トヨタが終わったらアウディ・・ヨネックスが去ればキャロウェイ・・捨てる神あれば拾う神あり。まだまだ高い「石川遼人気」!

所属のパナソニック、クラブ・用品等の使用契約のヨネックス・・とプロ5年の節目で契約延長をきられた石川遼。新たなスポンサーの支えで今季は米ツアーを主戦場に。
所属のパナソニック、クラブ・用品等の使用契約のヨネックス・・とプロ5年の節目で契約延長をきられた石川遼。新たなスポンサーの支えで今季は米ツアーを主戦場に。

 新らしい年があけて、ゴルフ界最初の話題は、石川遼(21)の独高級自動車メーカー「アウディジャパン」とのビッグなスポンサー契約の締結でした。3年契約で契約金は1億円(推定)。日本国内では同社のスポーツカータイプのトップモデル「R8」(価格2000万円相当)が貸与されるという大型契約は、さすが遼!というところです。昨秋11月の三井住友VISA太平洋マスターズで2年ぶりにやっと勝った石川遼の周辺には“冷たい風”も吹きはじめていました。プロ転向の08年1月以来、5年5億円(推定)の所属契約を結んできたパナソニックから昨年暮れ契約終了の通告を受けました。同じく、プロ転向以来、クラブおよび用品契約でサポートを受けてきたヨネックスとも、5年の契約満了で昨季で“縁”が切れました。そんな遼に、すぐさまアウディジャパンの登場です。秋風が身に染みていても「石川遼」の人気度・利用価値は、まだまだお値打ちのようで・・。米ツアーは今週開幕しましたが、石川遼は1月17日からの第3戦、フマナ・チャレンジ(カリフォルニア州PGAウエスト)から登場。暮れには一度あきらめたマスターズ出場の夢にチャレンジします。
  
   ☆★         ☆★

昨年の全日程を終え、ツアー表彰式でプレゼンターの尾崎直道(左)から特別賞・MIP賞(ゴルフファンが選ぶ“最も輝いていたプレーヤー”)の記念品を受け取る石川遼。この長髪も12月にはバッサリ切った。
昨年の全日程を終え、ツアー表彰式でプレゼンターの尾崎直道(左)から特別賞・MIP賞(ゴルフファンが選ぶ“最も輝いていたプレーヤー”)の記念品を受け取る石川遼。この長髪も12月にはバッサリ切った。

 暮れの12月、伸びていた頭髪をバッサリ切って短髪にし、後頭部と側頭部を思い切って刈り上げるなど、すっかりイメチェンを図った遼クン。短かったオフを練習で費やし、1月4日精悍な顔つきで東京・渋谷区のアウディジャパン販売店でのイベントに出席。その席でビッグなスポンサー契約が同社の大喜多寛社長から発表されました。アウディのロゴである4つの輪は、かつてドイツで生まれた4つのメーカーが結束した形をあらわす「4つの銀リング」なのです。その銀の輪を大喜多社長は「もし遼クンが世界の4つのメジャーに勝ったら銀リングを金に変えて車につけてあげたい」と、サプライズ提案。これには遼クンもおどろくやら、うれしいやら「夢のある話。4つとも全部金色になるよう頑張ります」と、顔を紅潮させて返答していました。すでに石川は、09年、10年のフジサンケイクラシックの優勝副賞でアウディを2台獲得しています。しかし今回は最新モデルの「R8」だけに、展示してあったニューカーに「一目でゾクッときた。憧れのクルマですから」と、興奮ぎみ。求められるとフロントガラスに「革新」と今季の自らのテーマを書き込みました。

 逆風が吹きかけていた石川遼に力を与えるようなアウディジャパンの登場ですが、遼はプロ転向から4年間はトヨタとスポンサー契約を続け、昨年3月に契約を満了したばかり。大喜多社長によれば、アウディは遼がプロになるときもオファーしていたそうですが、トヨタが終われば今度はライバル車のアウディとすぐさま契約を取り付けるあたりは、石川サイドの抜け目のない“商魂”ではあります。

賞金王と最優秀選手賞の藤田寛之(右)とツーショット。インタビューを受ける石川遼(左)=ツアー表彰式で
賞金王と最優秀選手賞の藤田寛之(右)とツーショット。インタビューを受ける石川遼(左)=ツアー表彰式で

 2013年1月限りで所属契約を解消するとパナソニックから通告を受けた石川遼は衝撃だったでしょう。プロゴルファーにとって、契約料のほか遠征費用や多くのサポートを受けられる「所属契約」は、貴重なものです。「フリー」であれば、そうした諸費用はすべて自分持ちでツアーを転戦しなくてはなりません。それでなくても石川とパナソニックは、遼が当時高校1年でプロ転向を表明した08年1月から5年間のビッグ契約で、パナソニックの顔にもなってきたのです。経営悪化に見舞われたパナソニックでは、遼と契約したその年から開催してきた男子ツアーのパナソニック・オープンも経費節減のため、2013年限りで打ち切ることも併せて発表。石川にはまさにダブルショックだったに違いありません。

 石川はプロ5年の節目を終えた昨年、プロ転向時から使用してきたヨネックスとのクラブ、用品契約も、契約満了を迎えて契約延長はしないとの通告を受けていました。石川サイドは新たにクラブメーカー各社との交渉を続け、これも今季から外資系のキャロウェイと複数年契約を結ぶ方向で煮詰まっているといわれています。

今季は米国を主戦場にする石川遼。芝生の違う米国のグリーンをどこまで征服できるか。活躍できるかどうかの大きなキーがパターだ。
今季は米国を主戦場にする石川遼。芝生の違う米国のグリーンをどこまで征服できるか。活躍できるかどうかの大きなキーがパターだ。

 渡る世間に鬼はないー捨てる神あれば拾う神あり・・ひところの遼フィバーは収まったとはいえ「石川遼」のネーミングにはまだまだ魅力十分なものがあるようです。トヨタが終わればアウディあり、ヨネックスが去ればキャロウェイが・・というわけで、石川が契約している主な企業はまだ10社をくだりません。契約先が新しくなれば、新たに契約金等がもらえて収入増になるケースも多いものです。いまのところはフリーになりましたが、次の所属契約を狙っている企業のうわさも絶えません。近い将来、新たなスポンサーが名乗り出る公算は大です。

 主戦場を米国に移して戦う今季の石川遼は、クラブもウエアも変わって文字通り心機一転の“戦場”に乗り込みます。海の向こうでのゴルフは、いろいろな面で日本とは勝手が違います。移動一つにしても、3時間もの時差のある国内を行き来しなくてはなりません。そんな米国では、フロリダと南カリフォルニアの東部、西部2ヵ所に、チーム遼の本拠となる「自宅」を確保しているそうです。

 「米ツアーで自分がどこまでやれるか。挑戦の気持ちを強く持ち、これを契機に革新的なゴルファーになれるように前進していきたい」 と語っている石川遼です。

 1月17日からのフマナ・チャレンジを第1戦にファーマーズ・インシュアランス、フェニックスと3連戦を戦って1試合おき、次のノーザントラストオープンを戦うのがスタート戦線のスケジュールです。もしこの序盤戦で優勝するか、そうでなくても好成績をあげて3月末までに世界ランキング50位以内に上がってくれば、あきらめかけたマスターズへの出場権もゲットできる可能性がまだ残っています。米国からの速報が楽しみです。