
国内では無類の飛ばし屋でなる蝉川泰果(24)が、今春は米下部のコーンフェリーツアーを転戦中、2月の第4戦コロンビアで行われた「アスタラ選手権」で激しい背中痛に見舞われて第1ラウンドで途中棄権して帰国。複数の病院でCT、MRIなどの検査を受けた結果『左背中側第5~7肋骨3本の疲労骨折』と診断されました。5月中旬を復帰のメドに治療、療養を続け、先週終わった国内第3戦の「中日クラウンズ」を復帰の手がかりとして戦列に戻りましたが、、、予選は辛うじて通ったものの通算9オーバーの最下位タイに終わりました。“完全復帰”にはほど遠い状況で「今季は米ツアー挑戦はあきらめて、日本ツアーに集中するつもりです」と語る蝉川泰果に、笑顔はありませんでした。
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「涙が止まらなかった。ゴルフであんなに泣いたことはなかった」と蝉川は振り返ります。1月から参戦した米下部ツアー第4戦目2月6日の「アスタラ選手権」初日。7番を終えたところで襲ってきた背中の激痛。途中棄権を余儀なくされ、宿舎に帰っても悔し涙が止まらなかった。昨年スポット参戦した米ツアー「バイロン・ネルソン」9位などの健闘で得たポイントで下部ツアー出場権を獲得。次に米ツアー昇格の夢を追っていた蝉川です。
プロ4年目の24歳。23年賞金ランク2位。国内有数の飛ばし屋が、今回の故障で海外進出の夢もお預けとなりました。、
クラブをなんとか振れるようになったのは4月下旬になってから。約3ヵ月ぶりのゴルフでした。治療中は何もできず読書や国内外の男子ツアーをテレビで観戦していたという。「ケガは、ゴルフが好きという原点を思い出させてくれました。マスターズでキャリアグランドスラムを達成したロリー・マキロイのプレーは感動的でした。もう少し様子をみてからとも思いましたが、やはりゴルフがしたくなって」という蝉川サン。3ヵ月ぶりのゴルフ初日(中日クラウンズ)は6オーバーの82位と出遅れ。後半は1ボギー、3ダブルボギー。ショートアプローチも距離感が乱れてハーフでダボ3つなんて記憶になかった」と苦笑い。それでもカットラインぎりぎりの通算5オーバー59位で予選を突破したのはさすが。

「まだ、日に日に痛みが出ていたので、3日目には棄権も考えた」そうですが、周囲から止められて頑張ったとか。最終ラウンドは2つのダブルボギーと2ボギー。2バーディーの74。それでも予選を通り、4日間を完走「とりあえず4日間できたことは収穫。試合に出て経験して初めて分かることもありますからね」と、空白の3ヵ月へ多少の手ごたえもあったようです。
突然襲われた怪我との闘病には参ったという蝉川。助かったのは、昨年11月に結婚したタレントの久保葵さんの存在。もしひとりの生活だったら、心身へのダメージはもっと大きかったかもしれません。いずれにしろ、あの頑強で飛ばし屋の蝉川のダウンには驚かされるばかり。完全復帰にはあとどのくらいの時間がかかるのか。日本ゴルフ界の“宝”のようなプレーヤーのひとり。早期の全快を祈りましょう。(了)