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国内シニアメジャー初優勝。息子は男子レギュラーツアーへ参入。親子共演、遅咲きの“シニアの新顔”増田伸洋、51歳

増田伸洋(23.9日本シニアOP)=能登CC・JGA提供

シニア2年目、51歳の増田伸洋が「日本プロシニア選手権」(茨城・イーグルポイントGC)で4日間首位を守る完全優勝。嬉しい日本タイトルを手にしました。息子の康輔(21)もプロで、同週兵庫・三木GCで行われた男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」に主催者推薦でプロデビュー(予選落ち)。親子共演で花を添えました。伸洋プロは高校時代、ラグビーに熱中したラガーマン。その後、千葉・柏市で父親が経営していたゴルフ練習場でゴルフを始めたという変わり種。プロになるまで7年、初シードまでは5年を要した苦労人ですが、安定したゴルフ運びを身につけたショットメーカー。今季、前戦の「日本シニアオープン」でもトップに1打差で最終日を迎える健闘。惜しくもファイナルで崩れて8位で終えましたが、続くビッグイベントで見事リベンジを果たしました。遅まきながらシニア界の“ニュースター”となりそう。

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仲間からウオーターシャワーを浴びる増田伸洋プロ(提供:PGA)

エピソードが尽きない増田伸洋プロなのです。前戦の日本シニアオープンでも「パットが何か自分で納得がいかなかった」と訴えた増田プロ。「パットもあのあたりかなと思って打ってるのに、違う方向へいってしまう。うまくいかなくて、もう諦めの心境に近かった」という。その折、キャディー(女性)が、女子の選手はいまはみんなクロスハンド(左手を上からかぶせて右手より下に持つグリップ)ですよ、といってきたのです。なら自分も真似してみよう」となった。試合前日に右手、左手の握りを変えてプロアマで実践してみたら「意外と距離感が合ってスムーズに打てるようになった」という。本番でも思い切ってこの握りに変更してみたら、入るわ、入るわ。初日5バーディー、1ボギーの「68」を皮切りに「70」「68」「66」で、遂に1度もトップを譲ることなく4日間クロスハンドで首位を守る完全優勝となったのです。

 

日本シニアオープンで息子(右)とタッグを組んだ父・増田伸洋。(24.9の日本シニアPOで)

一方、息子のプロデビュー戦も、オヤジに喝を入れる出来事でした。前戦の日本シニアオープンではオヤジのキャディーでタッグを組んだ康輔プロ。この週は兵庫での男子ツアー「ACN」に主催者推薦で出場していました。茨城と兵庫。オヤジは自分のことより息子のことが気がかりで遠く兵庫にいる康輔にメールを送りました。
ただ内容は、プロで長い経験を積んできた父親です。「デビュー戦だから予選を通ってこいよ、なんていいません。一生懸命やってダメだったらダメでいい。これからそこに足を踏み入れるのだから、いろいろ経験して、今後に生かせるようにやってきてほしい」と告げ「デビュー戦だし、めちゃくちゃ緊張してるんじゃないかな」と父親の顔も覗かせました。2日目の朝もスタート前に“思い切ってやってこいよ”と、連絡を入れたのだという。オヤジも気になりながらのスタートだったようです(結果、康輔は77、73の2日間8オーバーで予選落ち)。

家族とともに日本タイトル獲得を祝う増田伸洋プロ(左はプロの息子)=提供:PGA

ところでイーグルポイントGCは、増田伸洋がプロとしてスタートした当時所属していた思い入れのあるコースでした。隅々まで知り尽くしているコースでは「行ってはいけない方向へは打たないように注意してプレーした」という。「当時のメンバーで応援にきてくださった方も多かった。お世話になったそのイーグルポイントで勝てたのがうれしい。まさかここでのメジャーで勝てるなんて思ってもいなかった」と振りかえりました。シニア2年目の今年は、「全米シニアプロ」「全米シニアオープン」の海外メジャーにも挑戦。2試合とも予選落ちだったが、「自分の経験のなさ。技術的に足りないところなど、勉強になった。もう一度海外にも挑戦したい気持ちがあるのでそれを目指したい」と、経験を積むほどに高見への意欲が増してきているという。遅咲きの増田伸洋。レギュラー時代は1勝。シニアになって昨季の「すまいーだカップ」に続く今季「日本プロシニア」での2勝目。シニアツアーの新しい顔。さまざまな体験を経て、これからまだ伸びしろのある期待のシニア誕生といえそうです。(了)