国内外プロ通算113勝の66歳・尾崎将司に、また新しいスポンサーがついてアッといわせました。用具提供契約を結んだのは、米国ゴルフメーカーのテーラーメイド・アダムス社。ここ数年、ジャンボの有力なスポンサーとなっていたGMAとは昨年で決別して、トム・ワトソン(米)で知られているアダムスゴルフのクラブ&用品を今年から使用することになりました。先週末、東京・ビッグサイトで開催されたゴルフフェアー2013では、テーラーメイド・アダムスゴルフのブースに集まった大勢のファンにもこれを報告、「アダムスと契約したのは日本人ではほかにいない。なんでも“1番”というのがオレは好き。最新の武器が手に入って、今年は気持ちは前向き!」と、66歳の気勢を挙げました。止むことを知らないジャンボ尾崎に聞いてきましたー。
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ゴルフフェアー2013は、ゴルフ関係の166社/616コマのブースが東京ビッグサイトに展開されました。ナイキや本間ゴルフなど、いったんは休止していた企業が回帰したことや、特に目立ったのは外資系企業のブースの大型化でした。中でも、昨年に倍するスペースをとってアピールしたのが、テーラーメイド・アダムス社のブース。その目玉となったのが、アダムスゴルフの“顔”、トム・ワトソンの来日イベントとジャンボ尾崎の登場でした。テーラーメイドは、このほかにも米女子ツアーで昨年初勝利を挙げた宮里美香を、国内メーカーから転進させて新規契約を交わしました。初日にワトソン、2日目に宮里美香、最終日にジャンボ尾崎・・と連日″目玉〝を繰り出してステージイベントを行ったテーラーメイド・アダムス社ブースの人だかり、人気は群を抜いていました。
さてさて、最終日の日曜午前11時30分からステージに現れたジャンボは、満面笑みを振りまく大サービス。ジャンボが使うアダムスゴルフのクラブは、最初1996年に発表した地面に這いつくばるような形をしたフェアウェイウッド「タイトライズ」が大ヒットしてゴルフ界に頭角を表しました。すぐにトム・ワトソンと用具契約をしてぐんぐんとその名を高めてきました。その後も先進的でやさしいゴルフクラブを開発し続けましたが、2012年3月、アディダスグループの一員となり、テーラーメイド社の傘下に入りました。
一風変わったヘッドなどを編み出してきたアダムスゴルフのクラブをジャンボ尾崎が使うようになるとは、ちょっと驚きでしたが、テーラーメイド社のグローレシリーズと似通った白ヘッドの「スーパーLS」シリーズは「角度があって、なおかつ伸びて飛んでいってくれる」(ジャンボ)と高い評価。なかでも「Idea スーパーLS ハイブリッド」と呼んでいるユーテリティークラブは、フェースに沿ってヘッドに切ってある溝について「どうしてこんなアイデアが出てきたのか?わからんね。ショートアイアンの感覚で打てばいい。4Iと3Iの代わりになる」と感心しきり。さらにアイアンについては「いままで使っていたものにない感触。しかも従来よりワンクラブ飛ぶ。オレはデビューのころは、5番アイアンで200ヤード飛んでいたが、最近は180ヤード程度に落ちていた。このアイアンでまた200ヤード飛ぶようになった。デビュー当時の飛距離に戻してくれた」と、すこぶるつきのお気に入りです。
「わが人生は、ゴルフしかないんだから」というジャンボ。“飛距離”は66歳のいまになってもこだわり続けて止みません。「ゴルフで飛距離というのは、テニスでいえばファーストサーブと同じ。軽く安全に打って、フェアウエイに置けばいいというものじゃない。ゴルフの飛距離はいま、世界中で伸びている。日本の選手も280ヤード平均で飛ばせるけど、まだ世界には先を越されている。テーラーメイドにしてもアダムスゴルフにしても、世界に追いつくための貴重な武器だ。すべてにおいていい。自分はゴルフクラブもアートな分野を目指しているが、それに近づいてきた。いま、自分が使うこのクラブがとにかく“ナンバーワン”だ」
ステージでのトーク中、同じテーラーメイドメイドと用具契約をしている僚友・青木功からのビデオメッセージが流れました。「・・なあ、ジャンボ!お互い力を尽くして頑張ろうや・・」と、大画面のビデオメッセージでエールを送られたジャンボ、苦笑いしながら「なんやおっさんか!女優さんかだれかからかと思ったのに・・。あの人、おれのことをいつも“アンちゃん”って呼ぶんだ。いい加減なことばかりいう。一緒に頑張ろうっていっても彼はシニア、オレはレギュラーだからね」と、得意のジャンボ節で軽くやり返していました。
青木功がテーラーメイド、ワトソンとジャンボがアダムスゴルフ・・と歴代のビッグスター3人が同じテーラーメイド傘下に集まったわけですが「ワトソンはアメリカでアダムスを全世界に向けて浸透させた人」と、持ち上げ、5年前に同じジャンボ軍団の飯合肇が渡米したとき、おみやげにアダムスゴルフのクラブをプレゼントされたそうで「オレはそのときからアダムスを使っていて知っていたんだ」と、得意そうに打ち明けていました。
今年のジャンボ、もちろんシニアツアーには見向きもせず、いくら予選落ちや棄権が続こうとも、レギュラーツアーにこだわります。暮れの12月20日からトレーニングを本格始動。従来から続けてきたバーベルなどを使ったハードな筋トレは控え「ゴムを使って肩関節の可動域を広げ、柔軟性を高める動きを主体にやってきた。いつも以上にボールも打ってきた。今年のオフはクラブを離さずやった。効果は見えてきたよ」と、血気盛ん。それもすべてはレギュラーの国内開幕戦、東建ホームメイト杯を万全の大勢で迎えるため。
「アジアのタイやインドネシアには行かない。あくまで国内開幕を目指す。今年は新しい武器を得ていつも以上に気持ちも前向きになっている」と、きっぱりと言い切った。
昨年はレギュラーツアー22試合に出場したが、予選通過はゼロ(棄権6試合)。一銭もかせいでいないわけですが、ジャンボの戦う気力は失せていません。ジャンボの今季のテーマは「常在青春(じょうざいせいしゅん)」。ジャンボらしい造語ですが、「人生、夢や目標さえあれば、60歳を過ぎようともいつでも青春!」ー。
「新しいクラブと気持ちがマッチィングすればかなり楽しみだね」と、目を輝かせるジャンボは、まるで少年のようです。長年、苦しんでいる腰痛は完治はしていません。2006年末には一度手術を受けていますが、今年も「狭まっている腰椎の隙間を広げる治療をするかもしれません」(宮下トレーナー)という状態です。久しぶりに新しいクラブと出会い、ドライバーからパターまで14本のクラブを総入れ替えして66歳のジャンボは戦います。
「新生ジャンボを見てほしい!」ーまさに不死鳥のように蘇って奇跡を起こすか?通算113勝。12度の賞金王。55歳7ヵ月29日の最年長優勝記録。日本人4人目の世界殿堂入り(10年)・・。最後の優勝は、2002年の全日空オープンです。