国内開幕を10日後に控えた男子ゴルフのツアー外競技「フューチャー千葉」に出場した池田勇太(33)が、6日の最終日、上がり3ホールを3連続バーディーで 石川遼(27)らを抑え通算7アンダーでカッコいい逆転優勝。国内開幕へ最高の仕上がりを披露しました。大相撲の地方巡業をモデルにゴルフの底辺拡大を図ろうと選手会長の石川遼らが先頭に立って立ち上げた2日間大会。今季の第1戦は4月5、6日の2日間千葉・太平洋クラブ成田コース(パー70)で開催。ブランド設立30周年を迎えたパーリーゲイツでおなじみのTSIグルーヴ&スポーツがスポンサーとなり大会を盛り上げました。この試合は今年4試合の開催が予定されています。
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千葉大会(4月5、6日太平洋クラブ成田)=賞金総額2000万円、優勝360万円。
静岡大会(4月26、27日静岡CC浜岡)=賞金総額1250万円、優勝300万円。兵庫大会(6月21日、22日よみうりCC)=賞金総額1250万円、優勝300万円。北海道大会(8月2、3日北海道ブルックスCC)=賞金総額2000万円、優勝360万円。
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大会は池田勇太、石川遼、片山晋呉、深堀圭一郎、宮本勝昌、岩田寛、時松隆光、上井邦裕、片岡大育、星野陸也、出水田大二郎、小鯛竜也ら30人のプロ。高校、中学生らの男女ジュニア。それに一般男子アマ11人も参加した″プロアマ大会〝。プロと女子高生が同組で4人でプレーするという珍しい大会でしたが、ローピングしないでギャラリーがフェアウェイの中を歩き、身近な位置からプロのプレーを観られる画期的な試みを実施。1000円のチッケト代ながら約500人の観衆を呼び込む盛況をみせました。
プロの部では、国内ツアー幕開けとなる東建ホームメイト杯を18日からに控えているだけに真剣な調整舞台となりました。池田勇太は今年はここまで5試合の海外戦をこなしてきましたが、2試合は予選落ちなど目立った戦績はなし。大会スポンサーになったパーリーゲイツとウエア契約を結んでいることからそれなりに力の入る試合でした。初日は強い春風の中、4バーディー、3ボギーの1アンダー。首位に2打差の3位タイにつけていました。2日目の最終日は風も収まり快晴のゴルフ日より。半袖で飛び出した勇太はアウトで3バーディーとスコアを伸ばし、後半は1ボギーを叩いたものの堅実なプレーを続け、上井邦裕と4アンダーで並んで終盤を迎えます。16番(パー4)で難しいラインのバーディーパットを決めて池田が1歩リードするや17番(パー4)もキレのいいショットを放ってバーディー。さらに勢いに乗った最終18番のパー5は、楽々とバーディー。3連続バーディーでフィニッシュする強さで、7バーディー、1ボギーの64。2位に食い下がった上井に最後3打差つける圧勝でした。
ツアー外ながら「ホストプロとして勝てたのは安堵してますよ」と、スポンサーに顔をたてたことで池田はまずほっとした笑顔。「ゴルフは悪くなかった。でも突き詰めていけばアイアンショットの精度とかパッティングなんかを再来週に向けて詰めていかないといけない。ピンを狙っていくショットとか、ドライバーももうちょっとね。そう不安はないけど東建に出るのも久しぶりなのでね」(勇太)。
17年、18年と海外試合を多くした池田は東建に出るのも16年以来3年ぶりのこと。海外に出た2年間もさして好成績はあげられず今年は世界ランキングも100位を下回っています(現在世界ランク111位)。従って今季は久しぶりに国内に軸足を置いての戦いとなりそうです。
★ツアー外とはいえいい勝ち方で国内開幕を迎える池田勇太のコメント。
「今週はグリーンコンディションがけた違いによかった。コンパクションとスピードが凄くマッチしていた。速くて硬い。いいショットを打たないときちっと止まらない。11フィートちょっとぐらいのスピードの感じだった。この時期、レギュラーツアーでもこんなにいいグリーンはない。太平洋クラブのNO2のグリーンキーパーが仕上げてくれた。いい練習になった。今年はとにかく勝つことが目標。秋口から調子が出る僕だけど、今年は春先からゴルフをつくっていき、3つ4つと優勝を積み重ねて、行けるところまで行きたい」
国内戦を直前にしての快勝に、勇太の威勢のいいコメントが次々と飛び出しました。今週もツアー外競技の千葉オープンと岐阜オープンがありますが「昨年、ツアーは1個しか勝てなかった。東建に備えて来週の試合には出ません」とキッパリ。すでに照準は3年ぶりの東建に絞っているのでしょう。
アマチュア時代から数々の栄光をつかんできた池田は、プロ入り後も年間4勝(09年、10年)を相次いで記録。13年~15年には選手会長を務めたあと16年はまた3勝と″まとめ勝ち〝も得意。ツアー生活10年で最低でも年間1勝は挙げて、通算20勝まで積み上げているトッププレーヤーです。
石川遼らがリードして立ち上げてきたフューチャ―ゴルフにも協力して大会を盛り上げたのは大成功。「遼もそうだし自分もアドバイスしてきた。海外ではこういうスタイルの試合はあるね。18番ホールだけローピングしてあったりもする。ローピングしないのはコストの削減もあるけど、見る人には斬新でいいんじゃにかな。日本では敷地が狭かったりしてなかなかできなんだけど。(ギャラリーが近くても)僕は気にならない」と、選手会長もした経験がある勇太は、ファンサービスにも積極的です。
フューチャーゴルフに積極的に関わってきた石川遼のコメント。
「いろんな部分でまだ追いつけないような手造りの大会なので、レギュラーツアーのようにどっしりとはしていません。でも一人一人が思いを込めて5人分、6人分と働いて成り立っている大会です。規模を大きくするのではなく、ここで活躍した選手がいずれレギュラーツアーで影響を受けてくれることが狙いです。またジュニアがプロと一緒にプレーし、ジュニアゴルファーを育てることにもつなげたい。それが未来のゴルフ界を作っていくことだと思う。一緒に回ったアマチュアの女子はとても上手だったのに、春の全国大会には出られなかったという。ジュニアの女子の層の厚さを感じましたね。ただのプロアマ大会とは違う競技性の強い大会にしていきたい。スポンサーがあって、賞金があってね。この時期だと新しいクラブでプレーする選手もいます。この試合から国内開幕という気持ちですし、タイミングのいい試合でしょう。池田勇太さんや片山晋呉さんにも出てもらえたのはその試合性、競技性があったからだと思います。自分としてはドライバーですが、ここ半年でよくなってきています。あとはアイアンで、右に行く球が試合になるとまだ出るので、それをなくすのが次のステップです。ロープのない試合も選手としては緊張感が高まりますが、他のスポーツではできないこと。安全性を保ちながら引き続きファンに楽しんでもらいたいと思います」
石川遼クン、試合の方は2日間ともイーブンで首位に7打差の7位タイでした。遼は今週の千葉オープン(10、11日)、岐阜オープン(13、14日)ともディフェンディング・チャンピオンとして出場。ツアー国内開幕戦に備えます。
(了)