Monthly Archives: 12月 2009

″遼&勇太景気〝の男子ツアーは来季1試合増の25試合。なのに賞金額は未発表!? 女子は今季と同数の34試合。

遼&勇太の活躍で人気を取り戻した男子ツアー。09年賞金王・石川遼の1打1打に来季も歓声が沸きそう。
遼&勇太の活躍で人気を取り戻した男子ツアー。09年賞金王・石川遼の1打1打に来季も歓声が沸きそう。

 男女両ツアーの来年度の国内ツアー日程が相次いで発表されました。男子が2年振りに1試合増の25試合、女子は3増3減で今年と同じ34試合です。世界的な経済不況が続く中、プロゴルフ界はまだまだ恵まれた環境にあります。女子プロ人気は依然衰えをみせていませんが、石川遼・池田勇太コンビの活躍で盛り返した男子ツアーが1試合増というのは、まさに″遼&勇太景気〝というところでしょうか。しかしこの男子ツアー、大手スポンサーUBSが4年間冠となってきた日本ゴルフツアー選手権から撤退したのは、JGTO(日本ゴルフツアー機構)にとって大痛手です。他の数社が寄り合って来季も何とか日本ゴルフツアー選手権は開催されますが、全日程の賞金額の発表も、来年2月まで未発表になるなど、いささか危なっかしい男子ツアーです。
 
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遼&勇太景気で2010年の1試合増のツアー日程を発表するJGTO小泉直会長(中央)と山中博史専務理事(右)、鈴木規夫理事(左)=東京・六本木アカデミーヒルズ
遼&勇太景気で2010年の1試合増のツアー日程を発表するJGTO小泉直会長(中央)と山中博史専務理事(右)、鈴木規夫理事(左)=東京・六本木アカデミーヒルズ

 UBS(ユナイテッド バンク オブ スイス)は「撤退するのはゴルフのツアーだけではない」としていて、UBSそのものの広告等もおしなべて縮小する方針だそうです。それにしても06年以来JGTOの台所をうるおしてきたUBSに降りられたツアー機構は、冷や汗ものです。これに代わる冠スポンサーはまだ見つかっておらず、開催コース・宍戸ヒルズの協賛だけは決まっていて、来季は「日本ゴルフツアー選手権・宍戸ヒルズ」の名称での開催となります。
 この試合はJGTOが発足した2000年からツアー機構が主催するいわゆるメジャーの位置づけをしている大会。最初はイーヤマカップ(3年間)、続いて宍戸ヒルズカップ(3年間)、そしてUBSの冠で4年間と、つないできた公式戦です。来年中に新たな冠スポンサーが見つからないと、2011年以降のJGTOの目玉トーナメントの存続が危ぶまれるところです。三菱ダイヤモンドカップから「三菱」の名称が消えます。今年までは三菱自動車はじめ重工、電機・・とグルー全体が参画していましたが、来季からは三菱商事一本になり、アタマの「三菱」の名を外すことになりました。
 
 来季、新たに加わった「トーシントーナメント」(三重・TOSHIN Lake Wood)の主催者であるトーシンは、池田勇太とスポンサー契約をしている企業です。移動体通信関連事業やリゾート事業を手がける会社で、下部ツアーのチャレンジトーナメントも開催しており、池田勇太の台頭によってツアー競技への進出を決めた″勇太効果〝のひとつです。またことしから経済不況を踏まえたJGTOは、賞金総額の限度額を低くしたことも新規参入がしやすくなったといえるでしょう。今年も関西オープンは賞金総額5000万円(優勝1000万円)。通常のトーナメントの半額以下でのツアー昇格でした。トーシントーナメントもこれに準じた大会規模での新規開催になるとみられています。
 
 JGTOは、日程を発表しながら各試合の賞金額、全体の賞金総額をいっさい未発表としました。異例のことです。今季、開幕前になって賞金の減額を発表する大会が相次いだことから、来季もそれを懸念しての先送りとなりました。「2月には正式発表します」(JGTO)としていますが、すでに2試合の減額を申し出ている大会があるようです。減額にとどまらず、大会中止が出ないことを祈るのみですが、一方で増額する大会もないとはいえず、今季の33億4000万円程度の確保はできる見込みです。
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今季も盛り上がった女子ツアー。来季も同数の34試合が組み込まれた。09年賞金女王・横峯さくらのショット。
今季も盛り上がった女子ツアー。来季も同数の34試合が組み込まれた。09年賞金女王・横峯さくらのショット。

 一方、昨年と同数の34試合を組み込んだ女子ツアーは、相変わらずの″女子プロ人気〝キープです。新規に加わった3試合は「Tポイントレディス」(鹿児島・高牧CC)「日医工女子オ―プン」(富山・八尾CC)「ニトリレディス」(北海道・桂GC)。Tポイントは㈱カルチャー・コンビ二エンス・クラブが親会社。3300万人以上の会員を持ち、ティーポイントやツタヤ、ツタヤオンライン等を通して、ライフスタイルの提案を行う企業です。日医工の㈱日医工は、ジェネリック医薬品製造、販売を主に行う医薬品のメーカーです。08年、09年にはステップアップツアーを共催して女子プロ協会との関係を保ってきました。3つ目のニトリは、家具、インテリアの企画、製造、販売を行う会社(㈱ニトリ)。店舗は国内に208店舗、台湾に5店舗を展開しています。
 

来季も男子ツアーを9試合も上回る女子ツアー34試合の日程を発表するLPGA樋口久子会長(銀座・東武ホテル)
来季も男子ツアーを9試合も上回る女子ツアー34試合の日程を発表するLPGA樋口久子会長(銀座・東武ホテル)

 82年以来28回開催してきた老舗大会、廣済堂レディスが中止になり寂しさを禁じ得ません。さらにプロミスレディス、アクサレディスの計3試合が姿を消します。3減3増でツアーは今年と同じ34試合ですが、賞金総額では28億8100万円で、昨年に比べて2651万6000円の減となりました。下部のステップアップツアーで3増6減という大きな移り変わりがあり、トータルでは3試合減。若手を育てるステップアップツアーが年々減少傾向にあるのは気になるところです。
 
 樋口久子会長は「経済不況が続く中で、来季も数多くの企業スポンサに協賛していただけることには感謝の念でいっぱいです。女子ツアーは、来年も女性らしく華やかで感動的な試合を目指して頑張ります。ステップアップの方は、開幕後も申し出があれば受け付けます」と話していました。