9万人超の観客減少! 国内1増3減で過去最少23試合。来季の男子ツアー、苦肉のワンアジアツアーと2試合共催!!

国内1増3減の苦しい2013年男子ツアー日程を発表するJGTO海老沢勝二会長(中央)と山中博史専務理事(右)鷹羽正好理事(左)のJGTO幹部=東京・赤坂、日本ゴルフツアー機構
国内1増3減の苦しい2013年男子ツアー日程を発表するJGTO海老沢勝二会長(中央)と山中博史専務理事(右)鷹羽正好理事(左)のJGTO幹部=東京・赤坂、日本ゴルフツアー機構

 来季の男子ツアーは国内の3試合が中止となり、国内1試合、海外共催2試合が増え、試合数はことしと同じ25試合をかろうじて確保しました。中止になるのは5年間開催したキャノンオープン、2年間のとおとうみ浜松オープン、13年続いたサン・クロレラクラシックの3試合。一方、11月に「HEIWA・PGMドリームカップ IN 霞ヶ浦」(茨城・美浦GC)が新設され、国内開幕前の3月にはタイランド・オープンとインドネシアPGA選手権の2試合をワンアジアツアーと共催して行います。この海外2試合はJGTO選手枠60人を確保し、国内賞金ランキングに加算することになりましたが、国内で行われる試合は「1増3減」。国内23試合は07、09年の24試合を下回る過去最少。最多だった1983年の46試合に比べ半減です。主要スポンサーの複数撤退で、先行き不安な男子ツアーです。

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2012年のギャラリーは9万2766人(前年比)の大幅減となった男子ツアーは危機感いっぱい!来季は海外2試合と共催で、かろうじて今年と同じ25試合を確保した。(2012年日本シリーズJT杯から)
2012年のギャラリーは9万2766人(前年比)の大幅減となった男子ツアーは危機感いっぱい!来季は海外2試合と共催で、かろうじて今年と同じ25試合を確保した。(2012年日本シリーズJT杯から)

 不況続きの世相を反映して、男子ゴルフツアーは「試合が減るぞ、減るぞ!」といわれながら、ここ3年はなんとか25試合をキープしてきました。が、2013年を迎えてついに国内の主要3試合が中止。特にサン・クロレラは、夏を迎える7月の北海道で2000年が第1回大会でした。尾崎将司がプレーオフで勝ち、一躍名を挙げたトーナメントでした。第5回大会の04年からは名門・小樽CCが舞台となり、藤田寛之、谷原秀人、石川遼、池田勇太ら有名プロが歴代優勝者に名をつらね、今年で13回大会を迎えた老舗トーナメントでした。そのサン・クロレラがなくなるのは淋しい限りです。

人気トーナメントの最終戦、日本シリーズJT杯で石川遼を追いかける大勢のギャラリー。 来季は遼不在でギャラリーが集まるか?男子ツアー(東京よみうりCC)
人気トーナメントの最終戦、日本シリーズJT杯で石川遼を追いかける大勢のギャラリー。 来季は遼不在でギャラリーが集まるか?男子ツアー(東京よみうりCC)

 石川遼がプロ転向した08年から5年間開催したキャノンオープンは、今季池田勇太が大会2度目の優勝。最終日、最終組では3年ぶりに遼と直接対決、大会は盛り上がりをみせました。会場の戸塚CC西コースは都心からも近く、多くのギャラリーを集めるビッグトーナメントでしたが、日程発表ぎりぎりになってキャノンから日本ゴルフツアー機構に中止の申し入れがあり、男子ツアーに大打撃となりました。そのほかにも「撤退するのでは?」とうわさされる試合もまだ数試合ありますから、これを機になだれ現象が起きないかと心配です。石川遼が来季から米ツアーに本格参戦します。成績さえ残せばずっと先行き米ツアーに居座ることになりますから、日本のスポンサーにとっては大きなマイナス要素となることは間違いありません。

