8月に行われた「日本ジュニアゴルフ選手権」(埼玉・霞ヶ関CC西コース)。女子15~17歳の部で通算14アンダー(3日間54ホール競技。大会最少ストローク)の断然の強さで優勝した蛭田(ひるた)みな美(18=福島・学法石川高3年)への呼び声が、日ごとに高まっています。昨季、プロツアーに勝った同じ″みなみ”の勝みなみ(17=鹿児島高2年)が、昨年のジュニア覇者でしたが、今年の王座をとった″みな美”は、勝を凌ぐほどの実力を見せてきました。昨年の日本女子アマ選手権に続く2冠で、次は10月1日からの日本女子オープン(石川・片山津GC)ローアマへの挑戦が注視されています。実現すれば、宮里藍らに続く史上6人目の″女子アマ3冠”ですが、来年3月に高校を卒業し、7月のプロテスト受験を決めています。百花繚乱の女子ゴルフ界で、また一人頭角を現してきた実力派・スーパー女子高生に注目ですー。
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勝みなみや新垣比菜(沖縄・興南高2年)、松原由美(大院大高2年)、永井花奈(東京・日出高3年)らプロツアーでも活躍する有力高校生たちが揃った今年の日本ジュニア。勝や新垣のカゲで「ひっそりとやってました」(蛭田)といいながらも着実に力を蓄えてきたのが蛭田です。昨年6月、16歳で日本女子アマの頂点に立ったときから″ヒルタ”の名前は全国区で知られるようになりました。今回も初日から68で首位に立ち、難度の高い霞ヶ関CCでただ一人3日間60台で回って他を寄せつけませんでした。緊張する最終日に5バーディーでボギーなしのゴルフができたのも、実力の証明でしょう。追ってくる勝(3位タイ)、松原(3位タイ)新垣(5位)、永井(8位)らも及びませんでした。「父と話して″1日5アンダー”を目指してやった」(蛭田)というとおり、ほぼその目標を達成した勝利で、2位には7打差をつける完全Vでした。
勝より1学年上。同じ福島出身の酒井美紀プロ(24)とは親交があり、10年の日本女子アマ優勝の酒井に続いて昨年は同郷の日本一でした。ドライバーの平均飛距離は240ヤード。他のジュニアを圧倒するほどの飛ばし屋ではありませんが、精度の高いショットは安定感抜群のゴルフを身につけています。平均飛距離を「あと10ヤードは伸ばしたい。世界レベルで戦うには20ヤードかな」(蛭田)というのが願いですが、現在も体づくりを休まず続け、伸びしろはまだ十分にある18歳でしょう。昨年、日本女子アマに勝ったことでJGAのナショナルチームの一員になれました。ナショナルチームに入れば、組織だったトレーニングや練習。さらに海外試合も積ませてもらえますから、この1年間で「凄く成長できました」(蛭田)と感謝の気持ちも忘れません。
福島・東白川郡鮫川村生まれ。3歳から父・宏さん(55)にゴルフを教わり、中嶋常幸主宰の「トミーアカデミー」にも在籍して腕を磨きました。09、14年東北ジュニア優勝。14年日本女子アマ優勝。日本ジュニア3位。15年は日本女子アマベスト8、日本ジュニア優勝と、階段をのぼってきました。プロツアーには12年、ミヤギTV杯で初出場(51位)してから計11試合に出場。昨年の日本女子オープンは55位。今季は4試合に出てワールドレディス・サロンパス杯44位(ベストアマ)、7月のセンチュリー21レディスの11位が最高位。
スーパー女子高生・みな美のゴルフ人生はこれからが本番ともいえますが、ジュニア(高校まで)の大会はこれで一区切り。2020年の東京五輪も視野に入れながら、勝や新垣より一足お先に来年7月のプロテスト合格を目指します。「目標は世界ランク1位になることです」(蛭田)と、すでにプロになることは前提に、大きな夢を話しています。10月1日からの日本女子オープンはアマとして最後の舞台。ここでローアマをとるか、上位で優勝争いを演じられれば、さらに蛭田みな美の知名度は上がることでしょう。昨年の日本女子オープンでは、17歳のアマ、永井花奈が3位に食い込む大健闘をみせました。それを上回る大暴れができるかどうか。若年層の底辺アップが著しい女子ゴルフ界の話題は尽きないようです。