女子ゴルフツアー、開幕第2戦も韓国パワーが炸裂です!全美貞(ジョン・ミ・ジョン、34)が、ツアー初Vを目指した藤崎莉歩(25)をプレーオフで下しました。開幕戦も、22歳の新鋭、川岸史果(ふみか)がプロ初Vの夢を、アン・ソンジュ(韓国、29)に阻まれて涙しました。これで女子プロツアーは昨季10月のマスターズGCレディス以来、8試合連続で外国勢が優勝を続けています。昨季は全38試合中23試合で外国勢が優勝、賞金女王も2年連続でイ・ボミ(韓国)に奪われている女子ツアーですが、今季もその勢いはまだ止まりません。日本勢も若手の躍進が目立つ女子プロ界で活気は出ていますが、打倒外国勢の大きなテーマとの闘いは一層際立ってきました。
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先週の川岸史果に続いてお前もか!プロ8年目、ツアー初Vの夢をプレーオフに託した藤崎莉歩も、1ホール目、全美貞に7㍍のバーディーパットをあっさりと決められて天を仰ぎました。今週はすばらしい藤崎のプレーでした。ティーチングプロを父親に持つ藤崎は、大阪・堺市出身。11歳から父親の手ほどきでゴルフを覚え、高校卒業後2010年のプロテストに合格。15年、ステップアップツアー(下部ツアー)の「京都レディス」で優勝していますが、まだシードはとったことがありません。昨年もQTランキング45位で戦い戦果は上がらず、今季はQTランキングを28位に上げてほとんどのツアーに出場できるチャンスをつかみました。開幕のダイキンオーキッドは予選落ちのあと、第2戦は初日「69」で4位スタート。2Rも「70」とスコアを伸ばして首位に1打差の2位タイで最終日を迎えていました。
その最終日、前半はパープレーで耐え、15番からの大詰めで3連続バーディーの爆発はお見事でした。6㍍(15番)、4㍍(16番)と長めのパットを沈めたあと、圧巻は17番。グリーン奥のカラー附近から10㍍超のロングパット。しかも「スライスしてカップ近くでフックする速いライン。距離合わせに行ったのですが、ラインが合っていて入ってくれた」(藤崎)。難解なS字ラインを読み切って決めたこのバーディーで通算7アンダー、先に上がっていたトップ、全美貞に並びかけました。最終18番でバーディーなら優勝でしたが、ピンに真っ直ぐ飛んだセカンドショットが止まらず、グリーン奥のラフへ転がり落ちました。寄せたチップが1.5㍍ほど残して逆にピンチ。このしびれるパーパット「スコアボードを見ないで、ただ入れることだけを考えて打った」(藤崎)と、真ん中から決めてプレーオフに持ち込んだのです。
しかし、1ホール目、パーパットを残した藤崎の見守る中、全が7㍍のバーディーパットを沈めてあっさりと勝負はつきました。「あれを入れられては・・」といった表情で、笑顔を見せて天を仰いだ藤崎莉歩。初めて経験するプレーオフでの得難い経験を積みました。ティーチングプロの父親(敬一さん、59)の手ほどきがあったとはいえ、スイングプレーンに沿って正確にクラブを振り抜くスイングは、今回フェアウェイの狭い土佐コースでこのスコアが出ても不思議はないゴルフでした。8年目の大魚は逸しましたが、今季のブレークが期待できるニューフェースの出現です。
それにしても、強い全美貞が戻ってきました。05年の開幕戦、ダイキンオーキッドで日本ツアーにデビューして以来、常勝軍の強さをみせて賞金女王にもなるトッププレーヤー駆け上がりました。30歳を過ぎた14年あたりから、右手首や肩の故障が続いて大スランプに見舞われました。自信もなくしかけて、一時は「引退」も考える窮地にたちましたが、義兄でコーチの金鐘哲さんが支えとなって16年7月のサマンサタバサ・レディースで3年ぶりの復活V。この昨年、2勝を挙げて賞金ランキングも7位にカムバックしました。
★本格復調の足場を固めた全美貞の優勝コメント
「ノーボギーのプレーを目指してやったらチャンスがきました。プレーオフの7㍍のパットはグリーンが速くて止まらないと思ったので、寄せたいと思って打った。(本戦の)18番は強く振ろうと思ったら、体が止まってしまって引っかけた。100%OBでしたね。木に当たって跳ね戻ってくるなんて、今日はついてると思いました(パーで逃げた)。今年は兄とカリフォルニアで40日くらい合宿しました。ドライバーも替えましたが、スイングの動きも変えました。10ヤードほど飛距離も伸びているし、今週の結果で自信になりました。(通算25勝で永久シードの)30勝に近づきましたが、近づけば近づくほど緊張感があります。あまり欲張らり過ぎないように私なりに頑張りたいです」
生涯獲得賞金も10億円を超え、史上4人目の大台突破になります。イ・ボミ始め李知姫、アン・ソンジュ、申ジエ、キム・ハヌル・・と実力派の韓国勢が日本ツアーを席巻。″打倒韓国”が日本勢の大きなテーマになっていますが、その先陣を行くベテラン全美貞の健在ぶりが、ここで改めてクローズアップです。一方、頭をもたげてきては次々と鼻っぱしを折られる日本の若手陣。だれが層の厚い韓国パワー(外国勢も)を止めるのか!今季はまだ始まったばかりですが、興味深いこれからの戦いになりそうです。