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女子トーナメントより短い「和合」の難しさ!技と精神力、それに経験が生きた42歳・岩田寛 の快挙!

42歳、難攻不落の「和合」を制した岩田寛。大会2勝目だった。

トリッキーで距離はないが難コース「和合」を制したのは、42歳の岩田寛でした。国内最古の民間トーナメント「中日クラウンズ」は第63回目を迎え、今年は4年ぶりにギャラリーの入場制限を撤廃して行われました。昨今、新時代のゴルフに対応して総距離を伸ばすコースが多い中、“和合”は「6557ヤード、パー70」といまも距離だけには頼らないコンパクト設定のコースです。男子ツアーでありながら、同週に行われた女子ツアー「パナソニック・オープン」の千葉・浜野GCの6656ヤード(パー72)よりも短いコースでした。蝉川泰果、中島啓太、河本力、池村寛世ら20歳代の破壊力を秘めた若者たちがこの“和合”をどう攻略したのか。ベテラン岩田寛を筆頭に31歳の石川遼はホールインワンで優勝争いに食い込みました。さまざまな激戦模様を演出した「短い和合」を見つめました。

 

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昨年に続き大会2年連続ホールインワンの快挙でギャラリーの大拍手に応える石川遼(3日目「和合」の4番ホール)

ただ飛ばすだけでは和合では勝てません。コースはドッグレッグあり、左右から迫る林あり。グリーン周りには入れると厄介なバンカーの数々。さらにさまざまなショットを駆使して駆け抜けていかなければならない障害が横たわっています。300ヤード台のパー4が8ホールもありますが、攻略には多種多様のショットが求められるのです。
昨年大会、8アンダー7位タイでベストアマとなった中島啓太も、今年はプロとして「和合」に戻ってきましたが、最終日4番パー3で唯一喫した手痛いダブルボギー。この落とし穴で上位進出を阻まれました。3アンダー21位タイでした。

若手“代表”の蝉川泰果は、難攻・和合に苦戦しながらも11アンダーで3位に食い込む実力をみせた。

初めて「和合」を回る飛ばし屋の蝉川泰果。勝った「関西オープン」では“優勝請負人”の清水重憲キャディーと初タッグを組んでプロ初Vをモノにしましたが、今回は元松山英樹のバッグを担いだ進藤大典氏を指名。難敵・和合攻略に二人三脚で取り組みました。進藤氏はこの3月「オーガスタ・ナショナル女子アマ」で馬場咲希のバッグを担いで“職場復帰”。今回2戦目のカムバックでしたが、蝉川の最終日、4連続バーディーなどの猛ラッシュで優勝へ“あと一歩”まで食い下がった後押しはさすがでした。進藤キャディーは2013年松山英樹とタッグを組んで以来の「和合」でした。

 

ホールインワンしたボールと使用した8番アイアンをかざして喜ぶ石川遼(名古屋GC和合)。

優勝争いへ果敢なゴルフをみせたのは、「和合」での実績のある31歳・石川遼でした。初日、2日目と「69」を2日続けたあと、3日目の4番(171ヤード、パー3)では鮮やかなホールインワンでした。8番アイアンでピン手前5㍍に落とし、フックラインに乗せてのカップイン達成。拍手と大歓声を浴びました。池越えのトリッキーなこのホール「逃げ場がないホール。グリーンに乗ったら最高。センターを狙って打ったのですが、和合で一番難しいパー3」(石川)という。このエースのあと、一時首位へ1差と迫る勢いでした。石川と「和合」との縁は深く、昨年大会でも3日目7番パー3(181ヤード)でホールインワン。今年、2年連続のスーパーショットでした(同じ8アイアン)。昨年も優勝は成りませんでしたが(7位タイ)、13年前の2010年大会では、最終日にギネス記録「58」のビッグスコアを出して6打差大逆転の歴史的優勝が衝撃でした。思い出は尽きない“和合”です。今季は「去年よりゴルフがよくなっている。1週間で最終日に一番いいスコア(65)が出せた」と自らを見つめる石川のエース記録は、トータル6度目(国内ツアー4、米ツアー2)。「こんなにホールインワンするゴルフ人生とは思っていなかったよ」と、自身でも驚きを隠せません。30歳を過ぎて、苦労続きの石川遼にもようやく味のあるゴルフが見せられるようになったようです。

初日、16番パー3(196ヤード)で人生初のホールインワンを達成。約600万円といわれるトヨタ賞の高級車「新型クラウン」をゲット。驚きと喜びの学生プロ・田中裕基。

ホールインワンといえば、この大会初日にも嬉しいエースが飛び出しました。20歳の学生プロ、田中裕基(ひろき)=日本ウエルネススポーツ大=。13番196ヤード、パー3。5番アイアンでピン手前に落とし、真っすぐ転がってカップイン。プライベートを含めゴルフ人生初のホールインワンの記録でした。これにはトヨタのホールインワン賞として新型クラウンのご褒美がつき、約600万円といわれる高級車を得て「いまは親に買ってもらったコンパクトカーが愛車。うれしいですね。こんな高級車にボクが乗っていいのですかね」と困惑顔。田中のこの初日は「71」でしたが、予選もクリアして3日目「68」、最終日「67」とスコアを伸ばし、26位タイに食い込むラッキーボーイとなりました。忘れられない「和合」となるでしょう。

ショットのブレも少なく安定したゴルフを展開した岩田寛。

「和合」は技と精神力、それになにより経験がものをいうといわれます。優勝した岩田寛は多彩なショットを駆使して難攻・和合を征服しました。2年前にも勝っていて大会2勝目。「和合」での複数回Vは青木功、尾崎将司、片山晋呉のビッグ3に次ぐ日本人4人目の快挙で「めちゃくちゃ光栄」と謙虚。岩田は今季2月から中東でのアジアンツアー3試合に出場しましたが、すべて予選落ち。渡航中に体調を崩し、帰国後は静養に務めたという。「まさかこんなに早く優勝できるとは思ってもみなかった。

でも40代で勝ち星を重ねる人もいるのだから自分も続きたい」と、難コースを勝ちきったベテランはたくましかった。

(了)