Daily Archives: 2013 年 12 月 16 日

英樹、遼の米国流失に泣く男子ツアー。来季も“わが世の春”の女子ツアー。国内男子22試合、女子37試合の「大差!」

2014年の女子ツアー日程を発表する小林浩美会長(左)と入江由香副会長(都内のホテル)
2014年の女子ツアー日程を発表する小林浩美会長(左)と入江由香副会長(都内のホテル)

 来季の男女ゴルフツアーの日程が相次いで発表されました。女子ツアーが1試合増の37試合となり、賞金総額は過去最高だった今季から約9千万円増えて、32億5000万円に達し、“この世の春”を満喫しているのと対照的に、男子ツアー(国内)は今年の23試合を下回り、過去最少の22試合。さらに2つの大会スポンサーも撤退し、賞金総額(未発表)は今季の33億5414万円を下回る可能性も出てきました。実力と人気を備えた石川遼、松山英樹の二枚看板の米国流失もあって、国内男子ツアーの人気低迷は深刻な状況です。男子ツアーは今春と同じく、3月にタイとインドネシアで行われるワン・アジアツアーとの共催2試合を国内賞金加算で開催しますが、それを合わせても過去最少に並ぶ24試合にとどまりました。

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全日程を終えた男子ツアーは、翌9日、ゴルフツアー表彰式を開催。9冠を独り占めし壇上で挨拶する松山英樹(東京・パレスホテル)
全日程を終えた男子ツアーは、翌9日、ゴルフツアー表彰式を開催。9冠を独り占めし壇上で挨拶する松山英樹(東京・パレスホテル)

 国内男子ツアーでは、6年間続いたパナソニックオープンが打ち切られ、ダイヤモンドカップと統合される形になってこれがアジアパシフィックオープンを兼ねることになりました。実質1試合減です。加えてコカ・コーラとVanaHが大会スポンサーから撤退。東海クラシックとKBCオーガスタの大会名になります。今季は7月から8月にかけて6週間、試合がなかったのですが、来季は7月上旬から実に7週間も試合がありません。暑い盛夏の時期とはいえ、1ヵ月半もツアーのない男子ツアーは、ファンから見放されかねない苦しい日程です。最多の時は46試合(83年)もあったのに、年々暗い話題が増えていく男子ツアーは厳しい現実に直面しています。

今季から米ツアーが主戦場の石川遼。今秋の三井住友VISA太平洋(御殿場)に帰国出場、優勝争いを演じて人気のほどを証明した。が、来年はまた米ツアーに“流出”する。
今季から米ツアーが主戦場の石川遼。今秋の三井住友VISA太平洋(御殿場)に帰国出場、優勝争いを演じて人気のほどを証明した。が、来年はまた米ツアーに“流出”する。

今季は史上初のルーキー賞金王となって2億円超を稼いだ松山英樹人気で一応の盛り上がりがありました。しかし、それに続くスターの台頭がみられません。片山晋呉、池田勇太が辛うじて1勝ずつを挙げて面目を保ちましたが、ツアーを席巻するような勢いに欠けました。「松山クン、石川クンには米ツアーでできるだけ早く再来年のシード権を確保してもらい、1試合でも早く日本ツアーにも戻ってきてほしい」(鷹羽正好JGTO副会長)という声は、悲痛にも聞こえます。英樹&遼に続くニュースターの登場が待たれるところですが、これとてフタをあけてみないと予測はつきません。

2億円超を稼ぎ、史上初のルーキー賞金王に輝いた松山英樹。来季は早くも米ツアーへ挑戦する。
2億円超を稼ぎ、史上初のルーキー賞金王に輝いた松山英樹。来季は早くも米ツアーへ挑戦する。

 年々後退していくスポンサー離れが心配です。日本ゴルフツアー機構(JGTO)では「選手の顔ぶれをよくしていき、試合内容の向上を図る」(鷹羽副会長)としていますが、何よりもまずは若々しい新戦力の参入が必要でしょう。試合が“歯抜け”になるのは、選手の調整にも影響を及ぼします。3月に計画されていたフィリピン・オープンとの共催が台風被害で延期となり「これをなんとか試合のない7~8月の週に組み込みたい」(山中博史専務理事)と、JGTOの舞台裏ではてんやわんやのねじりはちまき状態です。

横峯さくら時代から始まった日本の女子プロブームは、10年来まだ衰えを知らない。
横峯さくら時代から始まった日本の女子プロブームは、10年来まだ衰えを知らない。

 一方、女子ツアーは、宮里藍、横峯さくらの両人気選手がプロ入りした2004年以来、小さな波はあっても、年々不況知らずのツアーが続いています。4日間の男子より3日間の女子ツアーの冠になった方が、経費は少なくて済むというメリットはありますが、ルックスもいい若い女子プロが次々と参入してくる女子界です。スポンサーもファンも、そこに目をひきつけられるのです。今季、さくらとの賞金女王争いに競り勝った23歳の森田理香子を筆頭に、比嘉真美子、堀奈津佳、一ノ瀬優希、藤本麻子、笠りつ子、菊地絵理香、成田美寿々・・と、台頭してくる若い力にはこと欠きません。この3年間も年ごとに増えてきた試合数。下部ツアーのステップアップツアーまでが、この5年間をみても5、5、7、10、12(14年)と増え続けるのは、若い女子プロにかける企業スポンサーの思惑を映し出しています。

 来季、1試合増になる試合(ツアー)は、国内不動産仲介企業の大手、センチュリー21ジャパンが冠になる「センチュリー21レディス」。7月最終週に伊豆大仁CC(静岡)で行われます。計37試合。賞金総額は9240万円増えて史上最高額の32億5000万円。落ち目?の男子ツアーを抜こうかという勢いです。2試合増のステップアップツアー、シニアのレジェンンズツアーも2試合増、これに新人戦(加賀電子カップ)なども含めると、実に計57試合が開催されます。

横峯さくらと争って勝った今年の賞金女王・23歳の森田理香子。女子プロ人気を受け継ぐ新しい星だ。
横峯さくらと争って勝った今年の賞金女王・23歳の森田理香子。女子プロ人気を受け継ぐ新しい星だ。

 小林浩美会長は「ツアー最終戦の最終ホールで賞金女王が決まるなど、試合は年間を通じてワクワクドキドキで、エキサイティングになってきたおかげ。今季は各世代の選手が活躍してくれました。アンダーパーカット(予選カット)が6試合もあったし、最終日にスコアアップするケースが多くなった。いい試合が多いのは、いまの選手がひとつひとつやれることに努力し頑張っている結果です。いま、いろんなスポーツがある中で、女子ゴルフに目を向けてくださるスポンサーには感謝です。長い間のお付き合いが根付いているのだと思う。16年のゴルフ参加のオリンピック、20年の東京オリンピックに向けて、女子プロゴルフはさらにレベルアップしていきます」と、喜びを語っています。

 小林会長はさらに「女子も米ツアー並みに4日間の試合を増やしていきたい」との意向が強く、今季は9試合に増えていました。来季の4日間大会は今年同様9試合に留まりましたが、16年までには全試合の3分の1、20年には3分の2までに増やす方針を改めて表明。「世界の舞台で勝つためのツアー強化は、引き続いて惜しまない」との意欲を披露していました。

 男子ツアーが、女子を抑えて盛り返す日はくるのでしょうか?