畑岡奈紗の目を丸くさせた世界レベルのショット力、ユ・ソヨン(韓国=28)

日本ツアーへスポット参戦でいきなり日本女子オープンを制したユ・ソヨン(韓国)=千葉・千葉CC野田

世界ランク4位のユ・ソヨン(韓国=28)のハイレベルなゴルフにはさすがの畑岡奈紗(19)もシャッポを脱ぎました。女子ゴルフ国内最高峰の日本女子オープン(千葉・千葉CC野田コース)の3連覇に挑んだ畑岡は最終日、優勝争いの真ん中で頑張りましたが、世界基準のショット、パットを見せつけたユ・ソヨンの厚い壁は破れず、3打差2位にとどまりました。米ツアーを本拠地にするユ・ソヨンは、2011年の全米女子オープン。17年のANAインスピレーションとメジャー2勝。通算6勝の実力者。やり慣れない日本のコースもものともせず、最終日も5バーディー、ノーボギーの67で回る強さで、通算15アンダーで日本ツアー初優勝を飾りました。

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数いる韓国勢の中でもピカイチの存在のユ、今季も米ツアー1勝(メイヤー・クラシック)して通算6勝のトッププレーヤー。米ツアーの質の高さを見せつけました。最終日、9番でドライバーを使わず3Wのティーショット。残り147ヤードからピン2.5㍍につけると、着実にパットを沈めてこの日3つ目のバーディー。ここで後続に3打差をつけ「優勝が見えてきたかなと感じました」(ユ・ソヨン)。折り返したバックナインは安全第一と、3Wでのティーショットで確実にフェアウェイを捉えます。野田コースは比較的距離の長いパー3が多いのですが、12番(183ヤード)は1.5㍍につけてバーディー。17番(197ヤード)はUTのスリークォーター・ショットをきれいに決めて4㍍のバーディーパットを確実に決めました。この日ドライバーを使ったのは2度(11番、14番)だけ。優勝へ向かってはばかるところなく安全作戦を実行しました。

最終日、2位とのリードができるとバックナインでは3番ウッドで安全ゴルフに徹したユ・ソヨン(韓国)=日本女子オープン(写真提供=いずれも日本ゴルフ協会)

ドライバーを使った14番で左ラフ、グリーン右サイドのラフと渡り歩いてグリーンを外しましたが、スピンの利いた第3打ショートアプローチでOKにつけたパーセーブは魅せました。「スピンのショットには5種類あって、その時の直感で決める」というユ。グリーン周りからの多彩な寄せは、観る者を楽しませました。4日間のプレーでボギーはたったの2個。勝負どころでグングンスコアを伸ばすゴルフには、畑岡も菊地絵理香もついていけませんでした。最終日、ユとともに首位タイで出た菊地は「つけ入るスキがなかった」とハットオフで3位に後退でした。

★ユ・ソヨンのちょっと長い優勝コメントですが、いい内容なので披露しましょう。

「今週はティーショットの調子が上がっていたのが大きかった。そのおかげでアグレッシブにプレーすることが出来ました。2位と差がついたのでバックナインに関しては安全第一に考えて3番ウッドで対応したコース戦略が上手くいったと思う。バーディーチャンスもほぼ決めることができました。グリーンは、米ツアーでもつけないようなところにピンポジションがあったので、″読む〝というよりも、スピードのコントロールが一番難しかった。日本や韓国は、ピンの位置で難しさを出すことが多いですね。アメリカでは、バンカーの位置をもっとシビアにすることで、攻め方を難しくすることが多いです。自分は2016年にコーチを変え、そこからいろんなショットを修得してレベルアップしました。スイングも安定してボールコントロールもよくなったので、さまざまなシチュエーションに対応できるようになりました。私は筋肉がつきやすい体質なので、いまのトレーナーになってから体の強さというよりも、柔軟性、可動域を広げることを重視してやっています。それと11年前から一緒にやっているメンタルコーチの存在も大きいです。ゴルファーは年に25週から30週はゴルフのことばかりを考えています。そういう環境の中で、ストレスの溜まり

日本女子オープン3連覇がかかった畑岡奈紗。最後まで優勝を争ったが、ユ・ソヨン(韓国)のショット力に及ばなかった。
単独2位でフィニッシュ。

やすい私生活とのバランスをとらせてくれるようなコーチングをしてくれます。10年前はゴルフがすべてだと思いがちだったけど、いまはうまくバランスがとれるようになり、ゴルフが楽しく思えてきました。すごくモチベーションになっています。畑岡選手は素晴らしい。飛距離も出せるし、メンタルの強さも光る選手。タフなコンディションの中でもロースコアを出せる。あとは経験を積むことでしょう。次週もインターナショナルクラウン(国・地域対抗戦=韓国)で一緒にプレーしますが、怖い存在です。今回に限っては、彼女が迫ってくるのは感じていましたが、なにより自分のゴルフの内容がよかったということにつきます。自分は28歳で、トシをとっているとは思ったことはないのですが、今度は日本の若い有望な選手が活躍してたので、そういう気分になりましたね(笑)。今回勝ったことで日本のツアーメンバー登録も可能ですが、私のメインはあくまでもUSLPGA(米女子ツアー)です。が、韓国と日本は近いし韓国の選手もたくさん活躍してるので機会をみてぜひ出たい。リコーカップ(日本の最終戦)は同じ週に仲のいい朴仁妃(パク・インビ)の試合(韓国対米国のチーム戦)があるので、そちらに出たいと思っています」

2016年から変えたというコーチは、ジョーダン・スピ―ス(米)と同じコーチのキャメロン・マコ―ミック氏。その翌年(17年)にはメジャー2勝目(ANAインスピレーション)を挙げ、年間最優秀選手にも選ばれています。日本ツアーへのスポット参戦でいきなりメジャーを制覇するのは、まさに世界レベルの貫禄でしょう。いまのところ日本ツアーへの本格参戦はなさそうですが、世界のレベルを改めて見せつけられた畑岡奈紗への刺激は、計り知れず大きかったようです。

(了)