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政財界通の松井功からIT通の森静雄へ。日本プロゴルフ協会、6年ぶりの会長交代はさて!?

PGA、2期6年間の任期満了で退任する松井功会長(左)と、握手を交わす次期会長・森静雄氏(右)=都内で。
PGA、2期6年間の任期満了で退任する松井功会長(左)と、握手を交わす次期会長・森静雄氏(右)=都内で。

 日本プロゴルフ協会(PGA)はこのほど任期満了に伴う役員改選を行い、次期会長に森静雄氏(58)が選出されました。松井功会長は、2期6年にわたる長期政権でしたが、同氏が70歳の定年を迎えるにあたって会長選が行われたもので、立候補者は森氏一人。無抽選によって森静雄氏が選任されました。
松井氏は相談役と「それ以上の役職」(森新会長)に退くことになります。新会長の任期は、これまで3年でしたが、2012年1月1日から2年間。森氏は千葉県出身。プロゴルファーで現役時代は目立った成績はありませんが、1980年代に豪州ツアーはじめアジア、アフリカ等でプレー。2000年はPGAの理事となり副会長も務めました。副会長はこれまでの3人から1人増の4人となり、前田新作氏(59)、山口修一氏(59)が留任、阿部信行氏(63)、坂井初敏氏(60)が新たに就任します。
 
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2012年1月1日からスタートするPGA森静雄新会長と執行部(左から阿部信行副会長、坂井初敏副会長、松井功現会長、森静雄新会長、前田新作副会長、山口修一副会長)=都内で。
2012年1月1日からスタートするPGA森静雄新会長と執行部(左から阿部信行副会長、坂井初敏副会長、松井功現会長、森静雄新会長、前田新作副会長、山口修一副会長)=都内で。

 松井功会長が、強い個性と財界、政界等に幅広い人脈をもってPGAの“顔”となってきただけに、次期会長選は注目でした。一時は、定款を改正してでも松井会長の留任が望ましいとする説が根強くあり、それを望む声は少なくありませんでした。強力な後任候補も見当たらず、5000人超のPGA会員を束ねていくのは、いましばらく松井氏が適任、としたからです。松井氏本人が続投の決断さえすれば、“70歳定年”を覆す手立てはいくつかありました。
 しかし、熟慮の末に松井氏が出した結論は「2期6年」の政権に自らピリオドを打つことでした。「もともと1期でやめるつもりだったので、もう疲れたという感じ」とする松井氏。2009年10月には67歳で佳子夫人(43=当時)に第1子を授かり「いま可愛くてしょうがない」(松井氏)という親ばかぶりも相当なもので、“激務”から解放されたい気持が強くなったようです。
 

今年10月に開催された皇潤カップ日本プロシニア選手権(兵庫・ジャパンメモリアルGC)
今年10月に開催された皇潤カップ日本プロシニア選手権(兵庫・ジャパンメモリアルGC)

 松井会長がこの6年間に行った改革はいくつもあります。主だったところを挙げますと、新規スポンサーの開拓などで低迷していたシニアツアーを活性化。2010年には公約してきた2ケタ10試合の開催を実現。日本プロゴルフ選手権に2009年より日清食品ホールディングスを冠スポンサー(特別協賛社)に迎え「日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯」を開催。日本プロの安定運営にメドをたてました。また2007年にはティーチングプロ資格認定制度を改革。B級、C級の講習会を統合。新規で入会するティーチングプロはすべてB級として資質向上を図りました。PGA会員の年会費に関して、年齢による減免制度の設定、資格によって差があった年会費も2012年から統一(42,000円)することも実現しました。選挙制度も、数年前の“黒い霧事件”を教訓にし、会長の選任を理事の互選から、社員総会で代議員による選任に変更、さらなる公平化を目指しています。ジュニア委員会を立ち上げて、PGA独自のジュニア育成を本格化させ、地方自治体とタイアップした「PGAジュニア育成プロジェクト」を創設して実施に移しています。その他、公益法人改革への対応を充実させ今年12月に申請書を提出する運びにもなっています。
 まだまだ松井会長が手がけてきたことはいくつもありますが、年々増え続けるPGA会員はすでに5,000人を超えています。これら会員の利益を今後どうやって生んでいくのか。課題は山積したまま次期会長にバトンタッチされることになります。
 

PGAシニアツアーのメジャー「日本プロシニア選手権」にも皇潤杯として皇潤のエバーライフ社が冠スポンサーに。優勝した金鍾徳には皇潤1年分が副賞として贈られた(兵庫・ジャパンメモリアルGC)
PGAシニアツアーのメジャー「日本プロシニア選手権」にも皇潤杯として皇潤のエバーライフ社が冠スポンサーに。優勝した金鍾徳には皇潤1年分が副賞として贈られた(兵庫・ジャパンメモリアルGC)

 森新会長は千葉出身のプロゴルファーです。千葉地区は中山徹プロや加瀬秀樹プロをはじめ宮瀬博文、小林正則、並木弘道、横山明仁らのプロを擁して雑草軍団と呼ばれるグループが存在します。森氏は国内レギュラー時代はさしたる成績は残していません。それよりも豪州ツアーなどに興味を持ち、80年代はよく出かけていました。当時アジアサーキットというアジア諸国を回るすばらしいツアーがありましたが、森氏はそうしたツアーに参戦して活躍していた国際派でもあります。
 インターネットなどⅠT関連にも強い人で、これからは「動画レッスンやフェースブックなどを積極的に取り入れてPR活動や会員との情報交換等に役立たせたい」と、話しています。理事になったあと、松井体制の下で2006年から3年間副会長も務めました。さらに協会内では総務財務委員長、広報担当委員長等も歴任、09年からは事業企画委員会部長で現在に至る経歴で、数字には強い新会長です。HANDA CUPの開催などでPGAとは縁の深い半田晴久氏(国際スポーツ振興協会会長)にも近い存在ともいわれています。森新会長のお手並み拝見!というところです。