
14度目のオーガスタ。
4年ぶり2度目のマスターズ制覇を目指した松山英樹(33)が史上最悪の“悲劇のショット”に見舞われました。初日、好調な足取りで進んでいた13番パー5でのハプニング。左曲がり、で2オンも狙えるパー5の名物ホール。ティーショットが右のラフにかかったため“刻み”を選択した松山は、フェアウェイ80ヤードからの3打目勝負に出ます。そのウエッジもピンを射す完璧に思えたショットでしたが、まさかの悲劇はここで起こりました。
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“3打目勝負”を選んだ松山のウエッジは、ナイスショットに見え、カップ手前でワンバウンドしてピンに当たりました。ツキがあればピンに当たったたボールは真下に落ち、そのままカップインしてイーグルです。カップ近くに落ちて止まれば至近距離のバーディーチャンスのはずでした。ところが、まさか、まさかのボールはピンに当たって跳ね返り、約6㍍ほどあったグリーン右サイドまで転がり、さらに傾斜のラフを転がり落ち、下を流れるクリークへドボン。小石や岩も多く。水中ショットはできません。一転してこのホールダブルボギーの悪夢。
その一部始終を目撃していた松山は、呆然と立ちすくみ、そのときの心境を聞かれて「あちゃーという感じ」「いいショットをしてああいう結果になってしまうと切り替えるのが難しい」と答えていました。だれに怒りをぶつけるでもなく、もう苦笑いしかありませんでした。
後半を2アンダーで乗り切った松山は、11番からのアーメンコーナー(祈るような3ホール11~13番)に入ると12番(パー3)で初ボギー。続く13番(パー5)で悲運のダブルボギーとし、結局アーメンコーナーで3打落とす失速でした。
第1日のこの悪夢を払拭し、2番(パー5)では2オンに成功、イーグルでリベンジするなど「68」とスコアを伸ばし、首位に5打差の12位まで浮上。11年連続決勝ラウンド進出を果たすなど意地をみせました。しかし、3日目に入ると「一つでもバーディーをたくさんとって順位を上げないと」との焦る気持ちも重なりゴルフの内容はガタ落ち。7番では左足下がりでシャンクしたり、11番では木の根元からのショットのあと手首を気にする仕草もみられました。ア悲運の13番パー5では、2オンを狙ってウッドを持ちましたが、球が上がらずグリーン手前のクリークにまた落としてボギー。17番では左林に打ち込み2打目が木に当たりダブルボギーでした。オーガスタで初めてバーディーなしのラウンドを記録し、5ボギー、1ダブルボギーを喫して「79」で48位タイにまで沈みました。

「長い1日になった。疲れましたね」と、さすがにがっくりしながらも「また来年のために1年間準備しないといけない」と、精一杯のコメント。最終日は開き直ったようなゴルフで7バーディー、1ボギーの「66」。、マスターズ自己最高にあと1打となるハイスコアは英樹の意地だったのでしょう。ただ、狙いを定めていた優勝争いにはほど遠いマスターズだったのは間違いありません。初日に受けた思いもよらなかった「悪夢のピン・ショック」から抜け出す日はいつだろうか。
(了)