★個性派・谷原秀人、44歳の“反抗”!日本シリーズJT杯連覇でますます意気軒高!

最終日、大激戦を制し4打差逆転で大会2連覇。谷原秀人を挟み長男・悠人君(左)、妻・絢香さん(右)と記念撮影(東京よみうりCC)提供:JGTO

44歳の選手会長・谷原秀人「ゴルフ日本シリーズJT杯」(東京よみうりCC)劇的連覇で男子ツアーも今季の幕を降ろしました。超高額ツアー「LIV招待」を今季の“主戦場”にした谷原への風当りが強い中、国内ツアーでも最終戦のメジャーを制したのは、なんとも皮肉!日本シリーズJT杯の優勝賞金4000万円を加えても、今季国内ツアーでは5557万2143万円で賞金ランク14位。一方、全8大会中、日本人最多の5大会に参戦した「LIV招待」では、1億400万円余を稼ぎ、国内18試合の獲得賞金の倍近いビッグマネーを手にした谷原です。国内ツアー“軽視”で、ある主催者からは「うちの大会には出場しないでほしい」と出場辞退を促されて欠場したことも。世界のどこのツアーを選ぶか「出場への意思決定は選手にある」と、プロゴルファーの権利を主張する谷原。注目される来季については「出られる試合には出ていきたい」と、依然強い姿勢をみせています。日本シリーズ連続チャンピオンになったことから、その動向が一段と注目されてきました。

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最終18番グリーン。2㍍弱の難しいラインのウィニングパットを決め、ガッツポーズする谷原秀人(東京よみうり)提供:JGTO

選手会長の立場で自国ツアーを留守にし、日程が重なった選手会主催の大会も欠場して物議をかもした谷原秀人。頭髪を短く刈り込んで国内最終戦に臨み、大会初日にカットした頭への質問が飛んだとき、苦笑しながら答えました。「反省して“坊主”ですよ。叩かれまくってね、もう」ーもちろんサウジアラビアの政府系ファンドが巨額のオイルマネーを使って世界のトッププレーヤーたちを集めている「LIVゴルフ」出場に関してのコメントでした。今季発足した「LIV」に、日本からは谷原を“親分格”として香妻陣一朗、木下稜介、稲森佑貴の4人が出場しましたが、最多試合(5試合)に出たのは谷原でした。第2戦(米オレゴン州ポートランド)で16位には入ったのが最高順位でしたが、出場枠48人で優勝は5億円超、最下位でも約1700万円をゲットできる“おいしい”大会なのです。プロゴルファーとしては食指の動くツアーでることは間違いありません。

 

安定したショットを続けた谷原秀人

選手会とJGTO共催の国内ツアー「バイ・ザ・プレーヤーズ」と日程が重なった10月上旬、谷原は「LIV」のバンコック大会(第6戦バンコク)を優先させ、同じ10月下旬の「平和PGM選手権」のときは「LIV第8戦}(米フロリダ)と重複しましたが、国内のスポンサーサイドから「出場お断り」の異例の“お願い”が通告され、谷原もそれを受けて欠場やむなしとして、フロリダの「LIV最終戦」へ赴きました(待機選手の扱いで出場できず帰国)。こうした谷原の動向に一部選手間からも批判の声があがり始め、谷原バッシングの動きが広がってきたのです。

 

2年連続でツアー最終戦のメジャー「日本シリーズJT杯」を勝ち取った谷原秀人

米ツアーでは新興ツアーの「LIV招待」を敵視し、参戦した選手は追放処分にする強気な姿勢をみせていますが、日本ツアーは寛容な態度で、参加選手への処分等はみせていません。
そんな中での国内最終戦。若手台頭をよそに、44歳の谷原が得意の巧みなパッティングを駆使し、東京よみうりの難グリーンを征服しました。大混戦となった最終日は、ボギーなしのベストスコア「65」で抜け出し、4打差逆転のトータル12アンダーでの大逆転劇。ツアー通算17勝目を挙げる快挙でした。
「まさか優勝できるとは。ビックリです。優勝者の平均年齢を僕が上げちゃったかな。まあ小技を生かしてまだまだチャンスはある。年間1勝ずつはやっていきたい」と世代交代をいわれる男子ツアーへ、冷静なプレーで意地をみせる44歳です。

物議を醸す「LIVゴルフ」についても、公の場で初めて語りました。

「リブゴルフは世界のスーパースターが集まるツアー。一緒にプレー出来るのは魅力だし、刺激をもらえる。プロの選手なので競い合いたい。大会は3日間で、(ショットガン方式で)試合時間も5時間ほどに短縮されている。コンサートなどもあってギャラリーもゴルフ以外にも楽しめるイベントにしている」と新感覚のゴルフ大会であるとし、うわさされる高額金による選手の引き抜きについても「うわさされるほど高額なマネーは出ていないと思う。日本選手にそうした手はのびていないと思う」。さらに「リブツアーのおかげで米ツアーの賞金も上がった。サウジのマネーだから悪いのか。他のツアーだって、どこかのスポンサーがついているでしょう。リブについて悪い報道しか出ていない気がする。自分は来年もリブに限らず出られる試合には出たい」。

今季の「LIV」は、計8大会でしたが、来季は世界各地で14大会になると発表されています。有名選手が参戦してくるまで、日本選手にも声がかかりましたが、世界のトッププレーヤーの参戦が整ってきた来季は、もう日本選手は用なしでは、ともいわれています。日本シリーズJT杯2連覇は、2010ー12年の藤田寛之以来10年ぶり6人目(7回目)の快挙達成でした。海外志向の強い谷原のポジティブな言動はまだまだ衰える気配はありません。個性豊かな国際派・谷原秀人の、行く道はどこでしょう?

(了)