★日本ウェルネス高から代々木高へ転校した17歳・馬場咲希(さき)。 ゴルフ界で“最も多忙な選手”に

170センチ超の長身から270ヤードのロングドライブを武器とする17歳・馬場咲希(さき)

全米女子アマ優勝で一躍“時の人”となった17歳、馬場咲希(さき、代々木高2年)が凱旋試合のプロツアーで意外や予選落ち。270ヤード超のロングドライブを見ようと集まった5000人余のギャラリーをがっかりさせました。愛知・新南愛知CC美浜コースで行われた「住友生命レディース東海クラシック」(パー72)。8月の「全米女子アマチュア選手権」で、37年ぶり日本勢2人目の優勝を飾った咲希ですが、持ち前の長打力がカゲをひそめ、彼女の持ち味である“攻めるゴルフ”もみられないまま2日間通算4オーバー、予選通過ラインに4打足りずにコースから姿を消しました。プロの厳しい洗礼を受けた咲希、というところでしたが、9月1日付で日本ウェルネス高(茨城)から代々木高(東京)への転校手続きを完了。この試合から「代々木高2年」としての出場でした。次のツアー参戦(特別承認)となる「日本女子オープン」(29~10.2千葉・紫CCすみれC)では心機一転の馬場ゴルフをみせてくれるでしょうか。

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「全米女子アマ」優勝後の国内プロツアーでは、予選落ちの厳しい洗礼を浴びた

3度目のプロトーナメント参戦で初めて決勝ラウンド進出を逃がした咲希です。超270ヤードといわれるロングドライブもカゲをひそめ、270ヤードどころか、20ヤード近くも落ちて240~50ヤードあたりの“並み”の飛び。それだけでなくドライバーは右や左に曲がって苦しみの連続でした。初日はバーディーは1個。2日目は「悔いが残らないように後半は攻めようとしたけど、いい方向にはいかなかった」と、やっと2バーディーをとっただけ。2日間でバーディー3個で「76」「72」のオーバーパー・ゴルフ。17歳の「全米女子アマチャンピオン」馬場咲希を見ようと、初日は4514人、土曜日の2日目は5179人ものギャラリーが詰めかけました。「こんなたくさんのギャラリーの前でプレーするのは初めてでした。緊張するというより、楽しかった。スコアは(悪くて)悔しかったけど・・」と17歳らしい屈託のない笑顔を崩さなかった馬場でしたが、ゴルフの方はいいところなし。

夏場続いた海外遠征の疲労からか、春先に比べ上背はやや伸びたそうですが、体重は10㌔近くも落ちたという。この夏は海外を4往復。「全米女子オープン」「全米女子ジュニア選手権」「全米女子アマ選手権」「世界女子アマ選手権チーム戦」・・と日本に落ちつく暇もなく欧米へと飛び回るハードスケジュールでした。体調の激変は17歳の若さとはいえゴルフにも微妙に影響を及ぼしているでしょう。
凱旋試合の「東海」では、本来の馬場咲希とはほど遠いゴルフに終始しましたが、次の参戦となるメジャー「日本女子オープン」での修復は何としても図らなければなりません。「(紫CCは)長いコースと聞いてますし、飛距離を少しずつでもいいから戻したい。ショットの精度もよくなかったので、その反省も生かして修正しないと・・。応援に来てくれる人も多いので、あまり時間はないけど、食べることもしっかり食べて、疲労回復をはかってきます」と、本来の姿を取り戻す“復活”には力を込めました。

大勢のギャラリーに囲まれて歩く馬場咲希(中央)と岩井千怜(ちさと、左)原英莉花(右)人気の組み合わせだった(住友生命・東海クラシック)

東京・日野市在住の馬場は、これまで通信制の日本ウェルネス高(本校・茨城笠間市)に在籍。霞ヶ浦湖畔にあるセベ・バレステロスGC(茨城・稲敷郡)内に学生寮があるゴルフ部に通っていましたが、日野市の自宅から通いやすい代々木高(東京・渋谷区千駄ヶ谷=東京校)への転校を家族とも相談して決めたという。手続きも9月1日付で完了。代々木高は、昨年の「全米女子オープン」優勝者で米ツアーを本拠にする笹生優花や、男子では9月12日にプロ転向宣言をしたばかりのアマ世界ランキング1位・中島啓太(日体大4年)らを輩出した強豪ゴルフ部のある通信制高校。ただし「転入学生の承認は満1年を経過したもの」(日本高校・中学ゴルフ連盟の大会資格規定)とされているため、馬場は同校のゴルフ部には入部しないことに。ゴルフ部には所属しないことにはなりましたが、代々木高では十分なサポートを約束しているという。

馬場の今後は多忙を極めそう。まだ高2ですからJGAが主催するアマチュア大会をメインに、プロツアーからも推薦出場依頼が相次いでいます。すでに今季「ヤマハ・レディース」(4月、58位)、「ブリヂストン・レディース」(5月、28位)、「住友生命・東海クラシック」(9月、予落ち)と3試合に出場。10月20日開幕の「NOBUTAグループ・マスターズGC」への出場も決まっています。アマチュア選手も年間推薦出場は「8試合まで」と限定されています。これを満たすオファーは相次いでいるのとは別枠で、9月29日からのメジャー「日本女子オープン」への「特別承認出場」が決定しています。一方来季は「全米女子アマ」優勝で、すでに海外メジャー4大会はじめ5試合のビッグ大会出場権を確保しており、国内のプロテストも受験する予定だという。この夏から来シーズンにかけて、ゴルフ界で“最も忙しい選手”になりそうな咲希サンです。ゴルフの腕もそうですが、しっかりと体力もつけなくてはー。

(了)