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マスターズ並みの超高速グリーンに磨き!カレドニアンGC(千葉)。″14フィートの快感〝を味わってみよう!

13番ホールから池越えにのぞむカレドニアン・ゴルフクラブのハウス。

「マスターズ並みの14フィートに挑戦!」をスローガンに、超高速グリーンの常態化に取り組んできたカレドニアン・ゴルフクラブ(千葉・山武郡)。スローガンを掲げてから5年が過ぎたいま、順調な成果をみせて訪れるゴルファーたちを楽しませています。カレドニアンの18ホールを歩いてみると、一つとして類型のホールがない新鮮さに身震いさせられます。ダイナミックなフェアウェイのうねり、随所に配置された池とバンカーに挑戦意欲をかきたてられますが、アンジュレーションの利いた高速グリーンこそ″別のゲーム〝として究極の醍醐味を味わさせてくれます。初冬を迎えてさらにスピードを増している″世界基準〝の快速グリーンを体験してみました。

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クラブのキャディーマスター室前を通ってコースへ向かうと、お知らせ札が立っています。例えば「きょうのグリーンは13フィート、刈り高2.7ミリ・・」といった情報板です。グリーンを管理しているベテランの石井浩貴キーパーによると「オーガスタ並みの14フィートをめざしてはいますが、なかなか連日というわけにはいきません。寒さがひどいと、朝は霜が降りるので、どうしてもグリーンコンディションも低下します。今年も14フィートを出せたのは、秋口の11月と12月の10日前後には達成できました。いまは12フィート前後の日が多いかもしれません。春の3月頃もまた速さを出せる時期です」と、話してくれました。

オーガスタナショナルの13番を模した15番ホール。グリーン手前にはクリーク。左サイドのバンカーや花壇もオーガスタそっくり。カレドニアンの名物ホールだ。

グリーンは生きものですから管理は大変です。カレドニアンでは、コース内で常時10数種類のベント芝を育成しています。さまざまな芝の中から現在、カレドニアンが採用しているのは、TYEE(タイイ)と名づけられた米国産の品種。石井キーパーによると「タイイは、短く刈っても耐えられる品種。夏の酷暑や病気にも強くて、へたらない。スピードを出すにはもってこいの芝です」と。

刈り高は従来3ミリが限度といわれましたが、最近の改良された刈り機や育成法の進化で2.7ミリといったカットも可能になっています。また、刈る方向も8パターンを用意し、より短く芝目のないグリーンに仕上げることができるそうです。こうしたことが、グリーンのスピードをアップさせる主な要素になっているのです。日々進化を目指すカレドニアンでは、現状に満足することなく「近い将来には777(トリプルセブン)というさらに優れた芝生を採用することも考えています」(石井キーパー)。

ティーショットとグリーン手前と、2段構えの池越えショットになる18番ホールの3打目地点。
横長のグリーンは段差があってしかも高速。最終ホールまで息の抜けないカレドニアンだ。

母体の㈱東京グリーン・早川治良会長が、カレドニアンGCを開発するにあたって、ゴルフの原点であるスコットランドのセント・アンドルーズオールドコースはじめ全英オープンの舞台となる伝統的な名コースを巡ってラウンドしてきたという逸話は有名です。「ゴルフとは自然との闘い。力でプレーするだけでなく、人間の知力も駆使して闘うもの。そして世界レベルのゴルフコースにはまず超高速グリーンが必要」と知り、その目標に向かってのコース造りを進めているのです。カレドニアンがスコットランド・リンクス精神を盛り込んだ戦略型コースといわれるのもそこに原点があるからでしょう。

設計はジョン・マイケル・ポーレット(米国)。R・T・ジョーンズJrと知り合い設計事務所の副社長の極東担当デザイナーとして数多くのコースを設計。独立してJ・M・ポーレットデザイン社では世界中に300コースを造りあげました。ゴルフ発祥の地、スコットランドに憧れ、1990年(平成2年)に誕生したカレドニアンGCは間もなく30年の区切りの年を迎えようとしています。
ひとつとして類型のホールがなく、戦略性に富んだ18ホールが連繋しています。そしてどのホールにも言えるのがアンジュレーションの利いた高速グリーンです。
9番の、右サイドが高い変化に富んだグリーン。ピンポジによっては天を仰ぐ3パット、4パットの恐怖に見舞われます。危険な池を越すか、迂回するかで代表的な名物ホールの13番(407ヤード、パー4)。右直角に曲がるフェアウェイのどこに第1打の狙いを定めるか。悩ましいホールです。グリーンは左から右へ速く、油断のならないパー4。 ポーレット氏は世界に有名な名ホールを意識的に採りいれています。15番(498ヤード、パー5)は、池とクリークを絡ませた右曲りホール。逆曲がりながら、オーガスタナショナルGCの名物・13番を彷彿させます。ここでも第3打目のクリーク越えと、速く傾斜の強いグリーンの計算で、頭の中は混乱しそう。最終18番(545ヤード、パー5)は池とビーチバンカーを越えて打つティーショット。3打目勝負のショートアイアンは、横長の段差のあるグリーンへ、再び池とビーチバンカーを越す必要があります。下り傾斜にでもなると、ボールにタッチしただけで球は滑るように走ります。ホールアウトすれば、美しいワナの連続に頭も体もクタクタにさせられる18ホールです。

16番はなだらかな打ちおろしで343ヤードと短いパー4。フェアウェイから左サイドのラフにかけて大小のマウンドが連なり、ショットを曲げると大トラブルになる。コースで最も小さい高速グリーンが、砲台状で待ち構える。味のあるホールだ。

1990年10月開場のカレドニアンは「日本プロ」(2000年=優勝・佐藤信人)はじめ、「日本プロゴルフシニア」(02年)、女子でも「タカラワールド」、「樋口久子紀文クラシック」など、開催されたプロトーナメントも数多くあります。最近では17年9月、男子ツアーの「ダイヤモンド・カップ」で、このコースでしばしばミニ合宿を張っていた片岡大育が優勝。最難関の15番では、30ヤード近いロングパットを残した片岡は、グリーン上でウェッジを使ってカップに寄せ、パーをセーブしたシーンが思い出されます。勝手知ったる片岡が演じた難解グリーンの攻略法で話題になりました。

15番~16番ホールの途中にある芝生育成所。現在コースで採用されている「Tyee」芝も、ここで育成された(カレドニアンGC)。

日本男子レギュラーツアーでのグリーンスピードは平均12~13フィート。女子ツアーでは10~11フィート。米男子ツアーは12~14フィートです。国内のアマチュア向け営業のゴルフ場では、プレーの進行上せいぜい8フィート前後というのが普通ですから、日本男子ツアー並みか、それを上回るカレドニアンのグリーンスピード体験は、感激です。米ツアーのメジャーなど「ガラスのグリーン」といわれる高速グリーンが、ゴルフではスリルとエキサイティング を生むのです。マスターズ開催のオーガスタナショナルを始め、米国ツアーでは高速グリーンが当たり前。これがひいては選手のレベルを高めます。残念ながら、日本にはこうしたコースは数えるほどしかありません。太平洋御殿場コースや横浜CC、我孫子GC・・など、最近はコース改造が目立ってきた日本のゴルフ界ですが、その先駆者といえるのがカレドニアンGCです。

アプローチの練習グリーンを整備するキーパーたち(カレドニアンGC)

英国リンクス志向の米国式デザインのカレドニアン。一段とスピードを上げた高速&アンジュレーショングリーンを心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうかー。

(了)