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25試合の男子ツアー。35試合の女子ツアー。来季も男子を席巻する女子ツアー人気!

2012年の日程発表とLPGA11年度の部門表彰選手(左から酒井美紀、李知姫、不動裕理、小林浩美会長、アン・ソンジュ、大山志保、宋ボべ)=東京、ザ・キャピトルホテル東急
2012年の日程発表とLPGA11年度の部門表彰選手(左から酒井美紀、李知姫、不動裕理、小林浩美会長、アン・ソンジュ、大山志保、宋ボべ)=東京、ザ・キャピトルホテル東急

 12月に入って、2012年度の男子ツアー、女子ツアーの日程が相次いで発表されました。男子ツアーは今季と同じ25試合をキープ。女子ツアーは1試合増の35試合(11年の日程発表時に比べ)と、ゴルフ界は世の不況を知らぬ気に、相変わらず活況を呈しています。中でも女子は申し込みが引きもきらず、来季は2増1減で1試合増。12年間開催してきたSANKYOレディスが撤退しましたが、新たにアース製薬主催の「アース・モンダミンカップ」(6月22~24日)とサマンサタバサ・ジャパンリミテッド主催の「サマンサタバサ・ガールズコレクション・レディス」(7月20~22日)の2試合が参入してきました。ゴルフメーカーのマグレガー主催の試合が宮崎・フェニックスCCで新規開催とのうわさが高かったのですが、これは承認を見送られました。来季も女子ツアーは、石川遼のいる男子ツアーより、10試合も多い日程を依然保っている人気はどこにあるのでしょう? 
 
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2012年度の女子ツアー日程を発表する小林浩美会長(左)と小林洋子副会長(右)=ザ・キャピトルホテル東急
2012年度の女子ツアー日程を発表する小林浩美会長(左)と小林洋子副会長(右)=ザ・キャピトルホテル東急

 5期14年の長きにわたった女子プロ協会樋口久子会長は、今年2月から小林浩美会長(48)にバトンを渡しました。新体制下でツアーの様相も変化するかとも思えましたが、全く危惧はあたりませんでした。東日本大震災に遭遇し、シーズン当初の1試合が競技不成立、3試合が開催中止となりましたが、31試合は完全消化され、ギャラリー動員も
大きく落ち込むようなことはありませんでした。不動裕理が史上3人目のツアー50勝を達成したのをはじめ、金田久美子、野村敏京、笠りつ子、藤本麻子らの若手がツアー初優勝し、同一試合でのアルバトロスとホールインワンという「3万年に1度」の快挙を成し遂げた人気の有村智恵は、手首の故障をおしてツアー3勝するなど、女子ツアーを支えました。横峯さくらが1勝しかできなかったのはファンをやきもきさせましたが、韓国勢の強さを代表して証明したのがアン・ソンジュでした。今季も4勝して2年連続の賞金女王。日本勢のふがいなさが指摘されましたが、ゴルフが強くて人なつっこいアン・ソンジュは、“アンちゃん、アンちゃん”と呼ばれて、いまや女子ツアーの人気ものにもなっています。
 
 東日本大震災に対しても小林浩美新会長率いるLPGAは「心をひとつに~」を合言葉に、選手たちによる義援金集めやチャリティなどに力を入れ、9月には被災地・東北の宮城・利府CCで「ミヤギTV杯ダンロップ女子オープン」を強行開催。復興支援も兼ねて宮里藍が5年ぶりに出場するなどで試合を盛り上げました。懸念した観客も、3日間で2万2027人がつめかけ、被災地に元気を!との女子プロ開催は成功裏に終わりました。
 

劣れぬ女子プロ人気!毎試合多くのギャラリーに囲まれてプレーする女子プロたちははつらつ(今季初Vを挙げた金田久美子)
劣れぬ女子プロ人気!毎試合多くのギャラリーに囲まれてプレーする女子プロたちははつらつ(今季初Vを挙げた金田久美子)

 ゴルフファッションも華やかな、若い新世代が続々台頭してくる日本の女子プロゴルフは、ファン注視の中に依然あるようです。
 2012年の日程にもそれが表れています。賞金ランキング対象トーナメントでは1試合増の35試合で賞金総額は、今年より約8300万円超増の29億5900万円。試合数、賞金とも4年ぶりの増加となりました。
 
