Daily Archives: 2013 年 1 月 15 日

今季のシニアツアーは4増の12試合に。協会、選手こぞっての勧誘で2ケタ回復。「義務試合」も初めて設定!

2013年のシニアツアー日程等を発表するPGA森静雄会長(右)と前田新作副会長兼PGAツアー競技管理委員長(左)=1月10日、東京・WTCコンファレンスセンター
2013年のシニアツアー日程等を発表するPGA森静雄会長(右)と前田新作副会長兼PGAツアー競技管理委員長(左)=1月10日、東京・WTCコンファレンスセンター

 PGA国内シニアツアーが、今季は4試合増えて12試合になりました。世間の不況をもろにかぶり、試合数のジリ貧で危機感が漂っていたシニアツアーですが、「12試合」は、20年前バブル末期の平成5、6年ころに戻った試合数で、関係者を驚かせています。シニアツアーは日本プロゴルフ協会(PGA)が管轄していますが、松井功会長から森静雄新会長にバトンが渡された1年目でのこの試合増。松井会長時代から続けていた地道な営業成果が、森会長に手渡されて花咲いたというところでしょうか。4月の開幕から最終戦の11月まで、毎月最低1試合はシニアの試合が組まれることになり、選手にも好感がもたれています。また従来、野放しだった義務試合数も「全試合数の60%が必要」との新規定ができ、今年は8試合を満たさないと賞金ランキングから除外される新ルールも確立されました。シニアツアーのいま・・は?!

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 シーズン開幕といっても6月じゃあピンとこない・・などとかげ口をたたかれていたシニアツアーが久々に「ツアー」の形態を取り戻してきました。1月10日、東京・浜松町のWTCコンファレンスセンターで記者発表した森静雄PGA新会長、前田新作副会長(競技管理委員長)も誇らしげな表情でした。

昨年、米シニアツアーを撤退、国内シニアツアーに本格復帰してシニア人気を盛り上げた尾崎直道(昨年9月、コマツオープンで)
昨年、米シニアツアーを撤退、国内シニアツアーに本格復帰してシニア人気を盛り上げた尾崎直道(昨年9月、コマツオープンで)

 増えた試合内容をみますと、まず過去5年間、沖縄・喜瀬カントリークラブで後援競技として開催してきた「金秀シニア沖縄オープン」が、晴れてツアーに格上げ。「金秀シニア沖縄オープンゴルフトーナメント2013」が4月19日から同コースで開幕戦として開催されます。賞金総額は2000万円と、スリムな2日間大会ですが、5年間の後援競技を経て満を持してツアーに乗り込んでの4月開幕となりました。スポンサーの「金秀グループ」は、沖縄で広範囲に展開しているスーパーはじめ、さまざまな産業を出がけている沖縄のトップ企業。開催コースの喜瀬CCも「金秀リゾート」の中の一つです。2007年には日本プロゴルフ選手権もここで開催されています。

 第3戦として6月7日から新登場するのは、賞金総額6500万円の3日間大会「KYORAKU MORE SURPRISE CUP 2013」(三重・涼仙GC)。~シニアを元気に~のサブタイトルをつけていますが、このスポンサーは大手パチンコメーカーの「京楽産業」。高見和宏プロが仲を取り持って実現した新トーナメントです。涼仙GCは女子ツアーのマンシングウェアレディース東海クラシックが長く開催されました。

昨年9月、コマツオープンで昨シーズンシニア2勝目を挙げ、賞金王へ突っ走った尾崎直道。1200万円の優勝賞金を森静雄会長(右)から受け取る=小松CCで。
昨年9月、コマツオープンで昨シーズンシニア2勝目を挙げ、賞金王へ突っ走った尾崎直道。1200万円の優勝賞金を森静雄会長(右)から受け取る=小松CCで。

 11月22日からの最終戦にお目見えするのは「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」(鹿児島・いぶすきゴルフクラブ開聞コース)。3日間大会で賞金総額は6000万円。このスポンサーも「いわさきグループ」として九州では有数のリゾート会社。鹿児島一円の大地主でバス、船舶、ホテル、ゴルフコース・・と50数社を傘下に収める大手企業。PGA阪東忠義プロ率いる九州プロ会が力となって、トーナメント実現に奔走しました。トーナメント名にある白露は同グループが手がける焼酎の銘柄でもあります。いぶすきGC開聞コースは、長くレギュラーツアーのカシオワールドオープンが開催れたゴルフ場です。

