一瞬見えた「海外優勝」の夢、空し!豪州ツアー「ワールドスーパー6」113位から5位までせり上げた池田勇太の実力!

豪州ワールドスーパー6で最終日のマッチプレーまで進出。あとマッチ3勝で海外初Vが見えたのだが・・(豪パース・レイクカリーニャップCC)

春まだ浅い日本の2月ですが、プロゴルファーたちは温暖の地を求めて南半球で腕を試しています。豪州に集まったのは男子の池田勇太、川村昌弘、片岡大育ら。女子では米国育ちの野村敏京が2週連続トップ5入りするなどの復調ぶりを見せれば、ベテラン上原彩子や長年のダンロップとの用具契約を解消した横峯さくらが無印の帽子で奮戦。高校生プロ、18歳・山口すず夏が波乱万丈のプロデビュー戦など、話題は盛り沢山です。その中でひときわ目立ったのが33歳の池田勇太。豪州西海岸・パースでの「ISPSハンダ・ワールドスーパー6」(欧州、アジア、豪州3ツアー共催)で3日間のストローク戦のあと、最終日は上位24人による6ホールマッチプレーという異色試合であわよくば海外制覇かの期待が・・。マッチ初戦の2回戦でスコット・ビンセント(26=ジンバブエ)に2ダウンで無念の敗退。しかし今季の活躍を予感させる勇太の豪州シリーズでした。
=優勝はライアン・フォックス(32、ニュージーランド)=
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メルボルンから西海岸のパースへ。豪州シリーズ、連戦で腕を磨いた池田勇太(豪・パース)

選手会長を宮里優作に譲ってから今年で4年目。身軽になってリオ五輪にも出場したその16年には3勝して史上4人目の年間獲得賞金2億円突破。賞金王にも輝いた勇太です。17年と18年は海外メジャーに重きを置き、2年連続12試合の海外遠征に出て武者修行を行いました。今年も1月、ハワイのソニーOPから日本を離れ、SMBCシンガポールOP(アジア・日本両ツアー共催)を経て乗り込んだ豪州シリーズでした。豪州初戦のISPSハンダ・ビックOP(メルボルン)では、3R目でのカットにあって(37位)敗退。次週は西豪州に飛び、インド洋を見渡せるパースでのワールドスーパー6へと海外挑戦が続きました。

フェアウェイの硬さや南半球のグリーンに手こずったのも池田勇太にはいい経験(豪・パース)

ワールドスーパー6。3日目までの54ホールがストローク戦。勝ち残った上位24人が最終日に6ホールのマッチプレーで戦う異色試合。勇太は初日74とつまずき113位と最悪のスタートでした。しかし2日目に68で一気に37位へ浮上して2日目のカットを免れました。そして3日目はさらにチャージが続きます。7バーディー、1ボギーの6アンダー「66」をマークして通算8アンダー。ゴボー抜きの5位へ。最終日24人で争うマッチプレーへコマを進めたのです。
勝ち抜き戦は2回戦からの出番となり、初戦の相手は世界ランク162位のスコット・ビンセント(ジンバブエ)。世界ランク99位の勇太にとっては格下の相手でしたが、勝負事は水モノです。4ホールまではオールスケアのイーブン。5ホール目にビンセントがバーディーを奪って池田は1ダウン。″6ホール勝負〝の短期決戦だけに先行されるとプレッシャーがかかります。次の最終6ホール目は池田がボギー。ビンセントはパーで2ダウンで決着となりました。

2週間の豪州シリーズ。東から西へとビッグな豪州を横断。練習場ではショートパンツで打ち込んだ池田勇太。

勇太にとっては慣れない異色形式でリズムに乗りきれませんでした。3人に勝てば優勝という勝ち抜き戦。チャンスは大ありでしたが、初戦に足をすくわれた勇太は残念無念の敗退。
★勇太のコメントです。
「うーん。流れを作れなかったな。1、2番(のチャンス)で入れられなかった。4番ではアンラッキーのパー。5番は相手がラッキーだったな。いずれにしても、入れられなかった自分がすべて悪いんだ。自分の責任。このオーストラリアでの2週間、ゴルフは悪くなかった。ただきょうは流れを作れなかった。とりあえず2試合を終わって、まあ最悪の終わり方だった。このあとはメイバンク(欧州・アジア共催)かな。その前後はまだわからない」

練習場で調整する池田勇太。

勝つチャンスもあった試合だけに、勝負師・勇太の悔しさがにじみ出るホールアウト後でした。

今シーズンはハワイのあと1月にSMBCシンガポール。日本でのトレーニングのあと豪州メルボルンでは冷たい風雨の中で前週ビックOPをこなしました。パースでは尻上がりのゴルフはみせましたが、まだまだ本来の調子は出ていないと思われます。優勝も見えたワールドスーパー6で「最悪の終わり方をした」と、後味の悪い敗戦を喫しただけに、そのあたりの修正が必要なのでしょう。池田自身の感触では「ゴルフの調子は悪くない」と明言しています。この後はアジア地区でメイバンク選手権(欧州・アジア共催)などに出て調整がつづきますが、2年連続で出場したマスターズはいまのところ出場権はもっていません。国内は、マスターズ翌週、4月18日開幕の東建ホームメイト杯です。

″旅人ゴルファー〝川村昌弘。豪州シリーズに参戦したが、2戦とも予選落ちと振るわなかった。

日本ツアー20勝(うち国内メジャー3勝)。数々のタイトルを獲った東北福祉大を出て07年にプロ転向。翌08年にデビューするとすぐシード権を獲得。09、10年には連続4勝を挙げて年間最多勝。09年に日本プロ、14年に日本オープンを獲り、両大会を20代で制するのは尾崎将司以来6人目という快挙でした。09年のプロ初勝利以来昨年まで、毎シーズン1勝は挙げているのはさすがで、昨季は賞金ランク5位。ドライバーの飛距離5位(296ヤード)と、30歳に入ってからも飛距離を伸ばしている飛ばし屋です。

海外志向の強い片岡大育もパースに参戦。予選落ちで練習場で打ち込んだ=中央=(写真はいずれも大会提供)

続けている連続優勝を11年目の今季もさらに伸ばすかどうか。豪州では一瞬見えた優勝は逃がしましたが、勝負師・勇太のゴルフは今季も見逃せません。

(了)