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勝負師の血が流れるさくら! 大逆転の初賞金女王は5年シード。男女で超1億円は8人

ここというところで強いのが横峯さくらの本領!今年は安定したドライバーをみせた。
ここというところで強いのが横峯さくらの本領!今年は安定したドライバーをみせた。

 横峯さくら(23)が今季、女子プロ史上最高額の1億7501万6384円を稼ぎ出し、念願の賞金女王の座に初めてつきました。ツアー最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯(宮崎CC、11月26~29日)で最終日5打差の5位から出て劇的な逆転優勝。それまで賞金レース1位を走っていた諸見里しのぶ(23)をひっくり返してマネークイーンの栄冠まで奪うダブル奇跡を起こしました。この優勝(メジャー1勝)と賞金女王が重なり、来季から5年間のシードも獲得しました。さくらの勝負運の強さにも驚きますが、今年は4人の1億円超プレーヤーが誕生、世の不況をどこ吹く風と盛り上がった女子プロツアーでした。今週1試合を残している男子ツアーは、やはり4人の1億円超プレーヤーが出現しており、プロゴルフ界は男女合わせて今年も8人の超1億円選手が生まれました。
 
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今季、さくらの平均パット数は1.7768で3位だった。
今季、さくらの平均パット数は1.7768で3位だった。

 勝つときはこんなものなのでしょうか。5打差の5位のスタートでは、本人だって″まさか〝の最終日でした。日向灘をのぞむ海沿いで低い松の防風林や熱帯植物に囲まれてレイアウトされた宮崎CC。昭和35年開場の歴史あるこのコースは、フラットですが距離もあり、フェアウェイには大小のアンジュレーション、しかもグリーンは昔ながらの高麗芝と傾斜で、3パットの危険をはらんでいます。
 思い出します。昨年の大会でも最終18番グリーンで古閑美保と同じ6アンダーできた不動裕理が、ピン左上1メートルからの″入れれば優勝〝のバーディーパットを外した上に3パット。古閑美保の奇跡の逆転優勝=賞金女王というあのシーンです。役者は変わりましたが、同じ舞台でのおなじような逆転劇とはドラマチックでした。
 
 さくらは後半に入った14番でした。ティーショットを右のラフ。2打目もショートしてグリーン手前ラフ。ピンまで20ヤードを残したチップショットが直接入るバーディー。続く15番でも残り140ヤードの第2打が、グリーン手前のマウンドに当たってはね、ボールはピンの方へころころと転がり″OKバーディー〝です。この連続バーディーでさくらは優勝戦線に一気に浮上しました。難物の18番グリーンでは、手前から上り2メートルのパーパット、スライスラインを読みきって見事に沈め、6アンダーで最終組より3組前でホールアウトしたのです。
 

バックスイングのトップでシャフトが背中につきそうな″オーバースイング〝も、いまやさくらの強烈な個性に。
バックスイングのトップでシャフトが背中につきそうな″オーバースイング〝も、いまやさくらの強烈な個性に。

 神がかりのミラクル2ホール。そして最終グリーンのナイスパット。「本当に信じられません」。さくらの第一声はまさに本音でしょうが、横峯さくらというゴルファーは幼少のときから強運を抱え込んできました。8歳のとき、ゴルフ好きの父親からゴルフツアーの優勝シーンばかりを見せられました。高額な小切手を受け取るゴルファーたち。さくらは幼心にその魅力に引きこまれて、フツーのOLなどは見向きもせずゴルフに集中していったのです。父親のゴルフ友達を相手に″握り〝、おじさんたちに泡を吹かせてあっけにとらせたエピソードもいくつもあります。バックスイングのトップで、クラブのシャフトが背中に当たりそうなほど振りかぶるオーバースイングも、いまではすっかりさくらの個性として板についた感があります。子供心に勝負の中で生き、育ってきたさくらの体には、顔には似つかわない勝負師の血が流れているといっていいでしょう。
 
 04年に18歳でプロテスト一発合格。その年に与えられた残りツアー。わずか3試合でシード権をつかみました。翌05年4月にはライフカードレディスで早くもツアー初優勝。6年目の今年9月のマンシングウェア優勝で史上最速、最年少の生涯獲得賞金5億円を突破する日本のトッププレーヤーにのし上がりました。今季は自己最多の6勝。夏場にやや精彩をかきましたが。終盤に入り残り3試合で2勝をもぎ取る、まさに後方につけていてゴール前で一気に抜き去る実力派のレース運びでした。
 
 今季の部門別ランクでも7部門中4部門(平均ストローク、パーセーブ率、パーオン率、リカバリー率)で1位、3部門で3位以内に入っています。年間を通じて女王にふさわしいゴルフをみせてきた証でしょう。
 
 ところで、年間の獲得賞金1億円を超えた女子プロは4人。横峯さくら、諸見里しのぶ、有村智恵、全美貞(ジョン・ミ・ジョン)。これは女子プロツアー史上初めてのことです。男子ツアーは今週の最終戦(日本シリーズJTカップ)を残していますが、すでに石川遼、池田勇太、小田孔明、片山晋呉の4人が1億円超え。日本シリーズの結果次第で1億円を超える可能性のある選手はさらに10人います。
 
★横峯さくら年度別の″稼ぎ〝
 
年   獲得賞金      賞金順位 
 
04年 1734万7584円   27位
05年 6934万7016円    4位
06年 9638万7662円    3位
07年 1億1494万5890円  2位
08年 1億0319万2169円  3位
09年 1億7501万6384円  1位