ゴルフトーナメントを支えるスポンサーらが選ぶ2012年のルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に、男子・藤本佳則(23)と女子・斉藤愛璃(23)、成田美寿々(20)の3人が選ばれました。選考基準は厳しく、男子はツアープロに転向してから、女子はプロテスト合格後、またはプロテスト合格者以外ではじめにTPD登録をしたもので「最長2シーズン以内(海外を含む)。但し初年度は全試合数の3分の1以内の出場であれば、その年は含まない」となっている。さらに「来季のシード権獲得者であってかつ、人格面ならびにマナー、エチケット、話題性、国内ツアーへの貢献、将来性などを加味して選考する」となっています。選考メンバーは、スポンサー、メーカー、競技運営会社、新聞、TV、雑誌等のプレスらで構成するノミネート委員会。1998年に発足した表彰で、これまで宮里藍、横峯さくら、古閑美保、森田理香子、服部真夕らの女子。石川遼、池田勇太、谷原秀人、薗田俊輔らの男子・・とその後トッププレーヤーになった面々が選ばれているだけに注目が集まる賞です。
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いまや専売特許となった後ろ髪を伸ばした“タテ髪”をなびかせ、さっそうと現れた藤本佳則。大柄な体を揺るがせながらの現役女子大生・成田美寿々。もうあれからかれこれ1年、昨年の開幕戦、ダイキンオーキッドで初優勝した可憐な斉藤愛璃。それぞれが緊張した面持ちで東京・赤坂のホテルに登場しました。2012年「GTPA(日本ゴルフトーネメント振興協会)ルーキー・オブ・ザ・イヤー」。もう新年も2月になりましたが、例年この時期に表彰を行う特異なイベントです。表彰を新人に限っているのもこの賞の特徴で「ゴルフ界の活性化のためには、若手選手の育成が重要であると考え、“ルーキー・オブ・ザ・イヤー”として、同賞に最もふさわしいプロを選出、表彰し、その功績をたたえるとともに更なる活躍を促しています」(GTPA)としています。
藤本佳則。東北福祉大卒。2011年12月3日 ツアープレーヤー転向。165センチ、68kgしかない小兵ですが、根性の塊のような攻撃的なゴルフには魅力があふれています。ピンを常に積極的に狙っていくゴルフスタイル。“絶対ショートはしないぞ!”といっているような、小気味のいいゴルフをします。ミスもありますが、カップインのチャンスは増え、ルーキーイヤーの昨年6月、日本ゴルフツアー選手権のメジャーでプロ初優勝を果たしました。ルーキーがメジャーを制したのは史上初めてで、開幕デビュー5戦目での初VはJGTO発足以来最速Vタイの記録でした。とおとうみ浜松2位、三井住友VISA太平洋マスターズ3位、カシオワールド3位などトップテン入り7回。ルーキーイヤーから8869万9122円のビッグマネーを稼ぎ、賞金ランキングは7位の石川遼を凌ぐ5位に入る大活躍でした。
当然の受賞で、藤本は「いろいろあった1年目でしたが、やはりツアー選手権での優勝が一番うれしかった。こんな大きな賞をいただいて、今年は去年にも増して頑張りたい」と、満面の笑みで語り、“ゴルフ以外で今年やりたいことは?”と聞かれると、一瞬とまどいながらもすぐ「英語を勉強したいっス。これから海外へも行く機会が増えるから、英語は話せないと・・」と、きっぱり。前途は洋々とした若者の息吹を感じさせました。
女子は2人受賞でしたが、成田美寿々は日体大2年生。昨年10月8日に20歳になったばかりで、その6日後の富士通レディスで見事バースデーウイークVを飾りました。2日目は8位でしたが、最終日ボギーなしの5バーディーの67で回り、通算9アンダーでの逆転Vでした。千葉・市原生まれで12歳で父親にゴルフの手ほどきを受けました。拓大紅陵高ゴルフ部で本格的な競技ゴルフを始め、日体大1年の2011年にプロテスト受験しましたが不合格。日体大は昨年から休学してゴルフに打ち込み、秋のQTに挑戦して26位通過。TPD単年登録して昨季のツアー出場権を獲得した頑張り屋です。美寿々(みすず)の名前は、ニュースキャスター田丸美寿々から命名。
「夢は2016年、リオデジャネイロ五輪に出場して金メダルをとること」と、壮大。昨季は7月の日医工女子オープンで8位に入り、マンシングウェア東海では9位と、秋口にかけて調子を上げ、10月の富士通レディスで念願の初Vを果たしました。次週のマスターズGCレディスでも6位と、連続トップテンで初年度の獲得賞金は3177万1558円。賞金ランク27位で堂々の賞金シードをゲットしました。
「この賞に恥じない成績を今年は残したい。課題はアプローチとパターです」と、はきはきと答えていました。3年後のリオ五輪で金メダルをつかむには、まずその前に代表選手に選ばれること。2年目の今年、大ブレークを期待しましょう。
もう一人の女子は、昨年の開幕戦で2連勝の韓国勢にストップをかけた22歳の斉藤愛璃。3度目の挑戦でプロテストに合格したばかりのツアールーキーが、昨季は開幕戦から飛び出してきました。最終日1打リードの最終18番で、入れれば優勝の1メートルのパットを外してプレーオフに持ち込まれました。それでも斉藤は「自分のゴルフに徹しよう」と、くじけませんでした。李知姫、三塚優子との3人プレーオフ。まず李が脱落、2ホール目に三塚の短いパーパットがカップにけられて、涙の初Vをつかみました。
神奈川・厚木北高出身。07年にはJGAの日本ナショナルチームのメンバーに選ばれています。前年、プロテストに合格するまでは、正会員でないが試合に出場できる単年登録のプロ(TPD)になって昨季までツアー8試合に出場していましたが、42位が最高。「気合を入れてオフを過ごした」という今年。ウエートトレーニングやグアム合宿などで飛距離は10ヤード伸ばし、グリーン周りを重点的に練習したそうです。
8歳で父・壮士(たけし)さんにクラブをもらって始めたゴルフ。突然訪れた初Vのあとは、8月のCATレディスの7位以外はぱっとしない1年でしたが、ツアー11戦目(アマ時代含む)の開幕戦初Vは、日本人最速で強烈なインパクトでした。
「今年の開幕戦は、めったになれないディフェンディング・チャンピオン。その感触をたっぷり楽しみたい。今年は平均ストロークを72には上げたいです」と、1年前の感激をよみがえらせていました。ビジュアル系のニューヒロインに寄せる期待は今年も大きいものがあります。
ハワイで合宿中の選手会長・池田勇太も会場にかけつけてあいさつ。スポンサーへの謝意を表していましたが、今年選ばれた3人の大ブレークを待ちましょう。