頸椎(けいつい)ヘルニアと戦う片山晋呉。 もう2ヵ月も欠場続き。9月の「片山晋呉招待」の新規試合(非公式競技)に間に合うか?!

理論派といわれる通り、″完ぺき〝を期す片山晋呉のスイング。
理論派といわれる通り、″完ぺき〝を期す片山晋呉のスイング。

男子の永久シード選手、片山晋呉(41)が最近トーナメントから姿を消して心配する声が上がっています。先週行われた女子ツアーのサマンサタバサ・レディース(茨城・イーグルポイントGC)のプロアマ戦(7月17日)にゲストとして登場、久々のプレーをしましたが、本来のフルスイングには程遠い軽めのショットでお茶を濁して?いました。実は、片山プロ、日本プロ選手権日清カップヌードル杯(6月5~8日)から欠場が続いています。病名は「頸椎(けいつい)ヘルニア」。首、肩、腰と背中じゅうに違和感がある厄介な病状。治療に専念しているというのが実情ですが、9月12日から3日間、「片山晋呉招待ネスレ日本マッチプレー選手権」(静岡・葛城GC=非公式競技)を控えているだけに、先行き不安がつのっています・・。

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クラブを使ってスイングプレーンをチェックする片山晋呉。
クラブを使ってスイングプレーンをチェックする片山晋呉。

サマンサタバサ・レディースが開催されたイーグルポイントGCは、かって片山晋呉が所属していたコース。現在もアドバイザリー・プロとして同コースにかかわっていて、一昨年以来2度目のプロアマ大会参加となったものです。サマンサタバサの契約プロである山村彩恵(さえ)の組に入ってプレー。山村は以前、片山のキャディーをしたこともある旧知の仲。ゴルフ界きっての理論派でもある片山だけに、プレー中は山村にアドバイスをする場面もありました。「片山さんからは、きれいなスイングばかり求め過ぎてはダメ。ズレたときにうまくいかない。下半身と上半身が同調するスイングを目指しなさい、とアドバイスされました」(山村)とか。コースも熟知している片山ですから、山村はまたとない″名コーチ〝を同伴して、貴重なプロアマ大会になったことでしょう。

それはともかく、問題の片山の方ですが、久々に華麗な晋呉スイングが見られるかと思われましたが、現実はそうは甘くはありませんでした。軽く振って同組のアマチュア組に歩調を合わせる程度。ツアーに出て戦うにはあまりにも程遠いスイングでした。
「まだまだゴルフを楽しむという段階でもない。ただ参加させてもらっただけ。体はいろいろ診てもらってるが、はっきりした原因が分からない。トレーニングも思うようにできない状態だけど、いまはムリする時期ではないと思っている。9月に復帰できたらいいけど、回復しなかったら今シーズンはもうダメかもね・・」と、不安がいっぱいのコメントを残した片山プロです。

ティーグラウンドでホールの攻め方をチェックする片山晋呉。
ティーグラウンドでホールの攻め方をチェックする片山晋呉。

昨年の同時期は全英オープンに出場して予選を通過、4日間を戦った片山(44位)でしたが、1年後の今年はガラリと様相が変わって苦しみの日々です。5月下旬のミズノオープンの時に肩から背中に違和感を感じたというのが始まり。次週のメジャー、日本プロは出場予定でしたが、前日になっても背中から腰にかけての違和感が取れず、初日にプレーしないまま「腰痛」として欠場を申し出ました。それ以来、試合から遠ざかっていますが、日本プロの次週の日本ゴルフツアー選手権では「頸椎(けいつい)ヘルニア」の病名での欠場でした。「頸椎」とは「首の部分にある7個のせきつい骨」(旺文社・国語辞典)とありますから、確かに首から腰にかけての違和感なのでしょう。本格的なゴルフスイングは到底できない故障です。

試合から離れてもう2ヵ月近くが経ちます。その8週間のうち、男子ツアーは3試合しか日程が組まれていないのは不幸中の幸いでしたが、これから大きな試合の続く秋の陣に、晋呉が出られるのかどうか、不安がいっぱいです。永久シード選手ですから、シード権のあるなしは問題ありませんが、9月12日から予定されている自分の名前を冠にした第一回の「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権」が開催されるのが気がかりです。

ドライバーショットの構えに入る片山晋呉。
ドライバーショットの構えに入る片山晋呉。

この大会は、片山晋呉とネスレ日本が手を組み、国内男子ツアーに属さない新規トーナメント(非公式競技)を開催しようという注目の試合です。優勝者には日本オープンと同額(昨年)の4000万円に加え、海外挑戦資金1000万円を与えるというビッグな内容。TV中継も地上波でなく、BS-TBSでの完全ナマ中継する予定という。これほどの試合をなぜ男子ツアーに組み込まないかが、問題ですが、片山は「ツアーに入ってしまうと、やりたいこと、見せたいことが出来ない。いまのツアーはスポンサー色がすごく強い。そうではなくて、見ている人がもっと純粋に試合を楽しめる大会にしたい」と説明、実際に試合中にもツアーではできな色々な演出を予定しているようです。出場選手は、前年の成績を元に32選手が選ばれ、1回戦は16試合が行われます。優勝者は欧州ツアーのハッサン2世杯の出場権も得ることになります。

この週は男子ツアーはない週ではありますが、最近試合数が激減している男子ツアーをあざ笑う?ような殴り込み?ではないかと物議をかもしています。国内ツアーの既存のルールに縛られない自由と理想を求めたトーナメントであることには間違いありません。高岡社長は「アジアを代表するツアーに、日本の国内ツアーが成長するようならその中でやってもいいのですが・・」と、含みを持たせていますが、とにかく第一回のこのイベント。ホスト役の片山晋呉がプレーしないとなると、いささか寂しい大会になってしまいます。98年春、胸部椎間板ヘルニアの手術を受ける大病を経験している片山です。当時、復帰が危ぶまれた同年6月にツアーに戻ると、8月の「サンコーグランドサマー」で初優勝を遂げるドラマを演じました。今回、それ以来かという大きな体調不調に襲われた晋呉です。まだまだ老け込むトシではありません。ツアー通算27勝。賞金王5回。6人しかいない永久シード選手です。執念の回復力に期待がかかります。

◆片山晋呉、今季の成績

4.17~20 東建ホームメイト 28位

4.24~27 つるやオープン 5位

5.1~4 中日クラウンズ 19位

5.22~25 関西オープン 予選落ち

5.29~6.1 ミズノオープン 34位