアーでの優勝を誓っていました。

最優秀選手のカップを受け取った全美貞
最優秀選手のカップを受け取った全美貞

 会場では賞金女王に輝いた全美貞(ジョン・ミ・ジョン)が、メルセデス・ベンツ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(最優秀選手)の表彰を受け、賞金ランキング、平均ストロークも独り占めするLPGAアワードを受けて喜びを新たにしていました。岡本綾子が久しぶりに公の場に登場。森田理香子や服部真夕、若林舞衣子らへの若手育成の功績から特別賞を受賞。「いろいろ考えながら、それぞれに教えているけど、今の若い子たちの方がよっぽど頑固。でも、みんなで私を選んでくれて感謝でいっぱい」と、弟子たちに“お礼”を述べていました。

若手育成の成果を認められ、特別賞を受賞。インタビューを受ける」岡本綾子(右)=東京・帝国ホテル
若手育成の成果を認められ、特別賞を受賞。インタビューを受ける」岡本綾子(右)=東京・帝国ホテル

 いつも華やかな女子プロツアー。来季、新たに開催されるのは、アクサ生命保険の「アクサレディス」(3月、宮崎・UMKCC)。4日間大会にスケールアップするのは、ヤマハレディス葛城、アース・モンダミン杯、NOBUTA GROUP マスターズGCレディス、大王製紙エリエールレディスの4試合。全体の4分の1となる計9試合が米ツアー並みの4日間となります。それにともなって賞金総額も過去最高の31億3600万円に上昇したのですから選手はウハウハものです。これは小林会長が会長就任のときから温めてきた構想のひとつですが、そこは長年米ツアーで戦ってきた会長ならではの発想があったといえるでしょう。
 「海外の試合は女子でも4日間大会が主流で3分の2はそう。競争力をつけるためにも日本も4日間を増やしていきたい。2020年までには3分の2にしたい。メジャーは4日間なのだし、普段からやらないと体力は身につかない」と、小林会長。

最優秀選手賞をプレゼンター不動裕理(右)から受け取る全美貞(左)=東京・帝国ホテル
最優秀選手賞をプレゼンター不動裕理(右)から受け取る全美貞(左)=東京・帝国ホテル

 今季はツアー35試合のうち、韓国勢が16勝。日本勢は15勝で、初めて韓国勢に“大多数”を占められました。5月から6月半ばにかけて7試合連続で外国人選手が優勝するなど、日本の国内ツアーとしてはスポンサーに対しても影響が懸念された事態もありました。しかし小林会長は「試合そのものは接戦、熱戦が多かった。選手の集中力、粘りをあと少しつけていけば、日本選手も負けてはいません。国際競争力をつけていくためのにも4日間試合や世界のトップクラスの選手を招いてまじかで戦うのは効果があると思う。レベルをアップさせて、ファンやスポンサーの期待に応えたい」と、前向きに話しています。来季は海外のトップ選手の出場試合も増加するでしょう。

LPGA創立45周年記念パーティーで歴代会長や協会役員を後ろに従え、堂々と協会挨拶のスピーチをする小林浩美会長(左)=東京・帝国ホテル
LPGA創立45周年記念パーティーで歴代会長や協会役員を後ろに従え、堂々と協会挨拶のスピーチをする小林浩美会長(左)=東京・帝国ホテル

 好景気に湧く女子プロですが、小林会長は手綱の手を緩めません。ゴルフが正式種目となる2016年のリオデジャネイロ五輪に向けて「金メダル獲得」のための強化策としての一環でもあるのです。ステップアプツアー(下部ツアー)やジュニア育成にも力を入れる一方で、現在のプロツアーの底上げにはことのほか積極的な手を打とうとする小林会長です。45周年パーティーでは歴代会長や協会役員を従えて壇上に立ち、原稿も読まずに堂々と協会挨拶と感謝の言葉を述べた小林会長には、歴代会長の仁瓶綾子顧問が「小林浩美会長がこんなにスピーチがうまくてしゃべれるには驚きました」と話すなど、賛辞がしきりでした。

 “女子プロウイーク”の最後を締めくくって、翌14日には任期満了にともなう会長選と理事などの役員改選を行いました。1期2年を今年で終える小林浩美会長を支持する理事は多く、問題なく小林浩美会長が再選されました。初めに理事8人を選出したあと、新理事の互選によって会長が決定しました。従来理事は15人でしたが、来年1月に女子プロ協会の法人格が一般社団法人となるのに伴い組織が改編され、新理事は8人に減員となりました。
 再選を受けた小林会長は「いままで以上にますます意欲的に頑張っていきたい。早急に配置人事をすませて2月の総会にのぞみたい」と、抱負を語っていました。女子プロ協会は、2月に総会を開き、この役員人事が承認され、正式に新体制がスタートする運びになっています。
◆新理事(8人)
 小林浩美(会長)
 伊藤佳子
 入江由香
 鈴木美重子
 寺沢範美
 原田香里
 宮田佳美
 山口喜美恵