7月11日からの2日間大会「ISPS・HANDA CUP・フィランスロピーシニアトーナメント」(箱根湖畔ゴルフコース)も新規大会です。春・秋に2大会を開催するISPS HANDA CUPとは別に、ISPS(国際スポーツ振興協会・半田晴久会長)が冠になって開催するフィランスロピーシニアです。従来からPGAが主催していた公式戦のフィランスロピーシニアとは別のトーナメントです。
 これまで6月に開幕戦として開催してきた「スターツシニア」は、隔年開催で今季は開催しない年ですが、スターツが笠間東洋を買い取ったことから、記念大会として昨年通り今年も6月14日から3日間大会(賞金総額6000万円)を実施します。スターツは昨年まで“開幕戦”をひとつの売りにしてきましたが、今年は第4戦となります。
 同じように“最終戦”で、賞金ランキングなど決定戦としてきた富士フィルムシニアも「いわさき白露シニア」が新規で後ろにまわり、富士フィルムは最終戦ではなくなりました。

国内のシニアツアーでは表彰式には出場したプロ全員が参加して式を盛り上げる。これもスポンサーやギャラリーから高感度で迎えられている(2012コマツオープン)
国内のシニアツアーでは表彰式には出場したプロ全員が参加して式を盛り上げる。これもスポンサーやギャラリーから高感度で迎えられている(2012コマツオープン)

 撤退した試合はなく、8試合から4増の計12試合。まだまだ経済不況が続く中で、どうして一気に4増が実現したのでしょうか。森会長も「いろいろな人脈を使ってお願いを続けたり、協会だけでなく選手や会員のみなさんまでが一致協力して新規試合の勧誘に奔走してくださった成果です。ありがたいことです」と話しています。金秀グループとPGAは古くからの縁があって、去年今年の話ではなく、松井会長時代から後援競技⇒ツアー昇格への勧めを続けてきました。そうした長年の説得が実ったものでしょう。高見和宏選手が京楽産業を取り込むのにひと肌脱いだり、九州プロ会の尽力・・それら関係者がシニアの試合を増やすための力を結集したのは見上げたものです。賞金総額2000万円クラスの小規模試合(優勝賞金は400万~500万円くらい)が4試合ありますが、シニアツアーは賞金額よりも試合数の確保が優先されていますから、2ケタを取り戻した評価は高いと思われます。さらに「交渉中のものがもう1試合ある」(森会長)そうですから、シーズン開幕のころには13試合になる可能性も残っています。

 こうした試合増と並行して以前からいわれていた義務試合の設定も実現しました。これまでは試合数も少なく、たとえば招待された外国選手とか、国内の有力選手が1試合だけ出て優勝もしくは上位に入ると、それでシード入り(30位)できるといったケースもありました。その場合、フルシーズンを戦った30位付近の選手が押し出されて泣く結果になりました。その不合理をなくすために“義務試合制”がとり入れられて「総試合の60%」、今年であれば12試合の60%(繰り上げ)で「8試合」が義務試合となります。8試合出場をクリアしていなければ、賞金ランキングから除外されます。また主催者等からの推薦出場も「総試合数の30%(繰り上げ)」、つまり「4試合まで」ということになりました。試合数も2ケタとなり、シニアツアーもようやくツアーとしての形態が整ってきた、といえるでしょう。熟練したシニアプロたちの技を今年もたっぷりと見せてもらいましょう!

 

<2013年国内シニアツアー日程>

4月19日(金)~20日(土)
金秀シニア沖縄オープン2013
(沖縄・喜瀬CC)

5月31日(金)~6月1日(土)
ISPS HANDA CUP 五月晴れのシニアマスターズ
(福岡・九州GC八幡コース)

6月7日(金)~9日(日)
~シニアを元気に~KYORAKU MORE SURPRISE CUP 2013
(三重・涼仙GC)

6月14日(金)~16日(日)
スターツシニア ゴルフトーナメント
(茨城・スターツ笠間GC)

7月11日(木)~12日(金)
ISPS HANDA CUP フィランスロピーシニア
(神奈川・箱根湖畔GC)

8月開催(日時未定)
ファンケルクラシック
(コース未定)

8月30日(金)~31日(土)
ISPS HANDA CUP秋晴れのシニアマスターズ
(北海道・ブルックスCC)

9月12日(木)~14日(土)
コマツオープン2013
(石川・小松CC)

10月10日(木)~13日(日)
日本プロゴルフシニア選手権 住友商事・サミットカップ
(茨城・サミットGC)

10月31日(木)~11月3日(日)
日本シニアオープン選手権
(福岡・麻生飯塚GC)

11月7日(木)~9日(土)
富士フィルムシニアチャンピオンシップ
(千葉・ザ・カントリークラブ・ジャパン)

11月22日(金)~24日(日)
いわさき白露シニア
(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)