2年ぶりの優勝を飾った石川遼。日本シリーズではやはりNO1人気だったが・・(東京よみうり)
2年ぶりの優勝を飾った石川遼。日本シリーズではやはりNO1人気だったが・・(東京よみうり)

 新規大会は、パチンコ機、パチスロ機の製造、販売メーカーの「平和」と、そのグループ企業であるゴルフ場保有・運営会社「PGMホールディングス」が共同主催する「HEIWA・PGMドリームカップ IN 霞ヶ浦」。11月の第1週に開催されます。海外ツアーでは新興のワンアジアツアーのタイランドオープンが3月14日~17日に。同インドネシアプロ選手権が3月28日~31日に行われ、この2試合が日本ツアーと共催になります。日本人枠60人が確保されていますから実質的な開幕はこのタイ・オープンですが、国内の開幕戦は例年と同じ、4月18~21日の東建ホームメイト杯となります。最終戦は例年通り12月の日本シリーズJTカップです。

石川遼(右)が米ツアーへ去る来季、日本ツアーを支えるのはやはりアラフォーの藤田寛之(中)か、それとも若い藤本佳則(左)あたりが受け継ぐか=ジャパンツアー表彰式で
石川遼(右)が米ツアーへ去る来季、日本ツアーを支えるのはやはりアラフォーの藤田寛之(中)か、それとも若い藤本佳則(左)あたりが受け継ぐか=ジャパンツアー表彰式で

 賞金総額は未確定で来年1月下旬に賞金額を入れた最終日程が発表されますが、今季の33億5000万円(前年比2000万円増)からは減少する見通しです。国内の経済不況が長引き、スポンサーの獲得には毎年、苦戦している男子ツアー。それもあって前小泉直会長時代からアジアを中心とした海外ツアーとの共催には積極的な動きをみせていました。今季から新会長に就任した海老沢勝二氏は、厳しい経済状況を認めた上で「(国内試合数減少に)危機感を持っている。ゴルフ業界もドン底といっていい。時代に合ったツアーのやり方を模索し見極めていかなくてはと危惧している。我々の力不足もあったかもしれない・・」と、沈痛な面持ちで話しています。

2012年、藤田寛之に続く賞金ランク2位に入った44歳・谷口徹。やはり来季も強い?!(日本シリーズJT杯)
2012年、藤田寛之に続く賞金ランク2位に入った44歳・谷口徹。やはり来季も強い?!(日本シリーズJT杯)

 石川遼、池田勇太といったニュースターが台頭して、男子ツアーは一時活気づきましたが、プロ5年目を終わった石川はプロの壁にぶつかって2年間、勝ち星なし。ようやく11月の三井住友VISA太平洋で2年ぶりのV。池田も09、10年は2年連続で年間4勝をあげて存在感をみせたものの、腰や左手甲を痛めてからというもの、スイング改造などもあって11年、12年はかろうじて1勝ずつを挙げただけ。全体的には調子が上がらずじまいでツアーを盛り上げられませんでした。この二人の低迷で、すっかり元気をなくした男子ツアーは韓国勢の蹂躙(じゅうりん)にもあって“小粒”な戦国時代を呈しています。今年は43歳の藤田寛之が44歳の谷口徹と争って3年ぶりの日本人賞金王を奪回しましたが、ギャラリー動員では前年比9万2766人の大幅な減少を記録しました。25試合中17試合で前年比マイナスとなり、日本オープン、三井住友VISA太平洋、ミズノオープン、アジアパシフィックパナソニックオープン、中日クラウンズ、コカコーラ東海クラシック、キャノンオープンといった主要試合でのギャラリー減が目につきます。2011年は前年比3万7507人の減少。2010年は前年比1万1370人の増でしたから、年々減少をたどり、今季は一気に大幅な減を記録したことになります。

 海老沢勝二会長ならずとも危機感を感じざるを得ません。来季からは石川遼がいなくなるのですからなおさらです。毎年アラフォー族の賞金王争いでは、もちそうにありません。来年は東北福祉大4年生になる松山英樹の早々のプロ転向を“心待ち”する男子ツアーといえるでしょう。