「全米プロシニア」から「下部ツアー」までの大格差!プロゴルファー藤田寛之(53)の生きざま!

国内で下部ツアーを戦った2週後には海外シニアメジャー「全米プロシニア」へ。異国の地でも予選をクリア、2オーバー37位と健闘した藤田寛之。

米シニアツアーで11回の賞金王に輝いているベルンハルト・ランガー(ドイツ)とPGAツアー8勝のチェ・キョンジュ(韓国)と3日目に同組になる機会に恵まれた藤田寛之(53)の晴々とした表情が印象的でした。先週、米テキサス州で行われたシニアのメジャー「全米プロシニア選手権」。昨年の国内シニア賞金ランク上位4位までの資格で出場した藤田寛之(2位)は念願かなった海外シニアのメジャー参戦で“最高ステージ”を満喫しました。驚きなのは、この藤田は2週前には国内の下部ツアーに出ていることです。22年末に生涯獲得賞金25位以内の特別シードを含むレギュラーツアーの賞金シードから陥落。QT(予選会)ランクも57位。レギュラーツアー通算18勝。史上6人目の生涯獲得賞金15億円達成・・。それでいながら、まだなおツアープレーヤーとしていつまでも新たな挑戦を楽しみ、年齢に関係なく国内外へチャレンジャーとなるその情熱と執念ー。

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昨季9月「日本シニアオープン」では打倒P・マークセン(タイ)の激闘。惜しくも2位にとどまった藤田寛之(滋賀・タラオCC)

「すごい組み合わせになって、来た甲斐があった。65歳のランガーがあの感覚・・ボールコントロール・・。ちょっと信じられなかったが、メジャーで戦ったころを思い出した」(藤田)と、久々に味わった海外メジャーの素晴らしい舞台に感激した藤田。この“中年の星”は、来週6月16日に54歳の誕生日を迎えます。国内のレギュラーシードは失くしましたが、“老いても”まだまだ闘志は失っていないのです。今シーズンも出られるツアーには出かけることをいとわない姿勢。メインとなるのは国内シニアですが、それを軸に「下部ツアー、推薦のレギュラー試合、資格のある海外シニアのメジャー・・。忙しいけどすべて頑張っていきたい。レギュラー時代、海外のメジャーに行くことで、簡単に勝つことはできないけど、いろいろな刺激をもらった(2013年マスターズなど)。シニアになって今度はシニアのメジャーに行って喜びを感じ、刺激を受けたいんですよ」と、どん欲に話す。その第一弾の「全米プロシニア」は日本シニアツアーからランキング上位の藤田はじめ、P・マークセン(タイ)、深堀圭一郎、兼本貴司、宮本勝昌、ジープ・ミルカ・シン(インド)の6人が参戦。宮本が7アンダー、10位。藤田も予選を通過して2オーバー、37位。楽しい4日間を過ごしたようです。「全米プロシニア」のあとは「全米シニアオープン」、「全英シニアオープン」とメジャー3つをターゲットにしています。

 

そこに試合があるから“行く”!藤田寛之のどこまでも楽しく新しいものへの挑戦だ。

遠く米国まで遠征したかと思うと、その前週は日本でレギュラーツアー「ゴルフパートナー・プロアマ」(茨城・取手国際=予選落)。さらに1週間前は26年ぶりに下部ABEMAツアー「ジャパンプレーヤーズ選手権チャレンジin福井」=予選落=に出場しているのだから驚きです。賞金でいえば総額350万ドル(約4億5500万円=全米プロシニア)から総額1500万円 (ABEMAツアー)の大きなギャップ。コースも違えば設定も選手の顔ぶれも異なる大会を渡り歩いているのです。しかし「自分は違和感も大変だとも思っていません。ごく自然な成り行きりで、出場権があって、試合とのスケジュールが合ったから行くのです」と、それがプロゴルファーだといわんばかり。2012年には43歳でレギュラーの賞金王にもなった男が、レギュラーの資格

藤田寛之(22年8月、静岡・太平洋クラブ御殿場コースで逆転のシニア2勝目を挙げたとき)。

を失った53歳にして下部ツアーに足を向けるのだからすごいプロ根性といえるでしょう。藤田には変なプライドはありません。「ただ登った山頂から、いまは下山している最中。また違った景色が楽しい」とコメントしています。

「全米プロシニア」から帰国した次の試合はまた下部ツアーの「LANDIC チャレンジ10」(6月7~9日 福岡・芥屋GC)の予定だという。「いま、この瞬間を大事に」ー藤田寛之はそういっています!

(了)