昨秋の米女子ツアー最終予選会でそれぞれの出場資格を得ていた勝みなみ(24)と西村優菜(22)が、いよいよ今週23日開幕の「ドライブオン選手権」(アリゾナ州スーパーステーション・マウンテンGC)で米ツアールーキーとして戦列に加わります。予選会順位が下位だった西村の出場の可否がやや不透明ですが、勝は確実にエントリーしており、畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子、笹生優花らに続き、ニュー“なでしこ軍団”の奮戦が待たれます。米女子ツアーの今季はすでに1月19日に開幕しており、アジアシリーズなど3試合を消化、全34試合が組まれています。
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最終8ラウンドで行われた過酷だった米ツアー予選会(昨秋)は、勝みなみが大健闘の5位、西村優菜は24位。ほとんどの試合に出場できる勝に対して「20位以内」に入れなかった西村は、限られた試合への出場となります。開幕直後のアジアシリーズ(タイ、シンガポール)はともに出場枠に届かず、日本に留まって勝は国内ツアーの開幕戦から3試合、西村は2試合の国内戦に出場して米国行きを待機していました。
待ちに待った米ツアーへの参戦です。勝は国内開幕の「ダイキンオーキッド」(沖縄)は36位と振るわず、2戦目の「明治安田生命」(高知)は勝が所属契約を結んでいるホステス大会。最終日に「67」と追い上げて14アンダー、6位タイでした。3戦目「Tポイント×ENEOS」(鹿児島)は9アンダー16位と、優勝争には加われませんでしたが、準備はまずまず完了というところです。
国内戦を終えた勝は「ショットに関してまだ“これ”というものをつかみきれていない」と、満足度には遠いようですが、休む間もなく今週23日からはアリゾナ州での「ドライブオン」に挑戦です。昨季の国内では「日本女子オープン2連覇」(史上3人目)や「87ホール連続ノーボギー」のツアー新記録を達成するなど、国内ツアー通算8勝。最近は油の乗り切ったゴルフをみせ続けている勝です。昨季国内での平均飛距離は253.21ヤード(4位)。特に平均パット数は1位(1.745)の実力。勝のパットの上手さは際立っています。「(アメリカで予選もやってみて)飛距離やパットなど、大きな部分では通用するかなと思った」と、自信めいたものも感じています。米国のグリーンを征服できるかどうかです。気候や芝生も違い、移動も日本と違って長距離になる異国でのツアー転戦は並大抵ではないでしょう。ただ、同僚の古江彩佳(22)が昨季、海外1年目で英国で初優勝(米・欧ツアー「スコットランド女子OP」)はいい刺激になっています。母親と2人で各地のホテルに滞在しながらの転戦の予定です。いろいろなハンデを乗り越えて、まずは5試合で行われるリランキング(出場順位決定)までが最初の勝負。「日本に戻ることは考えず、向こうでシード権をとれるよう1年を通じて戦いたい」と、米国のツアーメンバーとなった決意は固い勝です。
もう一人の西村優菜。プロ5年目、国内では6勝を挙げています。150センチの小兵ながら安定したショットで特にショートアイアンの精度の高さは西村の大きな武器です。常に笑顔を絶やさず人気もあってスポンサ―からのバックアップも大きいプロ。昨春には保険大手の住友生命とスポンサー契約したのに続き、今春3月には情報サービスを手がける「グノシー(Gunosy)」(東京・渋谷)ともスポンサー契約。同社は情報発信支援とともに、ラウンドごとのデータ分析でも西村をサポートしていくという。海外へ出てもバックアップ体制は整っています。予選会「20位以内」に入れなかったことで涙した西村でしたが、「出られる試合は限られるけど、しっかりと足場を固めてシードをとりたい。米ツアーを体験して日々成長したい。まだドキドキワクワクですが頑張ります」と、緊張感は高まっています。国内開幕2戦では9位、10位とトップ10に入ってまずまずの仕上がり。もし出場枠が降りてこなくても米国に滞在してウェイティング(出場順位待ち)も辞さない覚悟です。「ドライブオン」での米デビューがかなえば、いきなりのスタートダッシュに期待がかかります。
米ツアーへのスタート台に立った勝みなみ、西村優菜ー。先陣をきっている畑岡奈紗、古江彩佳、しぶこらにどこまで追いつけるでしょうか。今年は米女子ツアーにも見どころが満載です。
(了)