日本オープンチャンピオンでもある深堀圭一郎(52)が、シニア3年目でやっとシニア初の優勝カップを手にしました。東京五輪のカゲで、2日間大会で開催されたシニアの北海道ブルックス「モア・サプライズカップ」。通算6アンダーで並んだ深堀とシニアルーキー細川和彦(50)とのプレーオフ。1ホール目細川のボギーで決着しました。名うてのショットメーカー。シニア入りしてすぐ勝ってもおかしくなかった深堀が、ここまで勝てなかったのは何故でしょう。勝負の難しさをかみしめながら、闘志を再燃させる深堀でした。
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長い長い3年間でした。レギュラーツアーでは2003年の日本オープン(栃木・日光CC)、5打差5位から64で回り大逆転のメジャー初優勝を飾るなど通算8勝をマークしている男です。正確なショットを計算されたポジションに落としていくショットメーカー。東京都出身で明大を経て92年にプロテスト一発合格。05年には2勝して賞金ランク3位の活躍もしました。07年には選手会長も務めたエリートプロ。19年からシニアツアー参戦。最後のツアー優勝は05年、同じ北海道開催のANAオープン(輪厚=レギュラーツアー)。実に16年ぶりの勝利の美酒を縁起のいい北の大地で味わいました。
「そう、ANAオープンで2回優勝して、小樽でやったサンクロレラでも勝ってるから、これまで3回北海道で勝ってるんです。シニアでまた勝たしてもらって4回目です。縁をいただいた北海道でシニアでも初優勝ができたのが何よりの感謝です」(深堀)。
シニア1年目で好調を続ける細川和彦とのプレーオフ。1ホール目で細川の思わぬボギーで勝負がつきました。「入ったと思ったのに、ボールがカップの淵をなめて止まった。運がなかったよ」(細川のコメント)。その分、深堀に運があったとえそうです。
風速8㍍の強い風が吹いたなかで深堀の武器であるショートゲームが安定しいたのも大きな勝因となりました。課題だったパットも「いろいろやった挙句、パター(道具)と打ち方を変えたのがピッタリはまった」と、久々の勝利に喜びがこみ上げました。「(勝負は)1日大会だろうが4日間だろうが、1番になるのが大変なのは、身に染みてよくわかっているので」と、16年もの間勝利から見放されていた実感をポツリ。40歳代になってからはケガなど体調の維持にも苦労しただけに“ようやく勝てた”の嬉しさも倍増です。実力も人気もあるプレーヤーだけに、東京五輪の裏で挙げたこの「1勝」は、シニアツアーにも活気を呼び込みそう。シニアツアーは今後の夏・秋の陣、賞金の高い4日間のビッグ大会も控えています。「日本シニアオープン(9月16~19日、山梨・シャトレーゼヴィンテージGC)はどうしても取りたいタイトルですね。また次戦のファンケル(8月20~22日)もいい試合ですから、いいプレーをして勝ちたいですね」ー勝利はなににもましての良薬ー。眠っていた圭一郎のガッツが蘇ったのは楽しみです。
(了)