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寅さん″最後の内弟子〝シニアツアーで初優勝。  丸山智弘、4人プレーオフを制す

シニア2年目、うれしい初優勝で賞金1,200円のボードを抱える丸山智弘(左はコマツ・野路国夫社長=小松CC)
シニア2年目、うれしい初優勝で賞金1,200円のボードを抱える丸山智弘(左はコマツ・野路国夫社長=小松CC)

 国内PGAシニアツアーの第2戦「コマツオープン」(石川・小松CC=12日最終日)でシニア2年目の丸山智弘(50)が4人によるプレーオフを制して涙の初優勝を果たしました。丸山智弘といえば、故中村寅吉プロが教えた「最後の内弟子」といわれて久しい大型選手。昨年シニア入りしてべスト10には4回入るなどの健闘をみせましたが、今年の2試合目、シニア11試合目での初優勝でした。優勝賞金1,200万円で賞金ランキングでも一気に2位浮上。今年の国内シニアツアーは6試合と少なくなっているので、賞金王も狙えるビッグチャンスでもあります。
 
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中村寅さん直伝の大きなスイングで飛ばす丸山智弘(コマツオープン=小松CC1番ティー)
中村寅さん直伝の大きなスイングで飛ばす丸山智弘(コマツオープン=小松CC1番ティー)

 珍しい4人によるプレーオフに参加したのは、丸山智のほか伊藤正己(53)、デービッド・イシイ(54)、ブーンチュ・ルアンキット(53=タイ)。どんな激戦になるのかと思われましたが、″延長戦〝は1ホール目であっけなく決着がつきました。18番(パー5)を使った1ホール目、伊藤がグリーン右手前のバンカーから第4打を″ホームラン〝してグリーン奥へ。ルアンキットは下10メートル。イシイが下6メートルに3オンしたのに対して、丸山智は110ヤードの第3打をピン左下2.5メートルのチャンスにつけました。ロングパットになった2人がバーディーパットを逸したあと、丸山智の長尺パターはこれを真ん中から沈めて決着しました。両手を高く上げそのまま飛び上がって初優勝の喜びを表すと、そのあとは涙があふれてきました。

初優勝をかみしめ表彰式でも涙ぐむ丸山智弘(右)=小松CC
初優勝をかみしめ表彰式でも涙ぐむ丸山智弘(右)=小松CC

「いままでの苦しかったことと勝てたうれしさがまざって、涙が出てしょうがなかった」と丸山智。ハワイのパールオープン(06年)やヨネックスシニアオープン沖縄(08年)などのローカル試合には勝っていましたが、ツアーと名のつくものに勝ったのは、レギュラー時代の遠い昔のこと。「トップに立ってからずっとプレッシャーがかかりっぱなしでした。僕らは1打を競ってゴルフをしたことがあまりないですからね・・。ドライバーがずっと悪かったのに、アイアンとパターで勝てたようなものです。これで来年のシードもとれたし、ほんとにうれしいですね」
 
 ドライバーが曲がりまくって本当に苦労していました。初日は11、12番で連続ボギーのあと13番では左右にOBを2連発。「8」をたたく大ポカもやりました。3ホールで6オーバーというのはプロにとって致命的とも思えるミスですが、そのあと3バーディーを取り返すところが″キレることのない丸山智のいいところです。この粘りが、2日目、5バーディー(ボギーなし)の67で上がるカムバックにつながりました。これで1位にのし上がり、最終日こそプレッシャーでパープレーに終わりましたが、プレーオフでの粘り勝ちに結実しました。
 
 中学を卒業すると同時に中村寅吉プロの門をたたき、ゴルファーとしてのすべてを学びました。スイングチェックを受けるとき中村寅吉プロはいつも「9番(アイアン)を持ってこい」といってショートアイアンでスイングを教わったそうです。「相手に勝とうとするな。やっつけようと思うから硬くなる。そう思わないで、自分のゴルフに徹すれば気持ちは楽になる」― 寅さんの教えはいつもこうだったといいます。メンタル面での教えも欠かさなかった寅さんでした。
 
 昨年2月、92歳で亡くなった中村寅吉さん、″最後の内弟子〝もいまやシニアエージとなりました。そのシニアになって2年目、11試合で丸山智は初優勝をつかみました。数年間、所属として世話になったスポンサー(求人広告の会社)もことしから離れ、経済的にも追い詰められていました。「長い間世話になった会社なので今年も名前だけは使っていますが、契約はなしです」(丸山智)。優勝賞金1,200万円はうれしいご褒美です。今年シニアツアーは2試合終わったばかりですが、丸山智の獲得賞金は1,285万8,600円となって1,500万円で1位の尾崎健夫に迫る2位に浮上しました。残るシニアツアーは4試合ですが、丸山智の目標は夢だった「シニア賞金王」へと急展開しました。シニアには中嶋常幸、室田淳、飯合肇、倉本昌弘、渡辺司、高橋勝成らといった強豪もそろっています。「周りは全部自分より戦績が上の人」(丸山智)を相手に、50歳″若さ〝の丸山智弘の挑戦が注目です。
 

◆ 今後の国内シニアツアー日程
 
日本プロシニア選手権(福岡・伊都GC)
賞金総額5,000万円 9月24日~27日
 
富士フィルムシニア選手権(千葉・平川CC) 賞金総額7,000万円 10月1日~3日
 
日本シニアオープン (滋賀・琵琶湖CC)賞金総額8,000万円  10月29日~11月1日
 
Handa Capフィランスロピーシニア(千葉・スカイウエイ)賞金総額1億1,000万円  11月12日~15日