 例年通り、3月第1週開幕のダイキンオーキッドを皮切りに、今年、東日本大震災で1Rだけで競技不成立となったヨコハマタイヤ・PRGR杯、中止になったTポイント、ヤマハ、スタジオアリスも今年こそは、と同じ週にエントリーしました。新規参入のアース・モンダミンカップは、空き週だった6月22~24日に入り、サマンサタバサはやはり空き週だった7月20~22日に編入されました。「モンダミン」はアース製薬の洗口液・化粧品の商品名。「サマンサタバサ」はレディスバッグなどのファッションブランドで、親会社は㈱サマンサタバサ・ジャパン。ともに女性向けのアイテムを扱う会社で、明らかに女性層をターゲットにしての女子ゴルフ参入といったところです。
 

12月に開催された今年締めくくりのイベント「日立カップ3ツアーズ」でも、男子ツアー、シニアツアーを抑えて優勝したのは、LPGA女子ツアーだった(優勝を喜び合う左から大山志保、横峯さくら、アン・ソンジュ、佐伯三貴、馬場ゆかり、笠りつ子)=千葉・キングフィールズGC
12月に開催された今年締めくくりのイベント「日立カップ3ツアーズ」でも、男子ツアー、シニアツアーを抑えて優勝したのは、LPGA女子ツアーだった(優勝を喜び合う左から大山志保、横峯さくら、アン・ソンジュ、佐伯三貴、馬場ゆかり、笠りつ子)=千葉・キングフィールズGC

 賞金総額をアップしてきたトーナメントもあります。ヤマハレディスは8000万円から2000万円アップの1億円。ニトリレディスも9000万円から1000万円アップで1億円です。日米共催のミズノクラシックは120万米ドルは変わりませんが、今年の1ドル=77.16円から1ドル=80円計算となったため、340万8000円アップでミズノクラシックの総額は9600万円となりました。社会的な大事件を引き起こした大王製紙エリエールは、開催は取りやめませんでしたが、さすがに賞金総額で1億円から1000万円減の9000万円に引き下げ。撤退したSANKYOレディスの1億円もなくなりましたが、それでも8340万8000円の増ですから大したものです。
 小林浩美会長は「震災などもあり、社会環境が厳しい中で試合数が増えるというのはうれしいことです。“心ひとつに~”の合言葉のもと、プロジェクトやチャリティイベントは続けていきたい。世界に通じるさらに強いLPGAを目指し、みなさまの期待に応えるよう頑張っていく」
 と、語っています。
 うわさの“マグレガーレディス”が、最終的に協会から承認されなった理由はいろいろ取りざたされていますが、小林浩美会長は「申し込みがあったスポンサーが適切であるかどうかは、その都度、理事会等で諮って決める。とくに定められた規定は作っていない」と、言葉を濁していました。
 

 男子ツアーは新規も撤退もなく、3季連続の25試合。今季と同じくマスターズが終わった翌週、4月12日、東建ホームメイト杯で開幕。最終戦は11月29日開幕の日本シリーズJT杯で幕を閉じます。日本オープン(10月11~14日)が初の沖縄県での開催となり、がじゅまるの樹が生い茂る名門・那覇GCに決定しています。石川遼の2年連続で欠場したトーシン・トーナメントは主催者が開催継続に難色を示していて注目されましたが、話し合いの結果、来季も開催されることになり一件落着です。賞金は後日発表されますが、今季並みの約33億円超になる見込み。小泉直会長は、今季に続いて賞金の6%を東日本大震災の義援金に充てることを選手会と協議の上、来季も継続する方針を示しました。女子ツアーに10試合も遅れをとっている男子ツアーについて、小泉会長は「25試合は少ないとは思っていない。これからは海外の試合も増やしていきたい。日本の選手も海外にもっと出ていって、腕を試して欲しい」と話しています。
 来季開幕前の3月中には、アジアツアー1試合をタイで、ワンアジアツアー1試合を中国で日本ツアーが共催することが内定しています。ただしこの試合は日本の賞金ランキングには反映されません。