賞金総額6億7,500万円、優勝賞金1億2,150万円の全米オープンで、石川遼クン、少しは興奮させてくれました。しかし、”世界最高”のメジャー舞台の重圧には、心身ともに疲れきったようで33位でした。次の全英オープン(7月15日開幕)の遼クンに期待しましょう。日本国内では遅まきながらシニアツアーが開幕。開幕戦(スターツシニア)ではシニア2年目の植田浩史(51)がツアー初優勝、19日に終わった2戦目の榊原温泉ゴルフ倶楽部シニアでは、室田淳(54)が不調からの復活を告げるようなしぶといゴルフでシニア6勝目を挙げました。この榊原温泉ーは今季から新設された試合ですが、賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円という規模の小さいトーナメントでした。昨年の6試合から今年10試合に増えたシニアツアーは、うち3試合がこれと同額の小型トーナメントなのが注目されます。世界最高峰の全米オープンと比較するにはいささか酷ですが・・。
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開幕戦のスターツシニアは、今年12回目(昨年は休催)を迎えた老舗のトーナメントです。賞金総額は5,400万円、優勝賞金は1,350万円のシニアとしてはビッグな大会でした。それに続いて開催された榊原温泉GCシニアは、総額も半分以下、優勝賞金は4分の1に近い360万円です。2位は180万円、5位では80万円です。最下位の56位は12万円となります。大会は3日間でなく、2日間36ホールの競技で予選カットもありませんが、「ツアー」としては最低のエコ?大会です。
出場選手とすれば、同じ試合をしても優勝賞金がここまで低いと、くたびれもうけ的な気持ちになっても不思議ではありませんが、シニアの選手たちは口が裂けてもそんなことは言いません。「こんな時代ですから試合があることが嬉しいです。賞金は低くても・・」と、みんな異句同音です。
この規模のシニア試合が今年は都合3試合、次回7月7日からのPGAフィランスロピーシニア(静岡・中伊豆グリーン)、さらに8月7日からの皇潤クラシック(福岡センチュリーGC)と続きます。すべて今年新設された試合です。フィランスロピーシニアは3日間、皇潤は2日間大会でともに賞金総額は2,000万円です。
世界的な経済不況のあおりを食って、シニアツアーはここ10年余り、苦境に立ち続けていました。平成8年以降は年間一ケタ開催が続き、平成11年(1999年)は年間僅か3試合に落ち込む瀕死の状態でした。それを憂いたシニアのトッププロ達が自ら試合の勧誘に動いたり、もちろんPGAの協会も必死で新規トーナメントの誘致活動を続けました。松井功現PGAが就任した平成18年には6試合だったのが、平成20年には9試合まで増加し、平成21年にはまた6試合に減少、松井会長以下、協会関係者の背水の営業活動が熱を帯びたのです。
「選手からも賞金の大小ではない。試合数をとにかく増やしてほしいとの強い要望を数多く聞いていました」(松井功会長)という背景もあり、PGAは敷居の高さを下げたスポンサー探しに奔走しました。シニアのトーナメントでは、シニアのトッププロたちが先頭に立ってギャラリーへのファンサービスを怠りません。プロアマ大会でのスポンサーへのホスピタリティーのよさは、高い評価を得ています。そんな総合的な環境の中で、今年は「2000万円トーナメント」ではありますが、㈱三甲(榊原温泉GCシニア)、㈱エバーライフ(皇潤クラシック)などの企業が新たにシニアツアーに参画してくれたのです。
シニアツアーが今年年間2ケタの10試合になったのは、平成7年(1995年)以来15年振りのことです。2000万円の試合が3試合あるとはいえ、年間の賞金総額5億5400万円は、最近では平成20年(9試合)の5億6900万円に次ぐもので、それ以前では平成5年(1993年、19試合)以来の高額賞金でもあります。
こうした背景を考えますと、賞金額の低さに文句をいう場合ではありません。今回の榊原温泉でも試合は白熱したものでした。初日66で飛び出した室田淳が、2日目もいったんはシニア新人の奥田靖己に首位を譲りながらもしぶといゴルフで巻き返してトップを奪って69。通算9アンダーで逃げ切りました。この試合では、開幕戦の12人に続いて11人のシニアルーキーが出場しました。3位に入った奥田靖己はじめ加瀬秀樹、芹沢信雄、真板潔、平石武則、高見和宏、木村政信らの面々です。とくに芹沢や加瀬、奥田らレギュラーツアーで活躍した選手のシニア入りは、シニアツアーの選手層を一段と厚くしています。日本オープンチャンピオン(1993年)でもある奥田靖己は、開幕から2試合ともルーキー最上位(8位タイと2位タイ)につけ、近々のシニア初勝利もにおわせるスタートを切っています。
シニアツアーはこのあと、ファンケルクラシック、コマツオープンと総額6,000万円(優勝賞金ファンケル1,500万円、コマツ1,200万円)の試合が続き、秋の富士フィルムシニアは総額7,000万円(優勝1,400万円)と大きなスポンサートーナメントも控えています。日本プロシニア、日本シニアオープンのメジャーあと最終戦として組まれているHANDA CUP シニアマスターズは、欧州のシニア選手の参加も予定されていて賞金総額は1億2,000万円で発表されています。大から小まで格差のあるシニアツアーですが、フィールドで戦うプレーヤーたちの意気込みにはあまり違いはなさそうです。
★2010年シニアツアー
試合名 賞金総額
スターツシニア 6,000万円
榊原温泉GCシニア 2,000万円
PGAフィランスロピー 2,000万円
皇潤クラシック 2,000万円
ファンケルクラシック 6,000万円
コマツオープン 6,000万円
日本プロシニア 5,000万円
日本シニアオープン 8,000万円
富士フィルムシニア 7,000万円
HANDA CUP 1億2,000万円