Daily Archives: 2021 年 4 月 26 日

いきなり米挑戦か。オーガスタ女子アマ優勝・梶谷翼、17歳の大願!!

オーガスタナショナル女子アマに劇的優勝を遂げ、カップを掲げる梶谷翼(提供:オーガスタナショナル)

ゴルフのオーガスタ・ナショナル女子アマに優勝した17歳・梶谷翼(かじたに・つばさ=兵庫・滝川二高3年)の米国挑戦が色濃くなってきました。当初は今秋の国内プロテスト受験を第一目標としていましたが、オーガスタ女子アマ優勝で大きく道が広がり、梶谷の挑戦意欲を一気に高めました。6月3日開幕の全米女子オープン(カリフォルニア・オリンピックC)をスタートに、AIG女子オープン(全英女子=8月19日開幕スコットランド・カーヌスティ)と、ゲットした両メジャーの出場権を生かして海外に遠征します。秋には米女子ツアーのQT(予選会)もあることから、広がった選択肢のうちどんな道を選ぶのか。嬉しい悲鳴を挙げている翼さんです。帰国後2週間の自主隔離があけ、日本ゴルフ協会主催のオンライン会見(20日)に続き、滝川二高の優勝報告会(23日)でのオンライン優勝会見で、いまの揺れる胸中を語りました。

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帰国後2週間の自主隔離を終えオンラインで優勝会見する梶谷翼(提供:JGA)

20日のオンライン会見は地元・岡山から、23日は母校・滝川二高で相次いで
ZOOM会見に臨んだ梶谷さん。オーガスタ優勝でにわかに多忙な日々を送ることとなりました。「帰国後2週間の自主隔離はかなり辛かったです。時差ぼけもひどかったし・・。でも何もできなかったおかげで(次週の)マスターズのテレビ中継がじっくり見られました。自分が優勝したことはそんなに意識してなかったですが、松山(英樹)さんの優勝はすごいな、と思いました。私も男ならいいのに、と思いました。男子のゴルフは見ていて面白いので、体幹を鍛えてその中に入りたいですね(笑)。男子みたいに迫力のあるゴルフをしたいです」と翼さん。女性でありながら、相当男勝りの性格なのでしょうか? さらに「好きな選手は?」と聞かれて即座に「ローリー・マキロイ(英国、31歳)です」。そして「スイングとかがきれいで、身長はそんなに高くない方なのに飛ばして活躍してる。凄いなと思います」と、あこがれの選手を語りました。

オーガスタナショナル・コースをキャデイーと歩く梶谷翼。(提供:オーガスタ・ナショナル)

ところで、オーガスタ・ナショナルでプレーできるチャンスなどそうはないのですが、どんな印象を受けたのでしょうか。「そうですね。全部印象に残ってます。傾斜が強かったり、すべてが綺麗だったり、思ったよりバンカーが深かったり。攻め方を間違えると大きくスコアを崩すコースですね。2オンを狙うか狙わないかを考えるのが面白かったですね。特にバック9は気をつけろって聞いていましたが、ダボってしまいました(単独首位だった17番で3オン3パットのダブルボギーで並ばれた)。あーやっちゃったって感じでした。でもキャデイーさんから“集中”っていわれて、気持ちを切り替えてその後プレーできました」

プレーオフ1ホール目、1㍍あまりのパーパットを決め、エミリア・ミリアッチョ(米国)を下した梶谷翼(右)=提供:オーガスタ・ナショナル

世界のトップアマが集まった大会。「一筋縄ではいかない。まずは予選通過だ、と思ってやっていた。そして楽しむこと、と思っていたので、実際にはそうなって嬉しかったですね。プレーオフになったのですけど、途中リーダーズボードを見ていなかったので、終わった後にプレーオフの可能性、と聞いてやっと分かりました。プレーオフか、と思っただけでなんとも思わなかったですね。何ホール続くかわからないけど、みんなより多く回れてラッキーっていう感じでした」。
この勝利は、凄く意味のある優勝。これで全米女子オープン、AIG女子オープン(全英)などの出場権をもらえます。「いろいろな選択肢ができて次のステップに進めるのでよかったです」と喜びをかくせない梶谷を、小躍りさせたのは、あの人からのお祝いのメール。「そう、タイガー・ウッズからメッセージがきてびっくりでした。うれしかったです」。

PO、1ホール目1㍍余のパーパットを決めて決着。ボールを拾い軽くガッツポーズ。喜びは控えめだった梶谷翼。(提供:オーガスタ・ナショナル)

JGAのナショナルチームのメンバーで、いろいろなことを学んでいる翼さん。しかし、だれもがいけないオーガスタ・ナショナルでプレーして、勝った経験はかけがえのないものでしょう。
「梶谷翼」の名はこれで一躍世界に轟きわたりました。「飛距離でも私は平均より飛ぶ方だと思いますけど、海外だと平均以下なので飛距離をもっと伸ばさないと思ったり、日本のグリーンは止まっても海外はタイトなので他の選手は高い球を打つ。飛距離も出る。私は飛距離ももっと欲しいし、止まる球も打ちたい。そのあたりを強化していかないと」と、海外に出てみて課題もしっかり見据えている翼さんです。
「世界で活躍できるプロを目指して米女子ツアーでも1位を取りたい」ーその最終目標に向かって梶谷翼は進みます。母校からのオンライン会見では改めて今後の進路を聞かれ「具体的にはまだ決まっていません。でも多分米国に行くと思います。向こうのコースや練習環境に接するのは楽しみです」と答えています。渡米してすぐQTを受けるのではなく、米国の大学進学で腕を磨き、のちにQTに挑戦する選択肢もあるようです。すでに出場権を得ている今年のメジャーでは、、予選通過を目指しながら大きなチャンスを狙います。日本の新世紀世代、なかでも突然頭角を表してきた新星に、大きな期待がかかります。次戦、国内では5月12日からの関西女子アマ(兵庫・有馬CC)の予定。

【梶谷翼(かじたに・つばさ)】
2003年9月12日、岡山県生まれ。
兵庫・滝川二高1年の19年から
JGAナショナルチーム入り。19年
日本ジュニア(15~17歳)優勝。
団体戦トヨタジュニアW杯で山下美夢有(みゆう)
岩井明愛とともい優勝。国内ツアー出場12戦。
19年日本女子オープン9位でローアマ。
最近の世界アマランク13位。160㌢・

(了)