300ヤードの飛距離ひっ提げ、英樹・遼世代にまた一人新星が輝く! 大堀裕次郎

決勝では杉山に9アンド8で圧勝、初の日本アマチャンピオンに輝いた大堀裕次郎(大阪学院大4年)=埼玉・東京GC(写真提供:日本ゴルフ協会)
決勝では杉山に9アンド8で圧勝、初の日本アマチャンピオンに輝いた大堀裕次郎(大阪学院大4年)=埼玉・東京GC(写真提供:日本ゴルフ協会)

 アマチュアゴルフのトップを争う日本アマチュア選手権。女子では6月に16歳の飛ばし屋・森田遥(香川・高松中央高2年)が今年の女王の座につきましたが、男子では13日、大阪学院大4年の大堀裕次郎(おおほり・ゆうじろう=21)が、9アンド8の大差をつけて中央学院大2年の杉山知靖(20)を降し、初優勝しました(埼玉・東京ゴルフ倶楽部)。松山英樹、石川遼とは同学年。兵庫県生まれ。大阪学院大高時代にはJGAチーム・ジャパン・ジュニアに石川遼らとともに選ばれた逸材。今年5月の関西アマで優勝。182センチの長身を生かした300ヤードのドライバーが売り物。今秋の予選会を経て来季のプロツアー参戦を目指していますが、兄・耕太郎さん(25)はトップアマ、次姉・薫さん(23)は2010年の日本女子学生に優勝したプロ志望と、ゴルフ一家の末っ子。苦労を味わった末に花開いた裕次郎が“英樹・遼時代”に割って入れますかどうかー。

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1メートル82の長身を生かした300ヤードドライブを放つ大堀裕次郎。日本アマ優勝の勲章を引っ提げ、来季からは松山・石川世代の新星としてプロの世界へ・・(日本アマ選手権=埼玉・東京GC)写真提供:日本ゴルフ協会
1メートル82の長身を生かした300ヤードドライブを放つ大堀裕次郎。日本アマ優勝の勲章を引っ提げ、来季からは松山・石川世代の新星としてプロの世界へ・・(日本アマ選手権=埼玉・東京GC)写真提供:日本ゴルフ協会

 36ホールマッチプレーという長丁場の舞台。最後は8ホールを残してアマ日本一の座についた裕次郎は、大粒の涙を流して優勝スピーチをしました。「まさか優勝できるとは思っていませんでしたが、最後まで自分のペースで戦えました・・」

 決勝戦の相手は、横浜から高知・明徳義塾高にゴルフ留学。松山英樹の2学年下で現在は中央学院大2年の杉山知靖(20)。決勝戦では、大堀が持ち前の長打力で杉山を圧倒。出だしから2連続アップを奪い、前半の18ホールで4アップ。後半の18ホールも、最初の9ホールで8アップ。勝負が決まった28ホール目は、残り154ヤードを9番アイアンでピン手前70センチにぴたりつけるバーディーチャンス。ボギーパットも、ミスした杉山がギブアップし、勝負が決まりました。

 予選トップ通過の李首民(イスミン、韓国=19)と準決勝で対戦。延長の末、20ホール目で勝ち、決勝に進んだ大堀。連日、気温35度超の酷暑の中で、5日間の長丁場を勝ち抜きました。大阪学院大のゴルフ部員のほか、父の純一さん。同じプロを目指す次姉の薫さんら“ゴルフ一家”も勢ぞろいして声をからした応援団に、見事に応えてみせました。

決勝で大堀に8ホールを残して敗れた杉山知靖(中央学院大2年)。「自分のゴルフが全然できなかった。力尽きた!」と、猛暑の中の5日間にガックリ(日本アマ選手権=埼玉・東京GC)写真:日本ゴルフ協会
決勝で大堀に8ホールを残して敗れた杉山知靖(中央学院大2年)。「自分のゴルフが全然できなかった。力尽きた!」と、猛暑の中の5日間にガックリ(日本アマ選手権=埼玉・東京GC)写真:日本ゴルフ協会

 10歳でゴルフを始めた大堀は、順調な足取りで成長はしましたが、高校2年のころからドライバーが大きく曲がるスランプに陥り、低迷が続きました。才能に恵まれながらもなかなか芽が出ず苦しい年代が続いたのです。
復調のきっかけになったのは、日本アマの優勝経験を持つ湯原信光プロとの出会いでした。
昨年は日本プロシニアで湯原プロのキャディーをして学び、悩みも聞いてもらいました。今年2月のタイでは合宿を共にし、「技術面より、精神面が向上したと思います。プロはミスした瞬間は怒りまくっても、次のショットまでには完全に切り替えられる。自分もこれが少しずつできるようになった」という。

 “まさか”と思っていたアマ日本一の座をつかみ取りました。苦労の末のビッグタイトルに涙があふれました。今年8月には来季のプロツアー出場権をかけた予選会(QT)にエントリーして最終予選での上位を狙います。大きな魚は釣り上げましたが、大堀の本当のゴルフ人生はこれからが本番です。英樹・遼世代にまた一人新星が出現したことは間違いありませんが、「二人はすごいとは思いますが、あまり意識はしていません。自分ができることをコツコツやるだけです」ーと足元をしっかりと見つめています。

 来年からは松山・石川たちと同じ舞台で戦う大堀裕次郎をお忘れなく!!