来季米男子ゴルフツアーの出場権をかけた2次予選会が6日、米カリフォルニア州バレンシアCC(パー72)で最終ラウンドが終わりました。最終日、11位から出た日本の賞金王、金谷拓実(26)が連日順位を上げる「67」をマークして通算12アンダー4位。規定の「15位以内」に入ったことで12日から始まる最終予選会(フロリダ州)に進みました。ここで上位5位以内が来季米ツアーの出場資格をもらえます。40位タイまでは下部ツアーの出場権を得ます。金谷は「日本シリーズJT杯」が終わったその夜の便で渡米する強行日程で、翌月曜日(2日)に都内で行われた「ジャパンゴルフツアー表彰式」には出席できず、急きょ母親美也子さんが代理出席。金谷が独占した主要“7冠”を受け取り、舞台での挨拶も完ぺきにこなす“拓実ママ”ぶりを演じました。そんな肝っ玉ママがあって、この子あり。金谷は見事に2次予選通過を決めました。一方最終日、20位から出た石川遼は進出ラインの15位に2打届かず18位で敗退しました。
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カリフォルニアで行われた米ツアー2次予選会。「日本シリーズJT杯」の激戦を12月1日、3位で終え、逆転賞金王に輝いた金谷。その夜の飛行機でロスへ飛び、翌日からは2次予選が始まるという強行日程に挑みました。さすがにタフな金谷も大会初日は前半で「41」をたたいて4オ-バーの「76」。59位と出遅れて心配されました。しかし粘り強さが真骨頂の男です。2日目には9アンダーの「63」を出し、通算5アンダーの14位へ盛り返しました。勢いに乗って3日目も最終ホールをバーディーで上がるゴルフで2つ伸ばして11位。最終日はまた7バーディー(2ボギー)とバーディーを量産して通算12アンダー。4位フィニッシュは金谷らしい爆発力を秘めた4日間のプレーでした。。
今週12日(木)には舞台をカリフォルニアからフロリダ(TPCソーグラス)に移して来季の米ツアーを目指しての決戦となります、日本からはツアー4勝の平田憲聖(24)も出場します。勝っても負けても“天才肌”の金谷拓実らしい4日間にしてほしいものです。
日本では心強い“拓実ママ”も、手に汗して見守っています。金谷本人が出られなかった年間表彰式に代理出席した美也子さんは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)から「親族の方なら」と出席を依頼されていました。母親は地元広島から1日早めて上京し、「日本シリーズJT杯」の最終日を観戦。金谷の逆転賞金王を見届けて翌日の都内ホテルでの表彰式にのぞみました。
「あんなに大勢の方の前で、恥ずかしかったです。大丈夫だったかしら」と母親は不安げに話されましたが、何度も席を立ってトロフィーや表彰状を受け、マイクの前では立派な挨拶をされました。「去年も悔しい思いをしていたようなので、息子は(賞金王を)取りたかったと思いますが、私はとれなければそれでいい、と思っていたんですよ」とおかあさん。「ほんとに用事以外は話さないし、めったに連絡もしてこない子ななんです。やさしくてわがままもいわない子。ただゴルフとなるとホントに真っすぐでしたね」とも。しかし美也子さんが22年夏に乳ガンの告知を受けてからは「勝った試合での優勝スピーチで、母への思いを涙ながらに語っていたのをテレビで見て、驚きました」と親思いの拓実の一面を披露されてました。
そんな母親に表彰式典に出席してもらったのは、金谷に秘めた思いがあったのでしょう。息子に代わって晴れ舞台に立ち表彰を受けた母の表情はうれしさに満ちていました。「まだ目の前で息子の優勝は見たことがない」とおっしゃる母親ですが、今回、優勝に勝る大きな「賞金王」のタイトル受賞は感激ひとしおだったでしょう。さて、渡米した金谷が風の強いフロリダでどんなゴルフを見せるでしょうか。上位5人のみが来季米ツアーの出場権をゲットできます。米ツアー参戦で日本を留守にしてもいいのか。それとも国内で戦う息子を母親は見たいのでしょうか。
12月15日に答えは出ます。(了)