6人が逆転可能な大激戦!男子ゴルフの今季賞金王争いは賞金ランキング2位にいた金谷拓実(26)が最終日怒涛の追い上げで逆転。初の賞金王に輝きました。「ゴルフ日本シリーズJT杯」(東京よみうりCC・パー70)は、賞金レーストップを走った平田憲聖(24)を追って最後の最後まで予測できない接戦でしたが、平田に288.9万円差で最接近していた金谷拓実が、最終日17番(パー5)の大詰めで劇的なイ-グルを奪うなど「67」。通算9アンダー3位に食い込む勝負師ぶりを発揮。賞金1000万円をゲットして年間獲得賞金を1億1955万1222円とし、平田を約516万円余上回りビッグタイトルを手にしました。今季4勝の平田は最終日「70」と伸ばせず通算イーブンの17位。賞金ランキングは2位で終戦。大逆転を目指した石川遼も通算1オーバー、18位タイに終わり賞金ランク7位でした。大会優勝は1打差2位から出たショーン・ノリス(南ア、42)が通算12アンダーで2021年の「日本オープン」以来の7勝目。中島啓太は最終日失速して4位。
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平田憲聖を追い、金谷拓実、今平周吾、岩田寛、木下稜介、石川遼の“6人衆”の稀に見る大接戦。その戦いの中で思いっきりのいい金谷拓実のゴルフが、賞金王争いの中で冴えわたりました。モジモジしない。構えたらすぐ打つ独特のパッティング。ショットもそれに負けず“早打ち”が、見ていても気持ちがいい。構えてすぐ打てるというは、カンがいい証拠でしょう。入る時はポンポン入るし、ピンそばに突き刺すように打ち込んでいく金谷のショットは、ひところのタイガー・ウッズを思わせます。最終日17番パー5。2打目が打ち下ろしになるので、殆どの選手が2オンを狙っていくホールです。フェアウェイの金谷のボールからピンまで248ydでした。フルショットしたボールはグリーンを捉え、カップまではおよそ15㍍。“6人衆”のうち今平周吾、石川遼、岩田寛らは伸び悩み、最終日、現実的な争いは“平田か金谷か”の2人に絞られた状態でした。緊張感はピークに高まっていましたが、この17番のロングパット。金谷はいつもと変わらずの早打ちでスライスラインに乗せ、ボールは吸い込まれるようにカップに消えました。残り2ホールでの時点で、このイーグル狙い。金谷ゴルフの本領ともいえるシーンでした。最難関の最終18番パー3では、グリーン左へ外しボギーの上がりでしたが、17番の果敢なイーグルが効いて、単独3位フィニッシュでした。
今季の金谷は開幕戦の「東建」と「ACN選手権」に2勝して通算7勝。5月「全米プロ」、6月には「全米オープン」と海外メジャーにも挑戦しましたが、2試合とも予選落ちの苦汁も味わっています。賞金レースの方は20~21年はC・キムと争って2位。23年には賞金王になった中島啓太と競り合っての3位と、あと一歩でとどかなかったタイトルをやっと手にした嬉しさは人一倍でしょう。26歳192日での賞金王は史上7番目の若さ。19年11月には「三井住友VISA太平洋マスターズ」で史上4人目のアマ優勝。20年10月にプロ宣言。22年は欧州を中心に数多くの海外試合を体験し、アジアンツアーで1勝を挙げています。欧州、アジアンツアーに縁があるプレーヤーです。今回、国内賞金ランク1位の資格で来季欧州ツアー(DPワールドツアー)の出場権も獲得しました。また、欧州・アジアン行脚も続けるでしょう。
今回、賞金レースをリードしてきた平田憲聖を逆転しての賞金王については「今シーズンは平田憲聖選手が男子ツアーを引っ張ってくれた。そのおかげで男子ツアーも盛り上がったし、彼の功績は大きい」と、2位になった僚友にエールを送るのを忘れませんでした。また来季は、好ライバルとして戦う二人でしょう。 (了)