世界の″指標〝になるか? 厳しい感染対策で世界1番乗りした韓国女子ゴルフツアー!

昨年12月に結婚、ミセスデビューラウンドも最終日の決勝に残れなかったイ・ボミ(韓国)。

日本や米国ツアーは男女とも休止している中、韓国女子ゴルフが世界に先駆けてツアーを開幕、各国のメディアから注目を集めました。5月14日、揚州市のレイクウッドCC(パー72)でのメジャー、韓国女子プロ選手権。無観客で幕をあけたツアーは、静寂の中で進行しましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため選手、関係者には徹底した予防対策が講じられ異様な雰囲気に包まれました。日本では男子が国内開幕から7試合、女子は年間37試合中、約半数の18戦が消滅する深刻な事態。再開に関するロードマップ等、一切をいまだに示しておらず、選手、関係者のいらだちがつのっています。米ツアーは日程を組み替えた再開スケジュール(男子6月11日、女子7月23日)を発表しています。

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「久しぶりに試合は楽しかった」とイ・ボミ。無観客試合だったが、地元韓国でも人気は衰えない。

世界各国のゴルフツアーが中止や延期に追い込まれる中、先陣を切ったのは韓国でした。新規感染者が落ち着いている韓国。プロ野球は5月5日、サッカーは5月8日、ともに無観客で開幕しました。それに続き注目のティーオフをした女子ツアー「韓国女子プロ選手権」は、KLPGAのメジャー大会で賞金総額は30億ウォン(約2億7000万円)、優勝2億2000万ウォン(約2000万円)。歴代優勝者には具玉姫、高又順、申ジエ、アン・シネ、ペ・ソンウら日本ツアーにもお馴染みの選手が名を連ねています。今回も新婚のイ・ボミ(31)はじめアン・ソンジュ(32)、ペ・ソンウ(26)らが出場しました。

韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は、ウイルス対応マニュアルを作成し、選手、キャディーらに事前に配布しました。毎朝、コース到着時に検温、手指等の消毒、問診票への書き込み。練習場入口には最新の消毒機器が設置されメディアの取材も制限されました。選手は練習場では2㍍のソーシャルディスタンスをとるよう指定され、プレー前後と練習グリーンではマスク着用。ロッカールームでも人との間隔は保つよう指示が出ました。クラブハウスへの入場は選手、キャディーらだけ。コーチ、マネジャー、家族も入れませんでした。キャディーはプレー中もマスク着用を励行。バンカーではレーキを持つときは手袋をはめ、選手とのハイタッチ、握手は禁止。同組選手らはお互いの肘を触れ合う″肘タッチ〝のみ。出場したアン・ソンジュは「ここまでするんだと思った」と徹底した感染防止策に驚きの声を挙げたほどです。出場選手は150人とフルエントリー。第2ラウンド(R)で120位タイまでの1次カット。第3Rで70位タイまでの2次カットを採用。今回は出場全選手に賞金が分配される″配慮〝が施されました。

アン・ソンジュ。日本ツアーで賞金女王4回。日本で最も成功した韓国選手とまでいわれる。33歳になったが、まだまだ健在。

昨年12月に韓国俳優、イワンと結婚。今季初ラウンドのイ・ボミは、初日バーディーなしの2オーバー、74で83位と出遅れ。2日目は1バーディーを奪ったものの2日連続の74で通算4オーバー、94位に後退。1次カットはクリアーしましたが、第3ラウンドも73とスコアを落とし、通算5オ-バー、97位。アン・ソンジュも3日目通算2オーバー、77位タイ。日本ツアー元賞金女王の2人はともに2次でカット。最終日へは進出できませんでした。昨年11月以来の実戦で流れをつかみ切れなかったイ・ボミ。「久しぶりの試合でアイアンの距離感がつかめなかった。グリーンも読めなかった。でも試合は楽しかった」とコメント。同じ日本ツアーメンバーのペ・ソンウ(26、昨季日本ツアー2勝、賞金4位)が1打差の2位。優勝は通算17アンダーの20歳、パク(朴)・ヒョンギョンがツアー初Vを飾りました。

世界を震撼させているコロナ禍の中でツアーを再開させた韓国ゴルフ。「パンデミックの中で世界で初めてゴルフツアーを行い、世界各国からの関心は高かった」(KLPGA)としていますが、日本女子プロゴルフ協会も「大会を注視して見守った」と、大いに参考になったと思われます。試合は混乱もなく無事に終わり、この後も韓国はツアーを続行するようですが、関係者の中から感染者が出ないことを祈るのみでしょう。日本の女子ツアー開催は、現在最速でもアース・モンダミンカップ(6月25~28日千葉・カメリアヒルズCC)。「1試合ずつの中止発表」ではプランニングもできない、との選手間からの声も高まっています。米ツアー男子が6月11日からのチャールズ・シュワブ・チャレンジ(テキサス州)で再開。2月から中断している米女子は、再開予定試合としてしていたダウ・グレートレークス・ベイ招発表待(ミシガン州)の中止を15日に発表。次戦の7月23日からのマラソン・クラシック(オハイオ州)が再開初戦となる見込みです。

世界に先駆けた韓国の女子ツアーが、各国のゴルフ界へのコロナ対策の指標になりますか、どうか?動向が注目です。

(了)