今年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯が史上初めてパブリック・コースで開催されることで話題を集めています。第51回を迎える老舗メジャー、日本女子プロは9月6日から4日間行われますが、開催コースはメンバーコースではなく、パブリックコースの富山・小杉CC(射水市)。女子プロ協会では「ゴルフの普及、拡大を目指す意味で初めての体験。ゴルフをしない人も気楽に見に来て欲しい」(小林浩美会長)としていますが、平成2年開場の小杉CC(設計:大成建設)は、 広々とした丘陵コース。パブリックコースではクォリティの高いゴルフ場として知られています。日本パブリックゴルフ協会の加盟コースでもあり、平成12年には全日本パブリック選手権も開催されました。このコースで女子プロが4日間でどれほどのアンダーパーを出しますか。今年の女子プロ選手権は見どころいっぱいです。
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プロのメジャー大会をパブリックコースでやる!とは、ゴルフ界ではこれまで聞きなれない話でした。メジャー大会どころか、プロのツアートーナメントをやるコースは、決まってメンバーシップのゴルフ場、というのが定説でした。メンバーコースに比べて、パブリックコースは距離も短くてやさしい、クォリティも低い、メンテナンスもよくない等々の〝差別 ″が巷では語られてきました。
今回、過去の定説を破って、日本女子プロ選手権をパブリックコースに持ってきたのはすばらしいことです。米国では有名なパブリックコース「ベスページ・ステートパーク(ブラックコース=ニューヨーク)」でUSオープンを何回も開催していますし、全英オープンの開催コースで知られるセント・アンドリューズ(スコットランド)もパブリックコースです。確かに名門といわれるメンバーシップのコースにはかなわなくても、メンバーコースにひけをとらない立派なパブリックコースは日本にも数多く存在します。これまでプロの試合がほとんどパブリックで行われなかったのが不思議なくらいでした。
女子プロ選手権を開催する富山・小杉CCは、なだらかな丘陵地を生かして設計された「ホールごとに表情を変える自然にやさしいコース」(小杉CC・吉田清男副社長)。広めのフェアウェイにベントのワングリーン。ヤーデージはアウト3340ヤード、イン3265ヤードで計6605ヤード、パー72。メンバーコースとなんら劣らない設定になっています。2015年と16年にLPGAのレジェンズチャンピオンシップ(女子シニア)を2度開催したことがあります。今回の女子プロ選手権のコースセッティングを担当する塩谷育代プロは「フェアウェイも広いしプロたちには攻撃的なゴルフをしてもらいたい。選手を苦しめるより、楽しんでいいスコアをどんどん出せるセッティングにしたいと思ってます。優勝ラインは2けたのビッグスコアが期待できます」と語っています。
また同じくコースセッティング担当の岡本綾子プロは「アメリカではパブリックコースでのプロのトーナメントは少なくありません。私も経験してきました。メンバーシップのコースにこだわるのではなく、パブリックコースもどんなに素晴らしいところがあるか、今回日本でも多くのみなさんに示したい。今年の女子プロ選手権は、それも目的の一つです」と、パブリックコース開催についての意義に力を込めています。大会は、フェアウェイ幅25~30ヤード、グリーンの速さ12フィートでコンパクションは23と、例年並みのコースセッティングにできるという。
昨年、創立50周年を迎えたLPGAは「日本女子プロ選手権をアジアNO1にすることを目指し、その意味でも今年は各国からプロを招いています」(小林浩美会長)と、中国からヤン・ジン(22)、タイからスパマス・サンチャン(22)のアジア2選手を参加させます。女子プロ協会が力を入れるこの時期に、メジャー大会の会場をあえてパブリック・コースに選んだのは、英断といえるでしょう。
小杉CCの吉田副社長は「初めてプロのメジャーをパブリックで開催していただき感謝にたえません。全国にはパブリックコースでもクオリティの高いコースがいくつもあります。その一つをお見せする意味でも、今回は万全の準備をして大会を迎えたい」と大歓迎の意向。また日本パブリックゴルフ協会も「歴史ある大会をパブリックのゴルフ場で開催していただき光栄です。小杉もいいコース。ここでの女子プロ選手権の成功を祈っています」と大会を見守っています。9月6日開幕。優勝賞金3600万円。富山県での日本女子プロ選手権は、1982年の高岡CC(岡本綾子優勝)以来、36年ぶり2度目の出来事。インターネットLIVE配信もあるので、選手のプレーも、コースも、じっくりと拝見しましょう。 (了)