小平智(23)、日本オープンVで一躍脚光!古閑美保プロとの恋仲はどうなる?

小平智(23)、国内最高峰の日本オープンチャンピオンに。嬉しい優勝カップを抱く(兵庫・六甲国際東)=写真提供:いずれも日本ゴルフ協会
小平智(23)、国内最高峰の日本オープンチャンピオンに。嬉しい優勝カップを抱く(兵庫・六甲国際東)=写真提供:いずれも日本ゴルフ協会

プロ6年目の小平智(26)=日大中退、東京出身= が、国内最高峰の日本オープン(10月15~18日、兵庫・六甲国際GC東)を劇的に制し、賞金4000万円を獲得しました。大会連覇を狙った池田勇太(29)と最終組で直接対決、最終18番まで13アンダーで肩を並べるデットヒートの末、ボギーにした池田を1打差で振り切り、昨年1打差2位のリベンジを見事に果たしました。プロ3勝目で、一昨年の日本ツアー選手権に続く20代での国内メジャー2勝。5年シードと来年の全英オープンの出場権をゲット。賞金ランクも一躍3位に浮上です。女子プロゴルファー古閑美保(33)との交際でも話題の26歳は、国内トッププレーヤーの仲間入りに名乗りをあげてきたといってもいいでしょう。

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今季のゴルファーNO1を決める大会にふさわしい息詰まる攻防でした。単独首位で最終日をスタートした小平は、5番までに池田との差を4打に広げましたが、池田の猛追はそこからでした。3つのバーディーを重ねて後半へターンした池田。小平は10番を落として1打差。13番ではラフを渡り歩いた小平が、またボギーにしてついに通算12アンダーで二人がトップに並びました。残りは難易度の高い5ホール。15番(パー4)でともにロングパットを残し、池田の10㍍はカップに蹴られて入らずパー。続く小平は8㍍の軽いスライスラインに乗せて真ん中から沈めるバーディー。1打リードで残り3ホールというところで、池田は17番(パー3)の5.5㍍を執念のバーディー。通算13アンダーとして、二人は最難関の18番(490ヤード、パー4)での勝負になりました。

プロ6年目、小平智。飛ばし屋でショットメーカーでもある安定した選手だ。(日本オープン=兵庫・六甲国際東)
プロ6年目、小平智。飛ばし屋でショットメーカーでもある安定した選手だ。(日本オープン=兵庫・六甲国際東)

バーディーを奪ってオーナーとなった池田が、リズムに乗ってアドレスに入った直後、携帯音が響いて腰を折られました。仕切り直した勇太のドライバーは、左サイドに口を開けていたフェアウェイバンカーにつかまりました。すぐ前が土手で盛り上がるという最悪のライ。6番アイアンでなんとか高く上げましたがグリーンには届かず、手前の花道までが精いっぱい。3打目でカップ3㍍に乗せました。一方、小平はドライバーでフェアウェイをキープして、流れが変わりました。セカンドはピン左15㍍とはいえ2オンして優位に立ちました。このロングパットも約1㍍に寄せ、続いて打った池田のパーパットはカップ左を抜けてパーならず。1㍍のパーパットを慎重に沈めた小平のきわどい勝利で幕となりました。

「最後、パーパットを入れない自分が悪い。あれを外したのでは意味がない。きょうは前半無駄なボギーが多かった。それに携帯は1番からずっとだよ・・」と、最後の最後でツキに見放され、連覇を逸した池田は肩を落としました。

昨年の大会覇者、池田勇太から優勝ブレザーを着せかけてもらった小平は、念願のビッグタイトルを手中にして感慨は頂点に。長い長い72ホール目の決着でしたが、攻めるところは攻めまくった前向きのゴルフがこの栄冠をもたらしました。最終日も、右曲りで366ヤードの短いパー4では、果敢にワンオンを狙い、グリーンエッジまで運んでイージーバーディーをモノにしました。これもひと月前から始めたメンタルトレーニングの成果でした。師匠は日大教授で脳神経外科の世界的権威である林成之氏。

大会連覇を狙った池田勇太、最終日最終18番まで夢を繋いだが、最後ボギーで惜敗(日本オープン=兵庫・六甲国際GC東)
大会連覇を狙った池田勇太、最終日最終18番まで夢を繋いだが、最後ボギーで惜敗(日本オープン=兵庫・六甲国際GC東)

「最後の優勝カップを持っているイメージをずっと感じてプレーしなさい」
「バーディーとるのは当たり前だと考えなさい。バーディーはご褒美などとは考えないこと。ご褒美だと思うから、次のホールでボギーがくる」
「世界のトップ5の選手は、連続バーディーの数が多い。日本人選手は連続バーディーが少ない(これらをデータで示してもらった)」
「日本人には、おもてなしじゃないけど、そういう気持ちがあるから弱い。最後までスキを見せるな」
「普段やってないことをやらないで、そこから外れると脳がパニックを起こす。練習でやってないことは本番では絶対やらない」・・等々。

ゴルフに造詣(ぞうけい)が深い林先生からのアドバイスは、小平を劇的に変えたといえそうです。最終日の前夜にも、体の動きを考えた上でのパットの助言をメールで送ってもらったそうです。「教えてくれることが詳細で、データに基づいているから信頼がおける。こう思ってなかったらできなかったと思うことがあるし、こんなにすぐ結果がでるとは思わなかった。考え方でゴルフもゴルフも変わってくるんだなあと改めて感じてます」(小平)。

練習グリーンでパット練習する小平智(左)のラインを見つめる古閑美保(右)=(9月末のダイヤモンド・カップ=茨城・大利根CC西)
練習グリーンでパット練習する小平智(左)のラインを見つめる古閑美保(右)=(9月末のダイヤモンド・カップ=茨城・大利根CC西)

飛ばし屋で、ショットメイクにも秀でている小平に、林先生に叩き込まれた強烈なプラス思考は、鬼に金棒の強さを注入したといえそう。「次の目標は賞金王」といってはばからない小平には、海外志向も強く、来季の全英オープンの出場資格ゲットは、またとないチャンスといえそうです。初出場した13年の全英では「こてんぱんにやられました。今度は決勝に残って上位争いをしたい」と、夢を語る小平です。昨年は米ツアーのQスクール(予選会)も受験して失敗しています。その再挑戦も控えています。目下、恋人で心の支えにもなっているという古閑美保プロとの交際も順調のようですが、プロゴルファーとして上昇気流に乗ってきたいまの小平には、愛だ恋だとうつつを抜かしているヒマはないでしょう。

片山晋呉には「(出る杭は打たれるけど)出過ぎた杭は打たれない」と、言われたそうですが、小平には過去に忘れられない″傷〝があります。日本ゴルフツアー選手権でプロ初優勝した13年の12月夜、千葉市内でタクシー運転手といざこざを起こし、パトカー騒ぎの″事件〝を引き起こしたことがあります。大事には至らず事なきをえましたが、トッププレーヤーにのし上がってきたいま、小平智が心しなければならない一面でもあるでしょう。日本男子ツアーに新星の登場ーを感じさせた今年の日本オープンです。