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石川遼、来季米ツアー出場権へ「最後の戦い」。4戦中、第1戦は予選落ちの崖っぷち!!

石川遼、米ツアー1年間の総決算は、下部ツアーとの“入れ替え戦”で明暗が決定する厳しい状況となった。
石川遼、米ツアー1年間の総決算は、下部ツアーとの“入れ替え戦”で明暗が決定する厳しい状況となった。

 華やかな表舞台をよそに、石川遼(21)の“地獄の戦い”が始まりました。米ツアー1年目、シード権の喪失がすでに決まり、来季の出場権獲得をかけた下部ツアーの「Web.comツアーファイナル」4試合に、すべてを託します。しかしその第1戦、ホテルフィットネス選手権でよもやの予選落ち。第1戦は賞金ゼロで最下位発進という厳しい現実をつきつけられました。9月末までの残り3試合で上位25位に入れれば、来季の米ツアー出場権が手に入ります。もう、見栄も外聞も捨てた死にもの狂いのゴルフがどこまでできますか? もし、この“入れ替え戦”で25位以内に入れないとなれば、来季の遼はどうなるのでしょうか? 米国に留まって下部ツアーを主戦場にして戦うか、さもなければ、恥をしのんででも日本ツアーに戻って出直すか? 片や、スポットライトを浴び続ける松山英樹との明暗の中で、石川遼の苦しみは続きます!!

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米ツアー1年目の賞金ランクは141位。“125位まで”のシード権を得られなかった石川遼。
米ツアー1年目の賞金ランクは141位。“125位まで”のシード権を得られなかった石川遼。

 米インディアナ州フォートウエィンのシカモアヒルズGC(パー72)。シカゴに近いエリアですが、おそらく石川にとっては初めてのコースだったのでしょう。7,275ヤードでパー72。プロアマ戦もちゃんと行われ、出場した石川は6バーディー、ボギーなしの66で回って「いい感じだ」と好感触を口にしていました。ところが本番が始まるととたんに遼のゴルフは崩れます。初日2番(パー5)のドライバーショットが、右の林を突き抜けるOB。打ち直しも再び右に飛んでこれが木の真下。1打罰を払ってボールを動かして打ち、結局6オン2パットのトリプルボギーの洗礼。「フェードボールを打とうとしてカットし過ぎた」(遼)とのことですが、1打もおろそかにできない大事な試合で、いきなりこうしたミスは、メンタル面でもズシリとつきささります。4番(209ヤード、パー3)では6メートルにつけながら、バーディーパットが強すぎてオーバー。返しも外れる最悪の3パットボギーです。後半は3バーディーで少しは盛り返しましたが、74をたたき、首位と10打差の108位と大きく出遅れる初日で気勢をそがれました。

 下部ツアーとはいえ、来季の出場資格獲得を目指す出場者たちは目の色を変えて臨んでいます。08年のマスターズチャンピオンのトレバー・イメルマン(23=南ア)もいて「目に見えるようなレベルの差は全然ない」と遼。もう後のない2日目。初日に乱れたドライバーはなんとか修正できました。5番は第2打もドライバーを持ち、ピン6メートルにつけるなど、四つあるパー5は、すべて2オンして4バーディーを稼ぎましたが、今度はパットがかみ合いません。3番、7番でともに2メートルのバーディーパットが決まらず、最終9番でも3メートルのチャンスを逃して天を仰ぎました。68で回って追い上げたものの、予選通過に1打及ばなかったことを思えば、何度もあったバーディーチャンスに一つでも入っておれば予選クリアだったのに・・と悔やまれます。パットの悩みは今季を通して遼にまつわっていた問題点。3月には中尺タイプの太目のグリップに変更。6月、日本ツアー選手権宍戸に帰国したときは、今年は変えたことのないL字型から、ストロークの安定性を重視したデカヘッドのマレットタイプに変更。米国に帰ってからはパターの握りを逆手にするクロスハンドにしたり、試行錯誤が続いています。今回、下部ツアーの“入れ替え戦”という後のない試合になると、またエースパターのL字タイプに戻しました。しかし、第1戦、結果は予選通過に1打届かずに泣きました。

6月の日本ツアー選手権宍戸ヒルズで再会した石川遼(左)と松山英樹(右)。この時も二人同じ組で回り、遼は予選落ち、英樹は7位と明暗を分けた。(茨城・宍戸ヒルズ1番ティーで)
6月の日本ツアー選手権宍戸ヒルズで再会した石川遼(左)と松山英樹(右)。この時も二人同じ組で回り、遼は予選落ち、英樹は7位と明暗を分けた。(茨城・宍戸ヒルズ1番ティーで)

 この終盤戦、石川は前戦のウィンダム選手権まで9週連続のハードなスケジュールをこなしてきました。最後の全米プロ、ウィンダム選手権では安定感をみせたゴルフでしたが、レギュラーツアーでは賞金ランク141位でついにシード権をキープできませんでした。“入れ替え戦”までようやく1週間の休みがとれ「疲れを取るのにまる1週間かかった」と、もらしていましたが、“心の疲れ”まではきっと取り切れてはいないでしょう。

 “入れ替え戦”の制度は、今季から導入されたものです。米ツアー賞金ランク(フェデックスポイントランク)125位を外れた126位~200位の選手と、下部ツアーの賞金ランク1~75位の選手、合計約150人が、9月中の4戦の獲得賞金額で争います。シード枠は「50」で、下部ツアーの今季賞金ランク上位25人はすでに権利確保済み。それを除いた上位25名に来季のシード権が与えられます。

 “入れ替え戦”の予選通過ラインは「60位タイ以内」。米ツアーの70位タイ以内より厳しく、一日一日が息の抜けない試合といえるでしょう。最後の生き残りにかけた4試合。遼はその第1戦で予選落ち。賞金獲得ゼロの最下位発進は、またまた強いストレスを感じているでしょうが、もうあれこれいっている場合ではありません。落ちるところまで落ち、残り3戦で何としてでも上位に食い込む結果を出すしかない。最後の最後で、石川遼が勝負根性を発揮できるか、できないか。注目しましょう。