Daily Archives: 2009 年 12 月 21 日

池田勇太、自前で1000人招いた「感謝の集い」。演歌男が男泣き!

挨拶の冒頭、「みなさんに支えられてここまで・・」と口を切ったとたん、感きわまって絶句、涙をぬぐう池田勇太(グランドプリンス赤坂)
挨拶の冒頭、「みなさんに支えられてここまで・・」と口を切ったとたん、感きわまって絶句、涙をぬぐう池田勇太(グランドプリンス赤坂)

 石川遼とともに今季男子ツアーを盛り上げた池田勇太(23)が、都内のグランドプリンスホテル赤坂で「池田勇太感謝の集い」なる大パーティーを開催しました。やっとツアー2年目の若者が、今年1億6000万円近くも稼いだとはいえ、早々とこうした会を開くとは、驚くやら、感心するやらです。しかもこのパーティーの費用、ほとんどが池田勇太自前というから、3タックのズボン、刈り上げ頭だけでなく、日本男子の匂いがプンプンする演歌男・勇太を印象付けました。
 
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「感謝の集い」で1000人の関係者を自前で招いた池田勇太。羽織はかまで登壇して驚かせた。(東京・グランドプリンスホテル赤坂・五色)
「感謝の集い」で1000人の関係者を自前で招いた池田勇太。羽織はかまで登壇して驚かせた。(東京・グランドプリンスホテル赤坂・五色)

 約1000人が集まった赤プリ五色の橙光・黄雲の間(12月18日)にいきなりどよめきが起きました。開会するや後方ドアからスポットライトを浴びて登場した池田勇太は、羽織はかまのいでたちでのっしのっしと歩き、BGMには必殺仕置き人のテーマソングが流れたのです。壇上に立った勇太は、マイクを持つやメモもなく語りはじめました。「こんなに大勢の方に集まっていただき、みなさんに支えられて僕がここまでこられたと思うと・・」といういなり、涙声になり感極まって言葉が途絶えてしまいました。一瞬の静寂のあと「ホントにうれしいんです!」と一言続けました。
 
「なんだかめちゃくちゃなスピーチになりましたが、とにかく今年まさか4回も勝てるとは思ってもみなかったです。その感謝の集いに、これだけ多くの著名な方々に来ていただいたことは誇りに思います。来年へまた気合を込めていかなくてはといま感じています。来てくださった一人一人にお礼をいいたいのですが、全員と握手をしていたら50年くらいかかりそうですから、この場をお借りして改めて感謝の言葉をささげたいと思います。」
 

切れのいいドライバーショットをみせる池田勇太(09.6 日本プロ優勝のとき=恵庭CC)
切れのいいドライバーショットをみせる池田勇太(09.6 日本プロ優勝のとき=恵庭CC)

 語り始めると、本来の勇太節がよみがえり、心を込めた挨拶で大きな拍手を受けました。来賓の挨拶は、まず日本プロゴルフ協会の松井功会長。日本ゴルフツアー機構の小泉直会長。そして出身校、東北福祉大の萩野浩基学長の3人。松井功会長が先頭を切ったのは、今年6月、PGAが主催する日本プロゴルフ選手権で池田がプロ初優勝を飾った縁からでした。ジュニア時代から勇太と関わってきた松井功会長は、アマチュア時代から強く魅力のあった池田勇太を語りました。JGTOの小泉会長は、今年ポイントでは石川遼を上回っていた池田勇太を差しおいて、最優秀選手賞を石川遼に授与した″お詫び〝を述べ、池田には″特別MVP〝として特別貢献賞を用意し、末永く池田勇太の今季の活躍を称え継いでいく旨のスピーチでした。
 
 青木功プロが壇上に招かれ、お祝いを述べましたが「これからが大変。なぜなら今度はみんなが池田勇太、石川遼をターゲットにして戦ってくるから。心しろよ」と、先輩として、世界のアオキとしての助言をピリリと利かせたのはさすがでした。東北福祉大の先輩、プロ野球の″大魔神〝佐々木主浩氏(元マリナーズ投手)や広沢克実氏(元ヤクルト外野手)らスポーツマンはいましたが、芸能人の顔がほとんどみられなかったのは、まだ若い池田らしく何かすがすがしいものを感じました。乾杯の音頭をとったのはヤンキー先生こと、自民党若手の義家弘介参議院議員。東北福祉大の特任准教授でもある義家議員は、声高らかに杯をかざしました。
 

会場では池田勇太が活躍した数々のパネルやDVDがスクリーンに映し出された(グランドプリンス赤坂)
会場では池田勇太が活躍した数々のパネルやDVDがスクリーンに映し出された(グランドプリンス赤坂)

 会場では池田が今季愛用したゴルフグッズのいくつかを提供したチャリティーオークションが行われ、日本プロで初優勝したときに履いたスパイクシューズ、コカコーラ東海クラシックの最終日18番で左の林にぶち込んだドライバーなど、思い出の品が出されて人気を集めました。勇太が愛用しているのと同一のキャディーバッグが、最高額の55万円で落札されるなど、ここでも勇太人気を実証していました。
 
 ところで、1000人の列席者の会費は、なんと無し。都内の一流ホテルの夜の宴会(立食形式)では費用もうん百万、いやうん千万円にも及ぶと思われますが、ほとんど池田勇太個人が「自前でまかなった」(関係者の話)とのこと。池田がスポンサーや用具等の契約をしているブリヂストンスポーツ、ムラサキスポーツ、日清食品等が引き出物で協力した程度だったようです。会の事務局は東北福祉大の東京事務所が受け持ち、会場には母校・東北福祉大の男女ゴルフ部員が阿部靖彦監督のもと勢ぞろい、受付等の裏方さんに努めていました。
 
 ツアー2年目でいきなり4勝。賞金王争いを石川遼と演じた末、ランキング2位。大ブレークを果たした池田は、世界ランキングでも堂々と33位にランクされています。12月末の時点で世界ランキング50位以内であれば、来季のマスターズ出場が決まります。同30位の石川遼とともに新年早々にマスターズの招待状が届くことは間違いありません。
 「招待状を手にするまで実感はわきませんが、世界のメジャーに行くチャンスを与えられるとはうれしいですね。でも来季は海外に目を向けるより、まだ国内でしょう。海外への夢は持っていますが・・」と、ここまでになった恩返しを、まず国内のスポンサーやファンにしたいという、まさに演歌の勇太らしい胸中をもらしています。「ただ、全英オープンが来年はセント・アンドリュースだからここには行ってみたいです」と、本音もちらりとみせています。
 
 昇竜の勢いを見せる勇太の心配事は右手首の痛みと、それに関連して発症した左腰痛です。シーズン終盤はムリして出場を続け、成績も上がりませんでした。新年早々にあるザ・ロイヤルトロフィー(アジア対欧州の対抗戦)は欠場し、治療に専念するそうですが、この若さで、手首だ、腰だという故障続発はちょっといただけません。いまはまだ一過性の痛みですが、これが持病になったら日本の代表的選手として君臨するのは難しくなります。電気治療や整体治療、ハリもやりました。「シーズン中いろんな治療もし尽くしたからオフになって新しい治療法というのもみつからない。シーズン中と同じような治療をします。手首の方はもう大分よくなりましたから」と話す池田です。球を打つのは2月になってからと計算しているようですが、ファンの立場からいえば「完調でない勇太なんか見たくない」というところでしょう。日本ツアーの開幕は、4月のマスターズが終わった翌週です。それまでに一日でも早い演歌男の復調を待ちたいものです。