欧米を転戦していた渋野日向子(21)が4ヵ月ぶりとなった今年2戦目の国内ツアーでまたも予選を通過できず、あの明るいしぶこスマイルも消え失せました。海外遠征前にこなした1試合(アース・モンダミンカップ)に続き、復帰戦の樋口久子・三菱電機レディス(埼玉・武蔵丘GC)も2日間で5オーバー。カットラインに3打足りませんでした。国内ツアーは2戦2予選落ちで、獲得賞金は0円のまま。残り試合は4試合しかなく、昨季は海外メジャーに勝利して″時の人〝となったしぶこに、勝負の世界の厳しい現実が立ちはだかりました。さて、どうする?!
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天国から地獄へーとはこのことでしょう。欧米遠征で4ヵ月ぶりに国内ツアーに復帰した樋口久子・三菱電機レディス。注視を浴びた初日には8番(160ヤード、パー3)で
8番アイアンのショットがピン手前2㍍に落ち、2バウンド後に真っ直ぐ転がってカップイン。絵にかいたようなエースでした。ファンの歓声が爆発するところでしたが、残念ながら試合は新型コロナ感染症対策により無観客開催。静寂の中でカップインする「コロン」いう音も聞こえ、自分でも見届けられたという「不思議な感じ」(しぶこ)のホール・イン・ワン。プロになってからは18年のアース・モンダミン以来2度目(アマ時代を含めて5度目)の快挙でした。
このエースでアウトは33で回りながらインではノーバーディで39。トータルではイーブンパーで32位に終わったのが、2日目に響いたと言えるでしょう。問題の2日目は、5番と7番(ともにパー4)で犯した2つのダブルボギーが致命傷でした。いずれもグリーン周りでのアプローチミス。前日エースを出した8番(パー3)ではグリーンをショートする天と地の結果でボギーとするなど、アウトは「41」を要しました。インではなんとか2バーディーをとったもののボギーも2つで計77の5オーバー。カットラインに3打足りない″完敗〝でした。長かったシーズンオフ、ウェッジを何本もすり減らすほどアプローチの練習に打ち込んだというしぶこなのに・・。
海外メジャー制覇、国内でも4勝を挙げて賞金ランク2位にまで登りつめた昨季がまるで他人のよう。今季は国内を留守にしてまで臨んだ「世界のしぶこ」狙いも空回り。約2ヵ月間6試合の欧米転戦。メジャー3戦では予選落ち(AIG全英女子)、51位(ANAインスピレ-ション)、58位(全米女子プロ)とさんざん。メジャー以外の3戦も上位入賞はなく、表面上では実益の少なかった遠征といえるものでした。芝の違い、グリーン形状などの違い、長い距離・・海外に夢を求めて、自らのスイングまでも乱してしまうケースも少なくないので気がかりです。
「欧州から米国に渡った2ヵ月でしたが、米国ではいろいろなことを吸収できた。それらも取り入れながら、これからも積極的なゴルフはいままで通りやっていきたい」というしぶこ。国内での残り試合はもう4試合しかありません。新型コロナの影響で今季は試合が少なく、来季と2シーズンを合併して賞金ランキングも算出されますが、しぶこの獲得賞金はいまだ0円。現在国内女子10試合で賞金ランク1位にいるのは2勝した笹生優花。6811万5250円と7000万円を目前にしています。しぶこには気が遠くなりそうな大差がついているのが現状です。しぶこが当初計画していた来季からの米ツアー本格参戦も、米ツアー予選会開催が中止となったため、道は閉ざされました。今年、12月に延期されている最後のメジャー、全米女子オープン(10~13日)に参戦して好結果を出す最後のチャンスは残されていますが、落ち込んだしぶこに、その1試合のために渡米する意欲が残っているかどうかです。来季の主戦場はまた国内になる公算は大です。
いまのところ八方ふさがり状態のしぶこに、再び明るい陽射しがさしこんでくるのはいつか。とりあえずは国内残り4試合のどこかで起死回生の「1勝」でもすることでしょう。次戦TOTOジャパンクラシック(11月6~8日、茨城・太平洋クラブ美野里)は米ツアーとの共催がなくなり、今季は日本の国内ツアーとして開催されます。しかし予選落ちのない試合なので「安心して初日から攻めていけますね」(しぶこ)と、安堵の表情をみせています。TOTOのあとは伊藤園、大王製紙エリエール、LPGAツアー選手権リコー杯と続きます。あのキレのいいショットと、強気に打っていくパッティングの冴えは、しぶこのどこかには秘められているはずです。1試合1試合しぶこから目を離せません!
(了)