シニアツアーは60歳の還暦を迎えた室田淳が強い!日本プロシニア選手権住友商事サミットカップ(10月8~11日、茨城県石岡市・サミットGC)。初日から首位を走った室田淳が、最終日も4つスコアを伸ばす万全のゴルフで追撃を寄せつけず、通算16アンダーで完全優勝。賞金1000万円を獲得しました。今季3勝目でプロシニアは4度目のV。シニア通算15勝目の貫録を示しました。今季9戦中4勝して旋風を巻き起こしてきた″無名〝の崎山武志(52)は、この試合初日室田らとともにトップ発進しながらスコアが伸びず、結局首位に8打差の11位タイ。賞金ランキングでは1位を独走していた崎山に、室田は約752万円差と迫って立ちはだかってきました。ほぼこの二人に絞られてきたシニアの賞金王レース。残り4試合のバトルがが然ヒートアップです。
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この7月に還暦を迎えた室田ですが、″シニアの鉄人”ぶりは一向に変わりません。今年は開幕第3戦のスターツ・シニアを54ホール最少の19アンダーで制し、8月のファンケルでは2日目に首位に立ちそのまま盤石の逃げ切り。めったに観戦に来ない真奈美夫人と次女真子さんの前での優勝を果たしました。この試合では優勝賞金1500万円のほかに、60歳以上の最上位者に与えられるグランドシニア賞の300万円も合わせてゲットしました。「60歳になってトシを感じて自分でも情けなくなる時があるけど、いままで100%の力で力んでいたのを70~80%出ればいいと思ったら空回りしなくなった。失敗も許せるようになった」(室田)と、悟りのような境地になったら、室田はまた強くなりました。
この試合、2打差のリードで出た最終日も、ゆうゆうたるプレーぶりで危なげなし。追ってくる白浜育男、杉原敏一、奥田靖己らに凄みがなかったのも″楽勝〝に輪をかけました。
「きょうのゴルフは50点くらい」(室田)という通り、前半はチャンスにつけてもパットが入らず伸び悩み。それでも追いつかれることはなく、後半には3バーディーを奪って2位に3打差と突き離しました。
★室田淳の優勝コメント
「去年、おととしとプレーオフで2年続けて負けている試合だからね。3度目の正直で頑張らなきゃと緊張してたよ。調子はあまり良くなかったけど、一番はボギーが少なかったことかな(この日1ボギー。4日間で3ボギー)。ボギーを出さなきゃ、下は伸ばすしかないでしょ。ボードを見ながら、追いつかれるまでは大丈夫だろうと思ってやってました。初日、2日目はパターがよかったからね。ショットはよくない。同じスイングができないし・・。トシだね。ただ全日空(9月17~20日)からシャフトを交換したらちょっと飛距離が出るようになった。(崎山と賞金差が約750万円になったが・・)勝たないと超えないのが賞金差だから、残り4試合、1つか2つ勝てればね・・。チャンスあるかも」
国内シニアツアーは全13試合。これまで9戦で崎山4勝(4997万9214円)、室田が3勝(4245万6999円)。室田の追い上げによって、二人で7勝しているのですから、まさに″2強〝の様相です。3位の田村尚之が1932万円ですから、今季の賞金レースはもう崎山・室田の争いに絞られたといっていいでしょう。ただ、崎山が米シニア挑戦の強い意向を示し、今季の実績で12月1日からアリゾナ州TPCスコッツデールでのチャンピオンズツアー最終予選会へのエントリーが決まっています。従って日本のシニアツアー最終戦のいわさき白露シニア(11月27~29日)は、おそらく欠場せざるを得ないでしょう。そうなると崎山の残り試合は3(日本シニアOP、富士フィルムシニア、ISPS・HANDA杯)。4試合すべてに出場する室田との激しい争いはどう決着するでしょうか。室田が逆転してとれば、4度目の賞金王でず。
″崎山の独走、許さじ”と、60歳にして追い上げてきた室田持ち前の執念は、すさまじいものがあります。いまだにシニアとレギュラー両ツアーにかけもち出場。昨年、59歳にして5年ぶりにレギュラーツアー賞金シードに復帰。杉原輝雄、尾崎将司の57歳を更新する最年長賞金シード選手となりました。昨季は日本オープン6位に入るなど健在ぶりを誇示しました。今季もレギュラーツアーにはこれまで11試合出場。東建ホームメイトの12位が最高位ですが、現在賞金ランク79位にいます。今年5月には全米プロシニア(22位)、6月には全米シニアOP(33位)にも遠征して予選をクリアしています。国内シニアツアーは7戦に出て優勝3回。9月最終週には、60歳になって資格を得たグランドシニアの「ユニデンクラシック」(非ツアー)に初登場してこれにも優勝。賞金540万円をかっさらいました。その翌日がレギュラーの東海クラシックという強行日程もものかわ、まさに″シニアの鉄人”の名をほしいままにしている60歳です。
若い時から腰痛持ちの室田ですが、シニアになってからも腰への負担が少ないスイングに改良、180㌢、80㌔の恵まれた体躯を生かして飛距離もキープ。粘り強いゴルフを続けています。14年には母校日本体育大の客員教授に就任、学生たちに自らの体験談を語ってゴルフ振興への一助も務めています。今季、日本プロシニアを獲り、残る4試合の中でも日本シニアオープン(10月29~11月1日、三重・白山ヴィレッジ)へは、2年ぶり3度目の″最高峰〝を狙って虎視眈々(こしたんたん)です。目指す逆転賞金王と合わせて、″無名の刺客〝には負けてはいられないでしょう。